親の心子知らず

娘が太ってきたので、これ以上肥えてしまうのを防ぐべく、お昼ご飯を故意に忘れるようになった。









私「(お母さん)お昼ご飯はまだですかねえ」

母「やだわ。もう食べたじゃありませんか」



私の問いかけをさらりと受け流し、母はすまして言う。そうは言われても、私はお昼ご飯など食べた記憶はない。





それならば、と冷蔵庫を漁ろうとすれば、中は調味料以外ほぼ空っぽ。

不思議に思い母に尋ねてみれば、買い物に行くのを忘れたとの返事。



(…まさか、お母さん、若くして認知症に……)



必死に最近の母親の動向を思い返してみる。そういえば、最近母親はいろんなことをうっかり忘れるようになった。主に食べ物関係。





しかし、物忘れと言うものは、こんなにいきなり始まるものなのだろうか。何かきっかけはなかったか。



(最近変わったこと…ないな、別に)



そういえば、一応最近、私の体重がついに80代の大台に乗ったというプチニュースはあったりしたのだが、まさかこんなことが母の物忘れを引き起こすはずもない。



答えの出ない問いに、私は頭を抱えた。