死体に固執する女

豚

の死肉、と言うかとんかつが食卓に並んでいる。



テレビではクジラやイルカを食べる地方の漁船が、環境保護を謳う過激派団体に妨害・攻撃されるという特番が放送がされていた。



「うーん、この保護団体もやりすぎだけど、わざわざクジラやイルカ食べないでもいいよね。…賢い動物だし、かわいそうな気がする。」



女…吉田は言った。



私田中はそれを聞いて立ち上がった。



そしてとんかつの乗った皿を片付けようとした。



「え、何で片付けるのよ。食べてるでしょ？」



「お前がクジラ食べるのはかわいそうとか言うからだよ。」



「え、え？」



「知ってる？豚って最初に覚えた自分の名前、絶対に忘れないんだって。とんかつになってるこの豚だって、もしかしたらそれくらい賢かったかもしれないよ？

それに、生きようとしてたのを人間の勝手で殺されて、食われたわけだろ？クジラやイルカが食われるのは酷いのなら、どんな理由があっても豚や牛…動物の肉はもちろん、野菜も米も食べちゃダメだよな。

命を奪って、食べてるんだもんな。」



「あ、いや」



「殺されたのに、食べてももらえずくさっていくんだ。ゴメンな…」



「わー！！ゴメン！私が悪かったわよ！頂きます！」



「よろしい！食材に感謝して、せーの！」



「「頂きます！」」





＊ハンパな動物愛護は、かえって命に失礼であると説明した。