首なし事件は……

ハイキングコースから少し外れた山に、彼は近付いていた。

やがて、何か嫌な臭いが漂ってくるのを感じる。



「こちらです……」



先に来ていた警官に案内され到着したそこにあったのは、首なし死体に縄のついた枝ぶりのいい木、そして一つのバックだった。一目で自殺だとわかる状況である。

バックの中には遺書も入っており、その考えを裏付けていた。



「遺書の日付は……半年以上も前か……」



それそうだろう、この嫌な臭い……『腐敗臭』から考えれば、これが昨日今日起こったことではないのは明白だった。



「でも、なぜ首がないんでしょう？」



「……縄だよ。自重に腐敗した首が耐えられなくなったんだ」



彼の言葉通り、すぐ近くから腐敗した頭が見つかった。

彼はその首に手を合わせてから、周りの警官たちに指示を飛ばすのだった……。





要約：

遺書や縄などの遺留品で一目で自殺だとわかる。

首なしなのは、首吊り自殺だったため縄と自重が首にかかり、死体が腐敗したことで首がそれに耐えきれず、ちぎれてしまったため。