【正解を創りだす】やさしさがとまらねー【ウミガメ】

今日は日曜日ですか？

林檎を齧りますか？

ゲリラ豪雨が降りますか？

クリスマスにサンタが来ませんでしたか？

停電しますか？

思った通りですか？

勘違いしますか？

メガネが汚れてグラサンになりますか？

かぼちゃは落ちてますか？

無線ですか？

みかん美味しいですか？

カラオケに行きますか？

いきなり白髪になりますか？

帰省してますか？

ビンタされますか？

仮装大会に出ますか？

火事がおこってますか？

電話をかけますか？

空手マスターは出てきますか？

空き巣されてますか？

予備校に行きますか？

ロックを歌いますか？

腰痛酷いですか？

やさしいですか？

「かわいいね」と言われますか？

おでんを生成しますか？

田中が坊主になりますか？

しゃくれてますか？

結露は重要ですか？

田中が鉛筆を削りますか？

蚊に刺されますか？

くしゃみがでますか？

雪が降りませんか？

スキーで華麗に滑りますか？

目潰しですか？

田中がケーキをバカ食いしますか？

死因は屁ですか？

うさぎをもふもふしますか？

年越しラーメンでしたか？

あうあうしますか？

ぬいぐるみが重要ですか？

死んだように寝ますか？

バカッターになりますか？

うっかり放送禁止用語を言いそうになりますか？

鉛筆削りは重要ですか？

田中が「にゃーん」と1回以上言いますか？

セーターを編みますか？

「超」は重要ですか？

脳みそがやわらかいですか？

田中が海外旅行しますか？

溶けますか？

田中が帽子を外しますか？

ハンガーに洋服を掛けますか？

自転車で走りますか？

田中がそばを食べすぎて大変なことになりますか？

剣を振りかざしますか？

眠気に負けますか？

田中が音楽を聴きますか？

肩こりに効きますか？

モノマネをしますか？

赤ちゃんが喜びますか？

カレンダーは日めくりですか？

田中がパンチパーマをかけますか？

皆で頑張りますか？

日記を書きますか？

玉を落としますか？

田中がヤクザと戦いますか？

会社帰りの田中は走りますか？

宝くじで1億円を当てますか？

田中がメモを取りますか？

カウンターでミルクセーキを頼みますか？

顔を整形しますか？

風呂が冷めてましたか？

田中が寝坊しますか？

婆ちゃんがぎっくり腰ですか？

政治家になりますか？

尻が筋ばってますか？

田中は田中と出会いますか？

田中がハッキングしますか？

足の小指をぶつけますか？

数学の問題が解けませんか？

何としても田中を間に合わせてやりたいですか？

大きな荷物が届きますか？

田中が新興宗教の教祖になりますか？

田中は登場しますか?

密航しますか？

中２病ですか？

USBメモリが破損しますか？

「お待たせ」と言いますか？

真犯人は貴方ですか？

タイトル:聖なる夜の家族愛 [編集済]

12/22 火曜日 田中亀夫(15)
今日は息子の小学校のクリスマス会だった。
親も芸をすることになり、パパ友とモノマネをした。(11)
人気お笑い芸人のネタ、「やさしさがとまらねー」をやると、大ウケだった。
小学生なんて、チョロイな。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

今日も日記を書き終わる(13)と、明日のせっかくの祝日を今日の休みで台無しにしてしまったことを悔やみながら床に入った。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

翌日、会社からの帰り道。
突如停電が起こり(1)、電車が止まってしまったため、徒歩で帰らざるをえなくなり、家に電話をかけた。(4)
連絡が済み駅を出ると、雪が降り始めた。(6)
なるべく速く帰るため走ったものの、喉が渇く。そこで亀夫はあうあうした。(7)
雪が喉で溶ける。
それが何処か心地よく、そのまま家まで走り抜けた。

家に帰ると、風邪をひいたらしくくしゃみが出た。(5)
熱を計ると、実際には37度8分と微熱だったものの、嫁:亀子が勘違いして(2)38度7分と読み取り、亀夫を休ませようとした。
亀夫からすると、有給休暇を１日おきで２回も無駄にするのは嫌だったので、何が何でも会社に行くと言ったのだが、クリスマスに寝込まれでもしたら困ると、亀子は聞かない。
軽く夫婦喧嘩に発展し、最終的に亀夫は亀子にビンタされる(3)始末。
結局、亀夫は次の日風邪及び左頬のアザのため、休むことになった。

