以下が今回の問題文です。
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町一番の美人のマチ子は、町内で開かれた美人コンテストに参加した。
ところが、その美人コンテストで優勝したのは、マチ子ではなかった。
美人コンテストに参加していたのは、町内の人間だけだったのに……なぜ??
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この問題には解説を用意しておりません。皆様の質問がストーリーを作っていきます。
以下のルールをご確認ください
【ルール】
#####要素募集フェーズ#########
出題直後から質問を受け付けます。
皆様から寄せられた質問の中から、出題者(黒井由紀)が
質問番号1〜70の質問の中からランダムに15個、YESとお応えし、良質化します。
※採用される質問番号は、1〜70のダイスを15回振って、既に決めてあります。質問番号71以上の質問が採用されることはありませんので、ご了承ください。
良質としたものを以下【要素】と呼びます。
良質以外の者は「YesNo どちらでも構いません。」とお応えします。こちらは解説に使っても使わなくても大丈夫です。
※また、矛盾が発生した場合や、あまりに条件が狭まる物はMC権限で採用いたしません。(矛盾の場合は前者優先)当たり番号に該当したのに採用されなかった質問が出た場合、その次の番号の質問を採用するものとします。
矛盾例)田中は登場しますか?&今回は田中は登場しませんよね? 前者優先
狭い例)ノンフィクションですか? 不採用
狭い例)登場キャラは1人ですか? 不採用
狭い例)ストーリーはミステリー・現実要素ものですよね? 不採用
など
その後、選ばれた要素を取り入れた解説の投稿フェーズとします。
#####投稿フェーズ#########
解説投稿フェイズでは、15要素全てを含むストーリーを考え、質問欄に書き込んでください。
とんでもネタ設定・超ブラック真面目設定などなどお好きなようにお創りください。
15要素入っていることが、後で見て分かりやすいほうがありがたいので、投稿される解説では、それぞれの要素に対応する部分に番号を振ることをお勧めします。
また、質問欄への投稿になりますので、誰かの投稿中(複数質問に分けて投稿される方もいらっしゃいます)に割り込んでしまうことを避けるため、投稿解説が仕上がってから一度に投稿する、投稿解説の終わりには終わったことが分かるような言葉を付ける(「終」でも「了」でも「END」でも、終わりだと分かればなんでも構いません)ことをお願いいたします。
なお、質問欄の文字数制限は全角300文字です。
(ただし、長文投稿にチェックを付けた上で一度質問し、その後編集すると、もっと入るようになります。)
また、各投稿の一番最初の質問は良質化させていただきますので、タイトルと本文を分けて投稿することをお勧めします。
※よろしければ、過去の「正解を創りだす」もぜひご覧ください。魅力のある銘作(迷作?)・快作(怪作?)等いろいろ先例がございます。
#####投票フェーズ#########
投稿フェーズの締め切り時間が来たら、ヒント欄で投稿フェーズ締切りと投票フェーズ開始を宣言します。
投票フェーズが開始されたら、質問欄の「出題者にのみ表示」機能で最も好きな解説(タイトルorその解説の始まりの質問番号をお書きください)と最も組み込むのが難しかった要素(要素の番号(質問番号ではありません)をお書きください)を投票してください。
【スケジュール】
・要素募集期間
出題~15個要素が揃うまで。
・投稿期間
15個揃ったあと~8月25日(木)24:00
・投票期間
8月26日(金)00:00~8月30日(火)24:00(結果発表は翌朝となります)
【賞】
以下3賞をご用意いたしました。
なお、見事シェチュ王になられた方には、次回の【正解を創りだすウミガメ】を出題していただきます。(出題数が新ジャンルの出題基準に満たないなどの理由で出題が困難な場合は、他の人に代理出題をお願いしても大丈夫です。不安な場合は出題者までご相談ください)
■最も好きな解説に投票
・最優秀作品賞(投稿毎 別々にカウント) 当該作品の一番最初の質問を正解化
・シェチュ王(投稿者毎 でまとめてカウント) 次回創りだす出題義務
■最も組み込むのが難しかった要素(もしくは投稿してない人は、難しそうな要素)に投票
・最難関要素賞(最も票を集めた要素に与える賞) 当該要素の質問を正解化
質問した人は、できるだけ正解を創り出すと投票にも参加いただけると盛り上がるかと思います。
通常の出題と違い、趣味丸出しで構いませんw お笑いが好きな人も、カニバリ好きな人も、ミステリーだってOKです。
それでは、今回もたくさんのご参加お待ちしております!
それでは~ 開始!
【新・形式】
結果を出しました。
銃撃戦が起こりますか?
YES! 銃撃戦が起こります! [良い質問]
マチ子は事故にあいますか?
YesNo どちらでも構いません。
石油王と結婚しますか?
YesNo どちらでも構いません。
扉が開きませんか?
YesNo どちらでも構いません。
同じことが二度起きますか?
YesNo どちらでも構いません。
酒と煙草を愛していますか?
YES! 酒と煙草を愛しています! [良い質問]
鏡に変なものが写り混みますか?
YES! 鏡に変なものが写り混みます! [編集済] [良い質問]
ガラスが粉砕しますか?
YesNo どちらでも構いません。 [編集済]
PC壊れますか?
YES! PC壊れます! [良い質問]
指が伸びていますか?
YesNo どちらでも構いません。
7カ国語を流暢に話しますか?
YesNo どちらでも構いません。
枕投げはしますか?
