いき急ぐ男

「あ～腹減った。こんな夜遅くじゃコンビニしか開いてないし、カップラーメンでも買ってくるか。……帰ってからお湯沸かすと時間かかるなぁ。コンビニ近くだし、パッと行って、急いで戻ってくればコンロの火つけてても大丈夫だろ」



チッチッチッ、ボォ。



「よし。これで帰ってきたらお湯が沸いてるはずだ」





本官は警察官であります。

今宵も、日本の平和を守るためにパトロール頑張るであります。

ややっ、あそこに不審な男がいるであります。

声をかけるであります。



（思ったよりも時間がかかった。急がなくちゃ）



「そこの君、待つであります」



「へっ、何ですか？」



「こんな時間になにを」



「コンビニで買い物してました」



「では、そこの袋に入って」



「これですか？　ほら、カップラーメンですよ」



（早くしてくれよ。こっちは急いでるんだ）



（この男はなにをこんなに焦っているのでありますか?　怪しいであります。もっと調べるであります）



ウー、ウー。

カンカンカンカン。



「消防車が走っているであります!」



（げっ、あの方向、ひょっとして俺んち!?）



「むむっ、どこにいくであります」



「どこって、急いでるんですよ!　離してください!」



「駄目であります!　話はまだ終わってないであります!!」



「それどころじゃないんだってば!!」





＜要約＞

せっかちだった男は、お湯の沸く時間を待つのが嫌だったのでコンロの火をつけたままコンビニへカップラーメンを買いに行った。

道中、急いでいる姿を警察官から不審と思われ、職務質問を受けた。

誰何されている間にコンロの火が原因で火災が起き、男は住居を失った。