そして、亀夫が休んだ分は他の社員皆でがんばって片付けた(12)と言う。 [編集済]

さて、起きてみるとすっかり熱はひいていた亀夫は、愚痴を言いながら亀子に目を向けた。
何やらこそこそ隠れて何かしているようだ。
覗いてみると、手作りの熊のぬいぐるみを縫っていた(8)ところだった。
ｶﾒｺ「ハッ！･･････良かった。あなただったのね。」
ｶﾒｵ「一体何を？」
ｶﾒｺ「亀太のクリスマスプレゼント～」
ｶﾒｺ「もう縫い終わるわ。」
ｶﾒｵ「ふ～ん」
少し寝ぼけていた亀夫は、そのまま椅子に座ろうとして

ガッ！

足の小指を角にぶつけた。(14)

痛い。恥ずかしい。昨日喧嘩した。会社いけなかった。むしゃくしゃする。
亀夫は何かがはち切れ、錯乱状態に陥った。
そしていきなりぬいぐるみを亀子から取り上げると、縦に引き裂いた。

気が付くと、亀子は泣きながら部屋を飛び出し、自分の手にはぬいぐるみの残骸。
そして部屋中に飛び散ったぬいぐるみの中のわた。

呆然と椅子に腰掛けると、目の前に紙が差し出された。
無意識に亀夫がそれを受け取ると、肩に感触。
ゆっくり動き出して、気持ちの良いリズムで肩が叩かれる。

とーさんお肩を叩きましょー。たんとんたんとんたんとんとん。

手にした紙を見るとそこには、大きい乱雑な字で、
「かたたたきけん」
とある。
なんて肩こりに効く肩たたきだろう。(10)こんなに気持ちの良い肩たたきは初めてだ。
目に涙が溢れ、身体中綿まみれで真っ白な亀夫は部屋中に響きわたる声で、

「やさしさがとまらねー！」

――――――――――――――――――――――――――――――――――

クリスマス当日、亀子がいつも通り一番早く目をさます。
亀子の目には、昨日泣きじゃくった涙の跡が鮮明に残っていた。
その枕元には、少し汚く包装された包みがあった。
開けてみると、セーターだった。
袖の長さは若干揃っておらず、首は細すぎて亀子に入るかどうかも微妙な、酷い出来だった。

脇には手紙が置いてあった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

昨日は本当にすまなかった。
イライラしてたんだ。取り返しのつかないことをしてしまった。謝るよ。
詫びと言っては何だが、セーターを編んでみた。(9)
亀太とお揃いになるように。
出来が悪いのは許してくれ。これでも一応頑張ったんだ。

本当に、済まなかった。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　亀夫

――――――――――――――――――――――――――――――――――

亀子は、心底喜び、再び涙が流れてきた。
急いで亀夫の部屋に向かう。

そして、扉を開けると、亀太が嬉しそうにセーターを亀夫に見せている。
そして、亀子に気付いた亀太は、亀子に
「ママ見て見て～。サンタさんがくれたんだよ！
あ！ママも持ってるの！？お揃いだねぇ～。でも、パパのが無いんだって。残念だな。」
そう言うと、少し考え込んで、亀夫にセーターを差し出し
「パパ、これあげる！ママとお揃いが良いのは、僕よりパパだもん！僕、我慢出来るよ！」
それを聞いた二人は、自分たちの喧嘩のくだらなさ、そして成長した亀太の優しさに気付かされ、また涙が溢れそうになった。
だが亀夫は涙を拭き、満面の笑みを浮かべ、ぶかぶかに編んでしまった亀太用の白いセーターを着て、こう言った。

やさしさがとまらねー！

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　完 [編集済]

親切な魔法使いさんなのです。(ﾟдﾟ)ゞ　

親切な魔法使いさんと



プレゼントを配りに行ったら家が停電してしまった。



必死で明かりを探していると



何を勘違いしたか天童さんにビンタされました。



(ﾟдﾟ⊂彡☆))ω´)