YesNo どちらでも構いません。
頬をつねりますか?
YesNo どちらでも構いません。
腕が伸びますか?
YesNo どちらでも構いません。
すみません誤送信ですm(__)m [編集済]
YesNo どちらでも構いません。
夢の出来事ですか?
YesNo どちらでも構いません。
顔がありませんか?
YesNo どちらでも構いません。
落下物に頭をぶつけますか?
YES! 落下物に頭をぶつけます! [良い質問]
動けなくなりますか?
YES! 動けなくなります! [良い質問]
魔法が使えますか?
YesNo どちらでも構いません。
日焼けしますか?
YesNo どちらでも構いません。
落ちた先は段ボールですか?
YesNo どちらでも構いません。
剥がれなくなりますか?
YesNo どちらでも構いません。
壁が青いですか?
YesNo どちらでも構いません。
トリップしますか?
YesNo どちらでも構いません。
謎を解き明かしますか?
YesNo どちらでも構いません。
電気が止められますか?
YesNo どちらでも構いません。
魔王と一緒にランチしますか?
YesNo どちらでも構いません。
都市伝説に出くわしますか?
YesNo どちらでも構いません。
見たかった番組が見られなくなりますか?
YesNo どちらでも構いません。
お腹下していますか?
YesNo どちらでも構いません。
庭に虫が山ほどいますか?
YesNo どちらでも構いません。
虫を食べますか?
YES! 虫を食べます! [良い質問]
自然乾燥ですか?
YesNo どちらでも構いません。
マッチ棒を売りますか?
YesNo どちらでも構いません。
しびれますか?
YesNo どちらでも構いません。
背中に羽が生えますか?
YesNo どちらでも構いません。
形が元に戻らなくなりますか?
YesNo どちらでも構いません。
夏風邪をひきますか?
YesNo どちらでも構いません。
猫に助けられますか?
YesNo どちらでも構いません。
時が経つのが早いですか?
YesNo どちらでも構いません。
発狂しますか?
YES! 発狂します! [良い質問]
階段から足を踏み外しますか?
YesNo どちらでも構いません。
虫がうるさいですか?
YesNo どちらでも構いません。
「月が綺麗ですね」と囁きますか?
YesNo どちらでも構いません。
小指をぶつけますか?
YesNo どちらでも構いません。
薄暗いところで影がうごめいていますか?
YES! 薄暗いところで影がうごめいています! [良い質問]
背泳ぎしますか?
YesNo どちらでも構いません。
溺死しますか?
YesNo どちらでも構いません。
窓が開きましたか?
YesNo どちらでも構いません。
マウスもうるさいですか?
YesNo どちらでも構いません。
膝がかゆいですか?
YesNo どちらでも構いません。
浮きますか?
YES! 浮きます! [良い質問]
ほふく前進のおかけですか?
YesNo どちらでも構いません。
すのこでしたか?
YesNo どちらでも構いません。
丸めますか?
YesNo どちらでも構いません。
温泉を飲みますか?
YES! 温泉を飲みます! [正解][良い質問]
関節がはずれましたか?
YES! 関節が外れます! [良い質問]
かかと落としをしますか?
YesNo どちらでも構いません。
やむなく嘘をつきますか?
YesNo どちらでも構いません。
ぬいぐるみはひとりでに動きますか?
YesNo どちらでも構いません。
ウサギに追いかけられますか?
YesNo どちらでも構いません。
眠れませんか?
YES! 眠れません! [良い質問]
花火は上がりますか?
YES! 花火は上がります! [良い質問]
死んだ原因は綿菓子ですか?
YesNo どちらでも構いません。
ほっぺたぷにぷにですか?
YesNo どちらでも構いません。
ズボンを脱がされますか?
YesNo どちらでも構いません。
リオデジャネイロに行きますか?
YesNo どちらでも構いません。
ぬいぐるみが部屋にあふれかえりますか?
YES! ぬいぐるみが部屋にあふれかえります! [良い質問]
指輪をなくしますか?
YesNo どちらでも構いません。
邪魔になりますか?
YesNo どちらでも構いません。
世界新記録で金メダルを取りますか?
YesNo どちらでも構いません。
座布団2枚もらいましたか?
YesNo どちらでも構いません。
気づかないほうがよかったですか?
YesNo どちらでも構いません。
解散しますか?
YesNo どちらでも構いません。
ページがくっついてましたか?
YesNo どちらでも構いません。
前髪切りすぎましたか?
