無謀なる挑戦

それは今をさかのぼること数千年前のこと。



磯で採集していたカメオは、岩肌で見たこともない貝を発見した。

殻を割ってみると、デロデロとしたグロテスクな中身がお目見えした。

村に持ち帰ってみたものの、一人として知る者はいない。

そして見た目の不気味さゆえ、村人は全員「絶対毒持ってるよそれ！」「捨てろ！」などと酷評した。



だが無謀さが取り柄のカメオは黙っちゃいられない。

彼は村人たちみんなの前でそれを平らげたのだ。

唖然とする村人を尻目に、彼はただ一言つぶやいた。

「──うまい」と。



この貝は後に「カキ」と呼ばれ、高級食材として珍重されるようになる。

カメオは人類史上最初にカキを食べた人間だったのだ。







そして現代。ある旅館でカキづくしの宴会が催されていた。

カメコは友人のカメミと一緒に参加し、生ガキやカキフライ、カキ鍋といった料理を堪能していた。



カメコ「それにしても、最初にカキを食べた人ってよっぽどお腹がすいてたのかな」

カメミ「えー、どうして？」

カメコ「だってあの見た目だよ？フツーは食べないでしょう」

カメミ「あー、確かに」

カメコ「すごいよねー」

カメミ「ねー」