(´･ω･｀)何するんですか～



真っ赤に腫れたお前の鼻が役に立つのさ～(ﾟдﾟ)



いつも泣いてた赤っ鼻の男は「やさしさがとまらねー」と喜びました。







足を弱くしたおばあさんが親切な魔法使いさんに電話をかけました。



しかし天童さんはクシャミばかりで話しをロクに聞きません。



するとクシャミで屋根に積もっていた雪が降り落ちました。。


ドサッドサッドサッ


「やさしさがとまらねー」とおばあさんは叫びました。








バスの中



赤ちゃんがぐずりだしてしまいました。



(´ﾟдﾟ｀)あう～あう～



中々泣き止まない赤ちゃん。困る母親。険悪になる乗客。



そこで親切な魔法使いさんはそこにあったマフラーを解いて



クマのぬいぐるみを編んで赤ちゃんをあやしました。


キャッキャッキャッキャッ



母親は「やさしさがとまらねー」と感謝しました。














サンタさんが四十肩になってしまい



プレゼントが運べなくなってしまいました。




親切な魔法使いさんは肩こりによく効くマッサージをしてあげて



優しさと心遣いの呪文を唱えてサンタさんの物真似させ



ラテシンメンバーのクリスマスを返上し



世界中の子供たちのためみんなで頑張りました。



「やさしさがとまらねー」



不眠不休で頑張ってくれたみんなは感謝を述べました。







親切な魔法使いさんは自分が行った親切を日記に付けます。



すると近くでタンスの角に足の小指をぶつけた男が苦しんでいました。



田中でした。



親切な魔法使いさんは田中を楽にすべく



痛みを感じさせる暇もなくさばくとクリスマスにお世話になったみんなへ



おすそ分けをしました。



私の日記(レシピ)の中でも最高の出来なのです。



魔子さんの手料理にみんなは口々に褒めてくれました。



「やさしさがとまらねー」白い骨になった田中は言いました。(完)

[編集済]

痛いですか？

止まらないビンタ [編集済]

ｲｯｹﾝﾒ　ﾀﾅｶｼﾞﾀｸ　12ｶﾞﾂ15ﾆﾁ　14:25　ｻｲｾｲｼﾏｽ
「手編みでぬいぐるみを作ったので、これから届けにイッテェ！！角に足の小指ぶつけた！ああ、ごめんこれからとど」ﾌﾞﾂｯ

ﾆｹﾝﾒ　ﾀﾅｶｹｲﾀｲ　12ｶﾞﾂ15ﾆﾁ　14：28　ｻｲｾｲｼﾏｽ
「悪いさっきごめん、マンションの電気工事で停電するの、明日と勘違いしてた。これからいくね。あ、雪降ってきた。寒いはずだよなぁ。…ブエックション！待っててな。」

吉田は、携帯の留守電に吹き込まれたメッセージを再生しながら言った。

「いつもこうやって、留守電吹き込んでから来るの、覚えてます？そうだ、留守電のぬいぐるみがこのクマなんですけどね、クマの手足をあうあう動かしながら、変な声でしゃべってましたね。」

楽しそうに吉田は、田中のモノマネをした。

吉田の携帯は、引き続き留守電を再生している。

ｻﾝｹﾝﾒ　ﾀﾅｶｹｲﾀｲ　12ｶﾞﾂ18ﾆﾁ　15：47　ｻｲｾｲｼﾏｽ
「ごめん、ちょっと遅れそう！寝てばかりだろ？肩こりに効くストレッチを特集した雑誌見つけたからかって行くよ！」