YesNo どちらでも構いません。
「指名手配はぬいぐるみ」
マチ子は誰もが認める町一番の美人なお嬢様
そう呼ばれていたのは既に過去の話だった。…
酒とタバコと女を愛する刺青を入れた悪い男(2)に惹かれていったマチ子。家の反対は、恋を燃え上がらせ、半ば駆け落ちの様にその男に夢中になっていった…
男はマチ子をクスリ漬けにした。
マチ子を他の男に抱かせてお金をせしめることにも利用した。
マチ子は崩れていく。
誰もいない影が蠢き、鏡に変なものが写り、挙げ句の果てには部屋で花火が上がる幻覚を見て、眠れない夜が続いた。(3、9、14、13)ついにマチ子は発狂した…。(8)
マチ子が失踪してから半年が過ぎた頃、屋敷の庭で、落下物に頭をぶつけて動けなくなっている弟のマチオが発見された。(5、6)
発見された時にはもうマチオは冷たくなっていた。
度重なる不幸に、マチ子の両親はついに発狂した。庭の虫を食べはじめるわ、浴室の温泉を飲むわ、会社のPCを壊すわで社会から浮く存在になってしまった。(4、7、11、10)
人として生きれなくなったマチ子とマチ子の両親は、着ぐるみを被り失踪した。
これが今巷で噂になっている「気狂いのぬいぐるみ殺人鬼」である。
街で大きなぬいぐるみを見かけたら…すぐに避難しましょう。彼女らは唐突に襲ってきます。
次回
街中で突如始まる銃撃戦と関節技の応酬!!(1、12)
街にあふれた巨大なぬいぐるみは警察の囮捜査ー!?(15)
END
[編集済]
15要素が短い中にギュッと詰まっていますね。細かい要素が、都市伝説っぽさを演出しています。 [良い質問]
この街のマチ子さん
ハートフル? ホラー? 何とも言えない後味です。 [良い質問]
長文チャックミスなのです [編集済]
承知なのです。
美人コンテストの決勝戦まで残ったマチ子。
しかし突如戦争がはじまり銃撃戦が起こります
悲しみにくれたマチ子は酒と煙草を愛しています
そんな破たんした生活を続けた結果、鏡に変なものが写りこみます
老けてやつれたマチ子の顔でした。
怒りに狂い八つ当たり気味にPCを投げつけPCが壊れます
その時、大きな鳩時計が衝撃で落ちて来て頭をぶつけ動けなくなります
その時の衝撃で脳に異常が生じ物が正しく認識できなくなりました
テーブルに食べ物があると思い虫を食べたり
突然発狂したり薄暗いところで影がうごめいてると怯えたり
周囲からどんどん浮いてしまいました。
マチ子は日に数回正常な精神状態になると自らの現状に苦しみ
治療のため自律神経によく聞くと言われる温泉を飲みます
すると温泉の別の効能のせいかか関節が外れ腰痛が治りました。
しかしマチ子は不安で夜も眠れません
そうこうしている内に戦争は終結し町はお祝いの花火が上がります
そして美人コンテストの再戦を望む声が大きくなりました。
困ったのはマチ子でした。
もう美しさからはずいぶん遠い生活をしています
そのため少しでも女の子らしさを取り戻すためにぬいぐるみを部屋にあふれかえります
しかしマチ子の衝動は抑えきれずぬいぐるみに当たり引き裂いては
正常に戻り泣く泣く裁縫をしてまた引き裂くを繰り返しました。
そしてマチ子は自分がぬいぐるみになれば傷つけないのではないのかと
自分の皮膚に布切れを移植していきました。
かくしてマチ子は愛らしいぬいぐるみになったのですが
お世辞にも美しいとは言えないずんぐりむっくりの体型になってしまったのですが
マチ子は町の人気者となり愛されています(終わり)
[編集済]
ー
タイトル『極めよっ!土井中村』
主人公のギャップがすごくて、クラクラしてしまいそうです。美少女が好きなのか、ネトゲが好きなのか……? [良い質問]
「ふぅっ」
今日も仕事が大変だった。さすが不景気だ。気晴らしに俺は大好きな焼酎とくそまずい煙草をやって時計を見た。20時。まだ約束の時間までしばらくあるが、一応用意をしておこう。
『パンッ…』
「この音は…またやつらか。この後は用事があるっていうのに!」
俺は愛用の拳銃を抜き去ると走り出した…
奴らとの銃撃戦だ。もちろんラテシン組の若頭である俺にとってはウミガメ組なんか取るに足らない相手だ。
しかし、その日は急ぎの用事があったので冷静になれなかった。おかげで右肩の関節が外されちまった。まあ、それでもウミガメ組の連中を返り討ちにしてやったけどな。
右肩の関節をはめなおしながら俺はやさしくウミガメ組に説教した。
「もう二度と俺のシマに手を出すんじゃねぇぞ!次は両手足じゃ済ませねぇからな!」
イライラしながら時計を見ると20時20分。約束の時間まであと10分だ。俺は連中を置いて走り出した。(②、①、⑫)
「なんとか間に合ったか。」
時計の長針は6を少し過ぎたところだった。近くにいた店員が俺に気づいた。
「いらっしゃいま…キャアァァー」
「ん?どうかしたか?」
「ちっ血が…」
ぬかった。慌てて店に向かったため返り血のついたTシャツを着替え忘れた。仕方ない。
「えーと…これは気にしないでくれ。予約していたマチ子だ。」
店員は足を震わせながらも部屋に案内してくれた。
俺が部屋に入るとガヤガヤしていた部屋は静まり返った。気まずくなった俺は、
「どうも、マチ子です。」
と、この場での合言葉を言った。オタク風の男2人にがりがりの女1人。部屋にいた彼らは恐怖に慄きながらも一応招き入れてくれた。
そういえば、まだこの集団のことを話してなかったな。これは、大人気ゲーム『極めよっ!土井中村』内の俺のギルドメンバーだ。今日はギルド結成1年目を祝してのオフ会だ。
「えっと、とりあえず飲み物頼みましょうか。」
俺の言葉にみんなは目を合わせず首を少しだけゆらした。やはり、おれにビビってるようだ。困った。今日は楽しく過ごす予定だったのに。ミッキーの柄を濡らす赤い液体さえなければ!ウミガメ組がいなければ俺だけオフ会で浮くことは無かったのに!まあ、終わったことは仕方ない。できるだけ楽しもう。
飲み物が届いたらとりあえず乾杯をして、今日の本来の目的である協力ダンジョン『水平線に潜む悪魔』をプレイする。このダンジョンをクリアしたら念願のアレへのチケットが手に入る。
「では、パソコンを起動してください。」
俺はそういいながらカバンからノートパソコンを取り出した。
「あれっ?起動しないな。」
よく見ると基盤に傷があった。くそっ。ウミガメ組の奴らめっ!
