【無茶振り三題噺24】序章

少年は男からチラシを受け取ると、いくつかの点に注目した。



少年「定員は決まってないんだ？」

男「殺し合いの大会だからね、参加者は多ければ多い程いいんだよ」

少年「･･･成程」

男「だから何人誘えばいいのやら。お金を貰っている以上サボれないしね」



お金という言葉に反応して、少年はチラシに目を落とす。そこには「参加費4000円」と書いてあった。



少年「実は･･･、参加費を払える程持ってないんだ」

男「見れば分かるよ。盗みとかして生きているんだろ？そうやって参加費分稼ぎなよ？」



少年｢･･･そう、そうだね｣

男｢じゃあ大会に出るって事で？｣



少年「うん、参加するよ」



少年はそう言いながら男の喉元を斬りつけた。



男「な･･･、何故？」

少年「アンタが言ったんだよ？参加費を稼げって。だから、こうしたんだ」



少年は男の懐から財布を取り出す。



少年「他にも理由はあるけどね。参加者は少ない方が優勝しやすい。つまり、これ以上勧誘して欲しくないんだよ。」

男「分かっ･･･た。しない･･･か･･･ら、殺さ････････ないでく」



少年はもう一度ナイフを振った



少年「やっぱり一撃じゃあ殺せなかったか。まあ、初めて殺すなら上出来かな。大会のいい予行練習になったよ」



少年は殺した理由を言葉にした。自分に言い聞かせるように。言い訳をするように。



だから最初の理由だけは、最後まで口にしなかった。







【解答一覧】

①参加費が足りず、財布を奪うため

②勧誘している人間を殺せば参加者が減り、優勝する確率が上がるため

別解・ちゃんと人を殺せるか試したかった。(肉体的にも、精神的にも)

別解・男が僕達のような人間を明らかに見下していたから