吉田は手元の雑誌を手に取った。

「これです。買って来てくれたの。続けるとよく効きますね。肩こりどころかすっかり元気一杯ですよ。」

ひとしきり、話したところで吉田に声が掛かる。

「吉田さん、田中さんの検診してもいい？」

「あ、ハイ。お願いします」

主治医だった。

「…あなたが入院してて、そのお見舞いに来る途中だったんだよね。」

「ええ。」

留守電を一度止めて答えた。

「こんな不憫な姿で終わらせないよ。僕たちみんなで頑張るからね。」

「お願いします…」

手際よく検温、バイタルチェックを済ませる。

「それじゃ、ほどほどにね？」

医師はそっと扉を閉めて出て行った。

田中は入院中の吉田を心配し2～3日に一度、見舞いに訪れていた。

その日も病院に向かっていたが、気が逸るあまり、信号無視をしてしまい車に轢かれた。

搬入された病院が、吉田と同じ病院であった。

吉田からの留守電の後、連絡も来ずあまりに遅いため電話をした。

なぜかナースステーションから着信音がした。

事実を知り、病人でありながら毎日自分の病室から通い、彼に語りかけ続けた。

一年近くたっていた。

健康的な日焼けが印象的だった田中の肌は、透き通るように白くなっていた。

「なまっ白くなっちゃって。早く一緒に海に行きましょうよ。あ、この時期ならスノボですかね。」

「…俺、スノボは出来ないよ…？」

「…え、田中さん？」

「ごめんね…吉田さん、待たせちゃって…。」

田中の顔を近づける吉田。

「ホントですよ！どれだけ待ったと思うですか！一年ですよ一年！」

吉田は涙を浮かべながら、田中の頬に手を添えた。

何度か、優しく痛みがないように、ぺちぺちと音だけを立ててビンタをした。

「この埋め合わせは一生かけてもらいますからね…」

「うん。…ああそのビンタ、やさしさがとまらねー」

「ふふふ、何ですかそれｗ」


12／24、外は雪が降っていた。

聖夜の雪は、奇跡を起こすのだろうか。

Merry　X'mas（済み） [編集済]

覚醒

「ぶへっきしっ！」

くしゃみをしながら電話をかける俺。④⑤

「あ、もしもし？吉田？おえおえ。」
「おえおえ？どうした田中？気持ち悪いのか？」⑭
「あうあう。」⑦
「まあ、暖かくして寝てろ。」
「あうっあうっ！」
「はいはい上手上手。」

吉田は、俺がアシカのモノマネをしていると勘違いしているらしいが、俺は「違う違う」と言っているのである。③
そもそも何ゆえこのシチュエーションでアシカのモノマネをしなければならないのか？
吉田はなにも考えていないに違いない。
俺は断じてアシカのモノマネなんて…モノマネなんて…
「あうっあうっあうっ！」
「はーい皆さん、拍手ぅ～パチパチパチ」

やっぱりモノマネだったらしい…⑪

ちなみに「おえおえ」は「オレオレ」である。詐欺ではない。

ずるずると鼻水をすすり、こわばる頬をさすりつつ俺は喋る。
「さびーいんだよ。停電しちゃってコタツが使えない。」①
「コタツがなければエアコンつければいいじゃなーい☆」
マリーアントワネットか吉田。停電なのだからエアコンが使えるわけがない。
「うるるる…このままじゃ、明日までにカチカチに凍ってしまう。」
「ふうん…じゃ、ウチ来るか？」
「その言葉を待っていた！」
俺は小躍りした。その拍子に足の小指を何かにぶつけた。何かは知らない。停電で暗いから。⑭
「ぐあああああ…」
「何だ？今度は？クマのモノマネか？」 [編集済]

図々しくも吉田の家にお邪魔しにいく俺だが、実は吉田の家がどこなのか知らない。教えてもらった最寄り駅まで１時間弱。電車でたどりつくと吉田が迎えに来てくれていた。

『南無南無ありがたや仏様吉田様』と拝みつつ吉田のあとについて行くと、雪がちらちら舞い出した。寒いわけだ。⑥
と、吉田は屋敷と呼びたくなるような構えの大きい家の門を開けて入っていく。

忘れてた。こいつ、独り暮らしじゃなかったわ。しかもお坊っちゃまじゃねえか。玄関のドアもでかい。ノッカーとかついている。

「ほら入れ。寒いんだからさっさと入れ。」
ごもっとも。恐縮してこちこちに固まっていた俺はあわてて玄関に滑り込む。

「いらっしゃい。停電ですって？大変だったわね。」
吉田の母親とおぼしき女性がニコニコと迎えてくれた。
いつもブスッとぶっきらぼうな吉田とは表情が違うが、顎のラインがそっくりだ。うん、吉田は母親似なんだな。