「すいません。パソコンが壊れていたんでちょっと走って新しいものを買ってきます。皆さんは先にはじめちゃっていいですよ。」
そう言い残すと、俺はすぐに新しいパソコンを買いに走った。金は捨てるほどあるから、すぐに最新のものを買って店に戻った。幸い、みんなそこまで進んでいないようだ。急いでパソコンを起動して俺のキャラクター『マチ子』でログインしてメンバーを追いかけた。 (⑩、④)
メンバーを追いかける途中でランク四の『たらい落とし』がでてきた。カブトムシの角を装備していなかったら危なかった。たらいなんかで顔をへこましたらアレに支障が出るからな。
その後、途中でランク2の『鶴』の群れが現れたりしたがなんとか追いついた。
そして、中ボスの『陸ガメ大佐』にみんなで挑み、辛くも勝利した。
「やりましたね!あとはボスの『ウミガメ組長』を倒すだけです!」
喜ぶメンバー。俺も笑い顔をみせた。皆が怖がりうつむいた。ショックだ。
それは置いといて、歩みを続けると、ランク7の『虫食い』が現れた。奴の威嚇に俺以外のメンバーはスタン状態になった。俺がなんとか奴を倒すと、ランク1の『虫食わせ』がメンバーに虫を食わせていた。慌てて『虫食わせ』をたおしたが、メンバーはすでに『発狂虫』を食べさせられて発狂状態だ。
「す、すいませんっ。」
メンバーが謝ってきたが仕方ないことなので、発狂を治す飲み薬の『温泉水』を飲ませた。メンバーは指をひたすら隠していた。俺が失敗を責めて指を詰めさせるとでも思ったのだろうか?皆にも見せたいくらい愉快な光景だった。が、ゲームが進まなくなるので、
「さっさと指を出せ!そしてテーブルの上におけ!」
と言った。誤解して泣きだした女をなだめるのに15分もかかった。少し反省だ。
そのあと、何とか『ウミガメ組長』を倒し、アレを手に入れた。そう、『土井中村美人コンテスト』のチケットだ。(⑤、⑥、⑦、⑧、⑪)
[編集済]
ー
ついに手に入れた…。念願のチケットを!そのあとメンバーと1時間ほど話したりして(目は合わせてくれなかったが)会はお開きになった。
俺は家に帰って電気を点けた。何かの影が棚の後ろに隠れていったが、いつものことだ。ワケアリ物件ということだから仕方ない。赤く染まった服を着替えるために洗面所へ行くと長い髪をもった女が鏡に映った。今は慣れているので怖くもなんともないが入居した当時は怖かった。その気を紛らわすためにゲームを始めたのだ。だから、今の俺がゲームをはじめたのは彼らのおかげなのだ。そう思うと、あったかい気持ちになった。なんてね。
着替えると、俺は早速美人コンテストに参加申し込みをした。他の参加者を見ると皆ガリガリかデブかブスばっかり。6万円かけてカスタムした俺のマチ子に勝てる奴はいなさそうだ。
とりあえず、曜日ダンジョンを周回していると、ミニメが入った。運営からだ。どういうことだろうか。ミニメを開いてみると、
【このたびは美人コンテストにご参加いただき誠にありがとうございます。ところで、今回の美人コンテストにおいてわが社はアイドルグループ『松坂牛47』の高山月子にご自身をモチーフにした、『高月』というキャラでプレイしてもらうことになっているのはご存じでしょうか?これで『高月』を一位にすれば、わが社は莫大な利益を得ることができます。そこで、相談なんですが、今回の美人コンテストでは彼女を優勝させたいのです。しかし、あなたの『マチ子』は優勝確実と考えられます。なので、票数を操作して1位を『高月』にしたいのです。そこで、あなたの『マチ子』は今回は準優勝ということでいかがでしょうか?それなりの報酬も用意いたします。お考えください。】
俺はその文章を読んで迷った。確かに、高山は可愛い。俺でも知っているくらい有名だ。付き合えるなら、全財産を渡してもいいくらい可愛い。世界で一番…。まあ、それはおいといて報酬もあるという…。
床に入った後も目が冴えて眠れなかった。
俺の選択は…
(⑨、③)
【結果発表】
今回の優勝者は…
高月です。
参加して下さった皆様ありがとうございました。
結果発表を見たあと、俺はベランダに出て、隣町の花火大会を見ていた。
俺の選択は正しかったのだろうか…。
いや、この世界に間違いなんてあるはずがない。
俺は運営から送られてきて部屋に溢れている、『虫食わせ』や『ウミガメ組長』のぬいぐるみを抱きながらもう1度、夜空の赤い花を見上げた。(⑭、⑮)
【終わり】
[編集済]
ー
タイトル 「マチ子と男の幸せな話」
極彩色のファンタジー要素に彩られた、モノクロな現実の物語。ハッピーエンドでありバッドエンドでもあるのが味わい深いです。 [良い質問]
なぁ、ちょっと俺の話を聞いちゃくれねぇか?
