近くて遠い

あ

る日、アオとグレンは、娘が婚約者をつれてきたので食事会を開いていた。



古くから知る人だったので、すんなりと受け入れて、アオの昔話に花が咲いた。



「そうそう、昔ね、母さん結婚指輪をなくしたことがあって。すぐ戻ってきたんだけどね」



「ああ、あの話か。」



グレンは笑う。



「ん？」



「私も悪かったんだけどね～。ご飯作ろうとして指輪はずして置いといたの。でも場所が悪かったみたいで、つかまり歩きを始めたばっかりのシオリの手に届く場所にあったのよ。」



「えっ」



「いや～、金属なんて食べないと思ったんだけど口モグモグ動かしてるから、まさかと思っってね。一応病院連れてったらそのまさか！レントゲンにしっかり映ってたのよ。もうね、びっくり。サプライズ！」



「えっえっ」



「でもね～、満足げにしてるし、飲んじゃったことで痛がったり苦しがったりしていたわけでもないし、後は出てくるの待つしかないよって言われてねぇ」



「えっえっえっ」



「次の日そっと出てきたわ。オムツから」



「もうやめてママ。一応婚約者の前なんだから」



「大丈夫だよ、シオリとは赤ちゃんからの付き合いだからね。」



「頼んだよ、アサギ。」



「はい、パパさん！」



「しかし、姉さん。いつまで泣いてるの？」



「だっでぇえええ…。いっ、いぐらアオとグレンの娘だって言っても…息子がわらし以外の女のところに行っちゃうなんてたえられなヴぁあああああああああ」



「母さん、お店なんだから静かにしようよ…」



「相変わらずなんだこの姉は…」