「お邪魔します」と頭を下げると廊下の向こうに小さい影が。
幼女だ！三人の幼女が、思い思いのおもちゃを手にやって来る。吉田の妹たちだそうだ。可愛いが、ちょっと怖い。女性に慣れてない俺。

リビングに通されて、持ち手が華奢な白いカップで紅茶をいただいていると、棚に並べられたぬいぐるみの中の、ひときわブサイクでモサモサの茶色いものが目に入った。
何だ？この変なぬいぐるみは？と思って持ち上げると、茶色い巨大な毛玉だった。⑧
いや毛玉じゃない。編みかけの…そう、編みかけのナニか、だ。

「うわ！おいやめろ！」
吉田が手を伸ばしてくる。
「何コレお前のォ？」
俺は意地悪く言い放つ。こいつがこんなことするとはな。何だか愉快になってきた。しかも…
「お前ヘタだなあ！ここ、目が飛んでるぞ！」
俺は刺さったままの編み棒を抜き、ばらばらと毛糸をほどいた。
「おい！何すんだよ！」
「まあ見ててみー」
編み棒で目を拾い、すいすい編み始める俺。早いだろ。キレイだろ。ふふん。驚け。恐れいれ。⑨
「田中…意外な特技を持ってるな…」
「おう。ガキの頃かーちゃんに仕込まれた。」

いつの間にか幼女たちに囲まれていた。大道芸人の気分だ。
「やってみるか？」
「うん！」
「やる！」
「ちーちゃんも！」
たちまち伸びてくる六本の手。

「待て待て、順番な。」
俺は一人一人手を添えて編み方を教えてやった。
吉田は黙ってそれを見ている。
「おう！吉田！お前もやってみい！」
「いや、別に…」
「いいからいいから遠慮すんな！」
「いいんだってば！」

ビシィ！
ビンタが飛んできた。③

「あ、何か、ゴメン。」
「いや、俺も、ゴメン。」
ごもごも口ごもり、見つめ合う二人。いやいや、見つめ合わねーよ。

「それ、俺のじゃなくてオフクロの。」吉田が言う。
「急に覚醒したらしい。オヤジにプレゼントするんだと。でもオフクロのへたっくそでダメダメな編み物って、ナンか痛い。」
「いや、いいんじゃね？愛なんだよ。」

愛の何たるかなんて俺は知らない。多分吉田もだ。 [編集済]

電話をかけた時点では、吉田の部屋で床にでも寝かせてもらえれば上々と思っていた俺だが、客間にふかふかの布団を準備してもらい、さながら旅館に泊まっている気分だった。
翌朝の食事も旅館風だった。いや、実は俺、旅館に泊まったことはないのでよくわからない。

三人の幼女はすっかり俺になつき、ベタベタと付きまとう。なついたのはいいが、俺をおじちゃんと呼ぶのだけは勘弁してほしいのだが。

お暇（いとま）しようと玄関で白いコートを着ていると、一番大きい幼女が『にっきちょう』と書かれたノートを持ってきた。（問題文）
「おじちゃん見て見て！日記書いたー！」⑬
だからおじちゃんはヤメロってばー。

見開きいっぱいにクレヨンで絵と文字が書いてある。『あみものみんなでがんばった』…うん、確かに。⑫

前のページにも何か書いてある。どれどれ？
『ままの　かたこりにとんとんききます』編み物疲れのお母さんに、肩たたきをしてあげたらしい。⑩
「こんどおじちゃんも かたーきね」と優しいことを言う。
だからおじちゃんはヤメロと。うーん、『た』が足りないところ突っ込むべき？

「あのねえおじちゃん」今度は二番目の子。だからおじちゃんは以下略。
「あしたパーティーなの。おじちゃんも、きてぇ」
正真正銘女子のお誘いである。涙がでる。

負けじと三人目も割り込む。
「あのねぇ、ちゃんたちゃんちーちゃんねえたーみたったの」
…うんうん、何言ってるか全然わかんないけど可愛すぎる。天使か。

俺は断じてロリコンではないしロリコンだったとしても断じてそういうロリロリコンコンではなんなんだけど。

吉田がこっそりささやく。
「サンタコスはそろっている。頼んだ田中。」

あ、そういうことね。
いいよ、おじちゃん何だってやる。プレゼントも買ってくる。

ああ、優しさが止まらねー、俺。



【おわり】 [編集済]