あいや、そんなに長くはなんねぇんだが、ちょいと付き合ってくれや。
もう随分昔の話なんだけどな、俺は酒と煙草を愛する草臥れたオッサンだった(②)。そいで、その晩も普段通り酒と煙草をしこたま煽ってたんだけどな、どうも眠れねぇのよ(⑬)。仕方なくPCを開いたはいいが、なんでかすぐに壊れちまった(④)。
どうしようもなくてむしゃくしゃしてふと顔を上げたらな、目の前にちっせぇヒトが浮いてたんだ(⑩)。俺は驚きのあまり逆に冷静になってよくよく見てみたら、蝶々みてぇな羽が生えてんだ。しかもそいつが突然ワケわかんねぇことを喋り出した。
「ねぇ、大変なの!
マチ子ちゃんがさらわれてしまったの!
お願い、助けて!」
マチ子っつー名前になんとなく聞き覚えはあったが、それ以外はてんで話が見えねぇ。けどよぉ、返事する前にさ、まばたきした一瞬のうちに周りがすっげぇメルヘンな世界になってたんだ。そんで俺は、あぁこれは夢だなって思った。年の割に随分可愛らしすぎる夢だが、脈絡もないし、まぁそんなもんかと思ってた。
その蝶々みてぇなちっこいやつ…あー妖精もどき?と話しながら鏡をふと見た時、俺は夢だと確信した。だってな、俺しか映らねぇはずの鏡に、変なもんが映り込んでたんだ(③)。
ちいせぇ頃の俺によく似た、白服の人形がな。
妖精もどきの話を総合するに、どうやらこの夢では俺が人形の王子サマってやつらしい。町の美人コンテストの決勝戦に出場していた、町一番の美人『マチ子』ちゃんって嬢ちゃんが、何者かにさらわれたらしく、そいつを助けに行くんだと(問題文)。
あーもちろん話に出てくる人間はみぃんな人形かぬいぐるみだ。なーんかこいつら全部既視感があったと思ったら、俺がちっせぇ頃によく遊んでたおもちゃに似てんのな。まぁそれは置いといて、とにかく、その『マチ子』ちゃんを助けに行くことにした。なんでだろうな、なんか呼ばれた気がしたのさ。
[編集済]
ー
そんで、よくあるお伽話よろしくでっけぇ城に助けに行ったんだが――すげぇリアルな話なんだけどな――人形の兵隊どもと銃撃戦になったんだ(①)。
だがな、俺は今、人形のくせに腹は減るし喉は乾く。しかも怪我をすりゃ血が出るときた。飢えと渇きは近くにあった温泉を飲んでしのいだが、関節が外れて取れちまった右腕はどうにも戻らねぇ(⑪⑫)。そうやって苦戦してたらな、妖精もどきが俺に囁いたんだ。
「私を食べれば、貴方の身体は直るわ。
私は虫だから戦えないけど、貴方の役に立てるなら本望だわ!」
ってな。そりゃ俺もな、夢ん中とはいえゲテモノ食いはしたくなかったが、尚更死にたくもねぇ。仕方ねぇからその妖精もどきの虫を食った(⑦)。そんで魔法みてぇに元に戻った腕を使って兵隊どもを薙ぎ払い、薄暗いところで蠢いていたラスボスみてぇな影も撃退した(⑨)。
そんでもって『マチ子』ちゃんを助け出し、さらにお伽話よろしく、結婚までしちまったわけだ。結婚式なんかすごかったんだぞ? 町中の人形たちが花火を打ち上げながら、寄ってたかって俺らを祝福すんのさ(⑭)。もう恥ずかしいったらねぇぜ。
あ? 俺が発狂してるだと?(⑧)
ふざけんじゃねぇ、そんなわけねぇだろ。
なんてったって、俺は昔の生活より今の方が幸せなんだからな!
「えー、今朝入りましたニュースをお伝えします。
本日未明、自宅で衰弱死している男性が発見されました。
男性は、ぬいぐるみと人形が溢れかえった部屋で倒れており、そばには『マチ子』と書かれた古いビスクドールが倒れていたことから、棚から落下してきたビスクドールが偶然頭部に直撃し、脳に何らかの障害を負って動けなくなり、衰弱死したものと思われます(⑮⑤⑥)。
また、部屋に大量の蝶の死骸が散乱していたこともあり、警察は未だ詳細を調査中とのことです」
マチ子タチ、サミシカッタカラ、
イノチ、モラッタノ。
コレカラハ、ズット一緒ダヨ…?
