僕は近所に住む仲の良かったお兄さんに、「"生きる"って何だろう?」と訊いた。
お兄さんはいろいろなことを知っていて僕に教えてくれていたけど、今にして思えば、僕はませた子供だった。
するとお兄さんはちょっと考えて、手に取った雑誌に載っていた、ある飛行機の写真を見せた。
「この飛行機のようなものかな。今はもうほとんど飛んでいないのだけど」
それがどう"生きる"に繋がるのかはわからなかった。ただ、美しく強く飛ぶその姿に、僕が心惹かれたのは事実だ。
時は流れて、あの頃のお兄さんの年齢に近づいた。
ようやくあのときのお兄さんの真意に気づいた僕は、遠いお兄さんの背中を追おうとしている。
……
この話、どうお思いになりましたでしょうか。
実はこの「お兄さん」、「僕」にこの話をしてほどなく、自殺しています。
ええ、"遠いお兄さんの背中を追おうとしている"「僕」も。
さて、「僕」が気づいた「あのときのお兄さんの真意」とは、どんなものだったのでしょう?
【ウミガメ】
お兄さんが見せてくれた飛行機は、人を乗せて飛ぶことができる飛行機ですか?
Yes. 実際に飛んでいます。
飛行機の種類は掘り下げるべきですか?
Yes! 機種(と言うのかな)の特定とそれにまつわる部分が要知識箇所です。 [良い質問]
写真の飛行機は日本軍の特攻機に使われたゼロ戦ですか? [編集済]
No. 軍用機ではありません。
2 それは戦争で使われましたか?
No. ざっと調べましたが軍事利用はされてないかと。
2より。その飛行機は、現代でも飛んでいますか?
No! 今から10年以上前に利用されなくなりました!(当時の「お兄さん」の言葉通りですね) [編集済] [良い質問]
飛行機の定員人数は重要ですか?
No. この問題で問うている真意には直接関係しません。
2より。掘り下げるべき飛行機の「種類」とは、戦闘機、旅客機のような大きな区分ではなく、戦闘機の中でも零戦、のように、具体的な飛行機の名前ですか?
Yes. いつ飛んだ○○便、までではなく、機体名といえばよいでしょうか。
飛行機の外観的な部分が重要ですか?
NO. 外観は直接真意には関係しません。
その飛行機はコンコルドですか?
YES!!! えぜりんさん毎度鋭いです! [良い質問]
速ければいいというものではない……という話ですか?
YESっぽい気がしますが※ミスリード注意。
その飛行機が現役で飛んでいた頃には、日本でも離着陸されていましたか?
9.の通りですので、日本には5回ほど来たそうです。
飛行機は必要なくなったので捨てられる運命にありましたか?
NO.そういう意味ではないです。ちなみに実際のコンコルドは一部を除いて世界各地で展示されているとか。
人生太く短くですか?
NO. そう解釈することもできたのでしょうが…
墜落事故は関係しますか?
NO. 寿命を決定づけたのは2000年の墜落事故のようですね。
仮に優れた部分があっても総合力がなければ生き残れない、という話ですか?
NO. ただ遠回りにはYESになる可能性はあるのかも(ごめんなさい)。
自殺の手段はテロですか?
NO. 自殺の手段は関係ないです。
美しい機体と、高い性能を持ちながら、社会に広く受け入れられることなく消えて行ったコンコルドに、自分の人生を重ねて見ていますか?
NO. 実は「僕」はどちらかといえばそう解釈していたのですが… [良い質問]
コンコルドが唯一の超音速旅客機(速い飛行機)だということは、重要ですか?
NO! 実はほぼ重要ではありません。 [良い質問]
TGVは重要ですか?
NO. あくまでコンコルドが重要です。
コンコルド効果は関係ありますか?
YES!!! まとめてくださいませ! [良い質問]
僕も今、自殺しようとしていますか?
Yes. 問題文の最後にあるとおりで、時が経って真意に気づいた結果として「僕」も自殺しようとしています。
今まで努力して、高い教養や学歴などを身に着けたけど、結局社会では役に立たなかったのに、諦めきれずさらに金と時間を浪費する結果になってしまった自分の人生を嘆き、もう終わりにしようと思っていましたか?
その通り!! 「人生をコンコルド効果に擬えていた」が出ればFAでございます。 [正解]
英仏が威信をかけて開発した、超音速旅客機。
圧倒的なスピード。そのために計算された美しいフォルム。
2003年に全機が退役した今なお、伝説的に多くの人々を魅了している。…そう、今はもう利用されていない。
低い燃費と輸送力、騒音などの環境問題、開発コストの高額化…期待とともに受けた発注もキャンセルが相次ぎ、結果としてたった16機製造されただけで生産が打ち切られ、商業的には失敗に終わった。
この渦中に試算したところ、大失敗に終わることが明らかになっていたにもかかわらず、これまでつぎ込んできたリソースを無駄にすることへの恐れと責任逃れから甚大な損失を止めることができなかったという。
この事象は後に、ギャンブルがやめられないとか退くに退けない負け戦による疲弊とかの例にも使われる「コンコルド効果」と呼ばれ、不本意な意味でも伝説を残した。
…お兄さんが亡くなったと聞かされたのは、コンコルドの写真を見せてもらったあの日からほどなくだった。
まだ小学生だった僕にはショックが大きいと思ったのか、自殺とは聞かされていなかった。
最近ひょんなことからその事実を知った僕は、ふとコンコルドのことを思い出す。
そこで先の「コンコルド効果」を知った。
…お兄さんは、こう言いたかったんだ。
「生きていくことは、何ひとついいことなどなく、酷い最期を迎えることをわかっていて、それでも続けなければならないという強迫の下にある」、と—
ただ、「それでも愛される人に愛されるべく、気高く美しくあれ」と続けることもできるのだろう。…さっきまでの、僕のように。
僕はずっと、あのお兄さんに憧れてた。お兄さんのようになりたかった。
世界は今になっても一向に…いや、悪くなる一方だ。
あの日お兄さんがコンコルド効果を引き合いに出して見限った世界。僕にも、これ以上付き合わされる意味なんかなかった。
ずっと会えなくてごめんね。向こう行ったらまたいっぱい話そうね…
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