クリスマスが今年もやってくる [編集済]

12月のある夜のこと…
田中太郎は(15)ニヤけながら日記を書いていた…(13)

12/23のお昼時。
外で雪が降り積もるなか(6)、とある田舎にある田中一家が皆で炬燵を囲みおのおのでくつろいでいるときのことだった。
「ママ、明日からパパと一緒に温泉旅行に行って、ゆっくりいいお湯に浸かって来るから。日頃の肩こりや腰痛に効きそうね…(10)太郎、明日デート行くときは戸締りしっかりね」
太郎の母の花子は言った。夫の亀夫も微笑んでいる。
太郎は驚いた。
理由は二つ。
一つは両親の旅行。
まあ、これは実は太郎が冬休みに入る前は帰ってきたらすぐ部屋でゲームのため引きこもっていたので、伝えるタイミングがなかなかなかっただけである。
そしてもう一つは…なぜ自分が明日外出することを知っていたかということ。
太郎には彼女がいるが、まだ両親には内緒であった。
それを知っている…さては自分の鍵付き日記帳…普段のあんな出来事やこんな出来事、脳内で編まれた(9)壮大な妄想物語が書き連ねられている…あれを読んだな！
実は普段から彼女のことを独り言でつぶやいていたので両親にはもともとばれていたのだが、日記を読まれたと勘違いした(2)太郎は激怒した。

「無断で旅行に行くなんて計画してるかと思えば、息子のプライバシーまで侵害しやがって！こんな家、俺はもう出て行く！」
またまだ精神的に幼い太郎は、ナイフ、ランプ、ついでにスマホも鞄に詰め込んで、途中に足の小指をドアに激突させながら(14)、家を走り出ていった。

「太郎！」
「気にするな、そのうち戻ってくるさ」
おろおろと汗を垂らす花子を横目に、亀夫はのんびりとして動かない。
「男はな、家出を繰り返して成長していくんだよ」
「…そうかしら？じゃあ一時間ほど待ってみようかしらね」


…一時間後。
天気は荒れ、外は吹雪いていた。

「ねえ…？あの子携帯持っていたみたいだし、そろそろ電話かけてみない？」
「…そうだな。掛けてみるか？」
田中家では息子しか携帯を持っていない。
固定電話で掛けた亀夫、だったが…(4)
突然ブレーカーが落ち真っ暗になる。
どうやら吹雪で停電したようだ(1)。
電話も当然切れてしまう。
「あなた、どうしましょう…」
「しょうがないな、全く…近所の奴らと俺が探しに行ってやるから、お前は家で荷造りでもしてろ」
そう言って家を後にし、近所の友人と吹雪の中皆で頑張って(12)太郎を探し回り始めたのであった。

そのころ…
「ヴェッックシ！あうあう…！(5.7)」
行く当てもなかった太郎は、畑の中にある道に座り込んでいた。
太郎は自分の軽率な家出に後悔していた。
ついさっきかかってきた電話も、自分が折れて答えようとしたすぐ直後に切れてしまい、その後も繋がらない。
ランプは油切れである。
体に雪が降り積もり、だんだん眠くなってきた…
その時である。
右頬にビンタが飛んできた。(3)
「馬鹿野郎！」
視界に入ってきたのは、心配していた様子を必死に隠そうとする父親と、近所の父の友人。
「帰るぞ！」
そう一言発し、寒さで歩けない太郎の様子を見てすぐさま背中におぶさる。
「やさしさがとまらねー」
雪で真っ白になった太郎は言った(問題文)。










しかし、田舎の情報網とは偉大なものである。
翌日、雪でしもやけになった赤い鼻を利用してトナカイの真似をしながら(11)プレゼントの特大縫いぐるみを渡そうとした太郎は、昨日の話を近所の人から聞いて知っていた彼女の海子に待ち合わせ場所でものの見事に振られ、そこにいたカップルの視線を集めながら1人で帰宅。
誰もいない家で一人、彼女にあげられなかった特大縫いぐるみをサンドバッグにして暴れたのであった。(8)
完 [編集済]

サンタの祝福

今年もクリスマスがやって来る。
恋人達は甘い夜を過ごし、独り身の人は来年を夢見て息を潜め、
子供たちはサンタクロースを今か今かと待ち構える。
そして親達は...