[編集済]
ー
これにて投稿を終わらせていただきます。長文失礼いたしました。 [編集済]
ー
タイトル「銀行強盗の涙」
美醜で人の人生は変わる。それはある種の事実ではあるけれど、囚われすぎると幸せへの道を見逃してしまう……切ないお話でした。 [正解][良い質問]
マチ子は確かに「今は」町一番の美女である。
ところがその昔、彼女はお世辞にも美人とは言えなかった。
実は昔、彼女の肌はニキビだらけでおまけに太っていた。そのためか彼女は小学校のころから同級生によくいじめられていた。
例えば小学校の頃に学校のPCが壊れたことがあり、本当は彼女が学校のPCを触ったことがないにもかかわらずなぜか学校のPCを壊した犯人にされた。(4)
それだけではない。彼女が食べる給食にこっそり虫を入れられてそれを食べざるを得ない羽目になったり、学校の手洗い場の鏡に彼女が写りこむと同級生が「あっ、変なのが写ってる!」とからかわれたりするのは日常茶飯事であった。(3)(7)
残念ながらその風貌は大人になっても変わらなかった。
そして大人になってからは社会人として働き始めたストレスで眠れなくなり、酒とたばこにのめりこむようになった。(2)(13)
そのような彼女がなぜ「町一番の美人」と言われるほど美人になったのか?-答えは整形。そう、彼女はいわゆる整形美人だったのだ。
整形によって美人になってからは関節外しを行いながら温泉の水を飲んだり、プールであえて浮き輪を使って水に浮くトレーニングを行ったりするなど美貌を保つためにあらゆることを行った。(10)(11)(12)
そんな彼女はある日、ポスターで花火大会と同時開催の夏祭りので景品が特大ぬいぐるみ10個の美人コンテストが行われることを知った。(14)
ぬいぐるみが大好きで常に部屋を占拠している彼女にとって「自分に自信をつける良いチャンス!」と感じた。(15)
そして彼女は美人コンテストに参加した。
ところが、町の人は彼女が整形で美人になったことを皆知っていた。そのため整形している彼女よりも多少美貌が劣っても整形していない町の女性を選んだのだ。
こうして美人コンテストに敗れた彼女は発狂し、覚醒剤を飲むようになり、薄暗いところで影がうごめくようになった。(8)(9)
そして影は言った。「銀行強盗やってみたら?」
こうしてすでに覚醒剤漬けになってしまっていた彼女はこっそり地元の猟師が持っていたアサルトライフルを奪い、銀行強盗を行った。
そんな中、銀行強盗を制圧しようとする警察官の中に過去の彼女を知っていた元同級生、亀夫がいた。
亀夫は彼女が警察の同僚と銃撃戦を行う中で、整形した彼女が昔の同級生のマチ子ではないかと気づいた。(1)
そこで亀夫はこっそり自宅へ帰り、昔の卒業アルバムを取り出した。そこには過去の、つらい状況にあっても笑顔の写真のマチ子がいた。
そして銀行に戻ると、亀夫は銀行があるビルの屋上から外に出ようとした彼女にこう言った。
「おい、俺のこと忘れてんのか?」
しかし彼女は彼が元同級生の亀夫であることに気づいていないようだった。そこで亀夫は彼女の頭に卒業アルバムを投げつけた。
見事それはマチ子の頭に当たった。(5)そして動けなくなった彼女を警察が取り押さえ、逮捕した。(6)
しばらくして彼女は自分が病院の中にいることに気づいた。そこには亀夫がいた。
「なあマチ子、どうしてこんなことをしたんだ?」
「だって、美人コンテストに負けて悔しかったからよ。」
「僕は本当は、決してかわいいわけじゃないけどやさしかった君が好きだったんだ。」
「えっ?」
「君は昔、飼育委員だったよね?僕は君が動物にやさしく接しているときの君の顔が好きだったんだ。」
「なんでそれを言ってくれなかったの・・・?」
「ごめんな・・・・もっと早く気づいていれば・・・。」
そういうと、彼女もまた「なぜもっと早く美貌だけではなく内面を見てくれる人を見つけられなかったのだろう。」と涙を流したのであった。(終)
[編集済]
ー
皆様、ご参加ありがとうございました。
まずは最難関要素賞です。
最難関要素は……
まりむうさんの
要素11 温泉を飲みますです!
まりむうさん、おめでとうございます!!
要素4、5、11、13が1票獲得で並んでいましたので、MC権限で11を選ばせていただきました。票がバラけた辺り、今回は要素のバランスが取れていたように感じました。
続きまして、最優秀作品賞です。
最優秀作品賞は……
まりむうさんの「銀行強盗の涙」です!
まりむうさん、おめでとうございます!
叶わなかった淡い恋の存在に気付いたのは、すべてが終わった後だった……とても切ないお話でした。
最後に、シェチュ王の発表です。
第40弾のシェチュ王は………………
まりむうさんです!!
おめでとうございます!!!! (^^)/▽▽\(^^)
最難関要素賞、最優秀作品賞とのトリプル受賞です。お見事!
まりむうさんには、次回の「作りだす」の出題をお願いします。
さて、第40弾の作りだすもそろそろお開きの時間となりました。
皆様、ご覧になっていただいた方々も、ご参加いただいた方々も、本当にありがとうございました。
さて、ここからは恒例の出題者解説です。
「マチ子とマチ男」
町一番の美人の街田マチ子は、生まれつき美人だった。あまりにも美人だったため、幼稚園の頃から周囲に遠巻きに見られ、ほとんど友達がいなかったほどだ。さらに彼女の美しさは、美しすぎて鏡にまともに映らず本来マチ子が映るはずの場所には変なものが映り込んでしまう(要素3)だの、幼い彼女を巡って十人の男達が銃撃戦を繰り広げた(要素1)だのおかしな噂をいくつも産み、マチ子の孤独を加速させた。
やがて高校生になったマチ子は、その美しさこそ変わらなかったが、ひどく地味なスクールカースト最下層の生徒と化していた。友達も作れず、おかしな噂に苛まれる日々が彼女の自己認識を歪め、「私はとても醜い」と思い込ませてしまったのだ。その美しい顔を瓶底眼鏡と貞子ばりの長髪で隠し、嫌なことが何も起きないよう息を潜める毎日を送る彼女は、本棚の高いところからすっぽ抜けた本の角が頭を直撃して痛みに動けなくなっても(要素5、6)誰も気に留めないほど、悪い意味でクラスから浮きまくっていた(要素10)。
図書委員の仕事で遅くなった帰り、マチ子は電柱の陰にうごめく人影を見つけた(要素9)。普段なら足早に立ち去るところだったのだが、その時マチ子は、電柱を通り過ぎた後うっかり振り返ってしまった。そこにあったのは、マチ子に勝るとも劣らない美貌を持つ少年が、「実食! 昆虫図鑑」というタイトルの本片手に虫を食べている(要素7)光景だった。
「大丈夫ですか?」
その光景の奇妙さに、思わず口に出していた。すると、少年はあっけらかんと
「いやー、この虫、本当に美味しいのかなぁと思って」
とはにかんだ。なのでマチ子は、
「本当に大丈夫ですか?」
ともう一度尋ねる羽目になってしまった。
電柱の陰で虫を食べていた少年は松田マチ男という名前で、マチ子の学校の後輩だった。彼もまた、その美貌ゆえにマチ子同様クラスでは遠巻きに見られており、友達がさっぱりいなかった。
互いに本好きであることも幸いして、はみ出し者同士のマチ子とマチ男は急速に接近した。人のいない放課後の図書室で、二人はカウンターを挟んで色々な話をした。マチ男の情報の授業中に、先生の使っていたPCが壊れて(要素4)授業が潰れただとか、マチ子のクラスメイトが、飲泉と言われる飲んで効能を発揮する温泉を飲んできた(要素11)だとか、他愛のない話がほとんどだったけれど、マチ子はマチ男となら何を話していても楽しかった。
ある日、図書室で喋っている時、マチ男がマチ子に言った。
「今、僕のうちのある商店街で、お祭りを企画してるんだ。で、そこで美人コンテストがあるんだけど、マチ子ちゃんに出て欲しい」
突然の申し出に、マチ子は戸惑った。自分は綺麗どころかむしろブサイクだというのに、マチ男は何を言っているのだろう? そう思って断ったが、マチ男はマチ子の手を取って
「そんなことない。マチ子ちゃんはとっても綺麗だよ。だからお願いだ、僕を助けてほしい」
そう言うとマチ男は、自分の境遇を打ち明け始めた。彼は父親と二人暮らしなのだが、その父親が酒と煙草に溺れて(要素2)自分の酒屋を潰しかけていること。それでもマチ男は、父親の酒屋とその酒屋のあるほとんどシャッター街と化した商店街をもう一度盛り立てたいと思っていること。商店街でのお祭りは、その目標への一歩として、彼が企画したということ。辛いこともあったはずなのに、むしろ明るい顔で語るマチ男が、マチ子は好きになった。
「でも、数週間前から募集を始めたのに、まだ参加者が大して集まっていないんだ」
シュンとしているマチ男に、マチ子は言った。
「分かった。出るよ、美人コンテスト」
「本当に?」
「うん。マチ男の熱意にほだされて。……マチ男君、かっこいいね」
「そう、かな」
「普通、商店街を盛り立てたいと思っても、なかなか行動に移せないよ。私達はまだ高校生だから尚更、大人じゃないからとか言い訳付けて諦めちゃうと思う。それなのに、マチ男はもう、お祭りの準備を進めてさえいる。……憧れちゃう」
そして、その日からマチ子は、商店街のお祭りに向けて、マチ男を手伝い始めた。大好きなマチ男の助けになりたかったし、折角なら美人コンテストだけじゃなく、他の催しにも参加した方が楽しめるだろう、と少し前のマチ子なら考えもしないような前向きな考えもあった。「実食! 昆虫図鑑」の作者を招いて昆虫食を出す屋台を出したらどうか、なんてトンチンカンなマチ男の提案を却下したマチ子は、心底手伝うことにして良かったと思った。
そして、祭りより一ヶ月早く、美人コンテストが始まった。募集時に寄せられた自撮り画像をホームページに掲載し、人気投票で事前審査を行ったのち、祭りの四日間で洋服審査、浴衣審査、自己アピールタイム、結果発表をするのだ。ホームページに載ったマチ子の写真は話題を呼び、奇跡の美少女としてネットの海を席捲した。
ホームページに写真が掲載された数日後、商店街での準備作業帰りのマチ子とマチ男を、見知らぬ男が呼び止めた。マチ男が身構えると、男は警察手帳を出して、二人を喫茶店に誘った。
「街田マチ子さん、松田マチ男くん。君達の保護者は、本当の親ではないかもしれない」