今年もクリスマスがやって来る
祝福の日ではなく、親と子の仁義無き戦いの日が

カメオ夫婦もその日を今年こそはと待ち構えていた。
彼らの子供のウミオ、ウミコは二人とも賢い。
しかも誰から入れ知恵されたかサンタクロースの正体を突き止めてやろうと息まいている。
一昨年はまだ良かった。
まだ...寝ずにサンタクロースを捕まえるぞ！
と言っているだけの可愛らしい程度の行動だった。

...だが去年からは違った。
2人で寝ずの番を始めたのだ
2人で交代交代に眠り、サンタクロースを捕まえるために策を練っていたらしい...
その時は停電を起こすことで何とかプレゼントを渡すことには成功したが、
散々な目に遭った。
①わざと停電になるようにブレーカーを落とし、
部屋に忍び込んでその間にプレゼントを置いたのだが
その際に②クシャミをしてしまい、何を⑤勘違いしたか
ウミオとウミコが2人で飛びかかってきてビンタを食らわせてきたのだ③
鼻水と涙と痛みで⑦あうあうしながらなんとか逃げ出したが
あの時⑭小指をタンスの角にぶつけでもしたら逃げきれなかっただろう

そう考えるとゾッとする

しかも2人の話によると今年は罠まで張るつもりらしい...

だからこそ、今年はもっと完璧な計画を実行するのだ。なんとしても

そう、今年の計画は完璧だ。
ウミオ兄妹には絶対にバレないように、普段からしっかり管理している⑬日記で妻と計画のやり取りをし
プレゼントもわざわざ
⑮田中を④電話で呼んで⑫皆で頑張って⑨編んだ巨大な⑧ぬいぐるみに隠した

後はこれをどうにかして2人に気付かれないように渡すだけ...その為の段取りも決めてある。まさに完璧だ

ふう...とカメオは安心故かため息をつくと
肩に貼った肩こりに効く湿布に触れる⑩
まさか俺がこんな事で肩こりになるほど頑張ることになるとはな...

だからこそ、今年はなんとしても成功させねばならない。
意気込みを再確認し、カメオは｢クリスマス｣に臨む。




そしてクリスマス。
カメオ夫婦、ウミオ兄妹ともに何処か引き締まった顔をしながら
パーティという名の休息を楽しんでいた
甘いケーキに温かいチキン...
立ち並ぶご馳走は、彼らの英気を養う糧。
何処か雲行きの悪い空も今年の壮絶な戦いを暗示しているようだった。

そして日付が変わる頃
勝負が始まろうとしていた。


だが、神の思し召しか、はたまた悪魔の罠か

今年のクリスマスの雪はホワイトクリスマスだなんて
そんな事を言っていられるほどロマンチックなものではなかった。
まさに豪雪...⑥
気が付けばドアも開けられないほどに積もった雪を見て、カメオ夫婦は絶望する

このままだと...計画が実行に移せない...

妻のカメコが2人に絵本を読み聞かせるために部屋に入り窓を開け、カメオがウミオ兄妹が油断している隙に窓からプレゼントの入ったぬいぐるみを投げ入れるだけの簡単な計画

頓挫することを予想だにしなかった
それほどシンプルで自信のあった計画が
神の指1本で崩されてしまったのだ


2人が絶望で言葉を失いその場に立ち尽くしていると


ふと｢ｺﾝｺﾝ...｣と音がした。
音の鳴った場所を見ると...

窓の外に田中がいた。

雪を被り真っ白になりながら
ニコリと笑いながら彼は言う
｢お前ら困ってると思って...来てやったよ！｣

カメオが何かを言う前に田中はカメコが抱えているプレゼントを
奪うと、サンタのモノマネをしながら言った⑪
｢安心しなさい！全て私が終わらせようじゃないか。
クリスマスには良い子は救われねばならん。

救いを求める神の子に
サンタの祝福があらんことを｣

そして2人も
窓から浴びせられた雪で真っ白になりながら叫ぶ

『やさしさがとまらねーーーー！！！！』 [編集済]