警察官は、マチ子とマチ男は昔起きた誘拐事件の被害者で、実の姉弟である可能性を述べた。ある家から、14年前に2歳の女の子と1歳の男の子が誘拐された事件で、女の子の首にあった十字の痣がマチ子の自撮り画像にも、男の子の額にあった稲妻の傷跡が主催者として掲載されていたマチ男の写真にも、同じようにあったと誘拐された子供達の母親が通報したらしい。警察官に見せられた、ぬいぐるみで溢れかえった部屋で(要素15)眠る子供達には、確かにマチ子とマチ男と同じ痣と傷があった。DNA検査をするために内頬の粘膜だけ採取すると、警察官は気まずい空気と三人分のコーヒー代を置いて帰ってしまった。
それ以来、なんとなく気まずくて、マチ子はマチ男とほとんど口をきけなくなってしまった。もしマチ男と姉弟なら、自分の気持ちは行き場がなくなってしまう。これでいいとは思えないけれど、マチ子にはどうすればいいか分からなかった。
そうこうしているうちに一ヶ月が経ち、お祭りが始まった。マチ子の写真が広まった効果もあり、お祭りは賑わっていた。特設ステージの陰からその光景を見たマチ子は、思わずマチ男に
「やったあ、沢山人が来てるよ!」
と話しかけてしまった。お祭りの成功は多少の気まずさなど吹き飛ばす効果があるようで、
「うん、嬉しいよ。手伝ってくれてありがとう」
とマチ男も以前と変わらない笑顔でマチ子に応えてくれた。その笑顔をもっと見たい、と心底から思ったマチ子は、
「私も頑張ってくるね」
最高の笑顔で、この日のためにマチ男と選んだ服を身に纏ってランウェイに飛び出した。
一日目の洋服審査を終え、帰路に着こうとしたマチ子とマチ男の前に、あの警察官が現れた。良い知らせを持ってきたのか悪い知らせを持ってきたのか、表情からは読み取れなかったけれど、マチ子は嫌な予感がして身構えた。その予感は不幸にも当たっており、警察官は、二人は村崎ウミ、村崎リクという本名で姉弟であることと、元誘拐犯夫婦であるマチ子の母とマチ男の父が逮捕されたことを淡々と告げた。逮捕の際、マチ子の母は抵抗して関節を外され(要素12)、マチ男の父は発狂した(要素8)そうだが、そんなことはマチ子の耳には入ってこなかった。
その日マチ子は、どうしても眠れなかった(要素13)。たった一人の家族だった母のいない家は静かすぎたし、マチ男が弟であるという事実が頭から離れなかったのだ。いや、もうマチ男でさえないのだ。村崎リク、と小さく言ってみたら、その響きは想像以上によそよそしく、虚しさが部屋いっぱいに広がるだけだった。
次の日、リクに会ったウミは、迷いに迷った末、
「マチ男」
と声を掛けた。リクは一瞬だけ目を瞬かせて驚いたが、すぐに
「おはよう、マチ子ちゃん」
と返した。警察官は、お祭りの最終日に村崎夫婦がウミとリクを迎えに来ると言っていた。ならば、せめてそれまでは。
そうして、二人は二日目も三日目もずっと一緒にいた。これから今生の別れでも待っているみたいに、度々お互いの顔を見て存在を確かめて、どうでもいいことを一々話した。待っているものは別れなんかじゃなく、むしろずっと一緒にいられるようになるはずなのに、マチ子はひどく切なかった。
三日目の目玉に、リクは花火を企画していた(要素14)。近隣の花火職人に協力を仰いだ本格的なもので、美人コンテストに次いで話題を呼んでいた。リクとウミは、商店街で一番高い建物の屋上に入って花火を見上げた。そこからだと迫力があるから、というのが建前だったが、本音は二人きりになりたかったのだ。
「明日にはこのお祭りも終わりか」
「うん、終わっちゃうね。……明日の結果発表、村崎さんが観に来るみたい」
「そう。じゃあ、結果発表の時は「村崎ウミ」って呼ばなきゃならないな」
「……うん。私もう、街田マチ子じゃなくなるんだね」
「なんだか、こうして花火を見てると、今まで起きたこと全部が夢だったような気さえするよ」
「夢、か。それはそれで寂しいかも。目が覚めたらマチ男がいないなんて」
ウミがそう言うと、リクは黙った。そして、何か言う代わりにウミの肩を抱いた。しばらくそのまま、二人は花火を見上げ続けた。
「ねえ、マチ男」
もう花火も終わるという頃に、ウミがおもむろに口を開いた。
「姉弟に戻る前に一回だけ言わせて。……好きだよ」
最後の言葉はわざと花火の音に混ぜた。言ったって仕方がないし、リクを困らせるだけだ。でも、言わずにはいられなかった。
「……僕も、マチ子ちゃんが好きだよ」
マチ男が花火の音に合わせて、マチ子の耳元で囁いた。
そして、お祭りの最終日。美人コンテストの結果発表の時間がやってきた。
「優勝者は……街田マチ子さん、ではなく、村崎ウミさんです!(問題文要素)彼女は、この美人コンテストをきっかけに、本当の肉親と本当の名前を取り戻しました。ウミさんに、改めて祝福の拍手を!」
ティアラを受け取り微笑むウミを見て、観客の中にいたひときわ美しい女性が涙を流した。
「それでは、これで第一回〇〇町商店街美人コンテストと、〇〇町商店街夏祭りをおひらきにさせていただきます。皆様ご参加ありがとうございました!」
閉会宣言を終え、ウミの元に戻ってきたリクは、ウミの頭を撫でた。
「姉さんなら優勝するって信じてた。おめでとう」
「ありがとう、リク。リクこそ夏祭りの主催者お疲れ様。今日は家族皆でお祝いしよっか」
笑いあう二人の姿を、先ほど涙を流していた女性が見つめていた。恋は終わったけれど、これから、もう一度家族になるのだ。【完】
要素1 銃撃戦が起こります
要素2 酒と煙草を愛しています
要素3 鏡に変なものが写りこみます
要素4 PC壊れます
要素5 落下物に頭をぶつけます
要素6 動けなくなります
要素7 虫を食べます
要素8 発狂します
要素9 薄暗いところで影がうごめいています
要素10 浮きます
要素11 温泉を飲みます
要素12 関節が外れます
要素13 眠れません
要素14 花火は上がります
要素15 ぬいぐるみが部屋にあふれかえります
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