神秘の花

語り部「いいや、その花には確かに形が存在する。手にとって見ることとてできるぞ」

語り部「うぐっ……いや、それは植物ではない」

語り部「いや、比喩だ。しかし、確かにそれは開いた花のように見える」

語り部「何だそれは……だが方向性は近いものがある」

語り部「いいや、確かにこの世界の話だ」

語り部「いや、はるかに長いはずだ」 [編集済]

語り部「その通り。自然現象によってその花は成長する」

語り部「それほど長い話ではないが……」 [編集済]

語り部「いや、いくつかの場所でいくつもの花が育っている」

語り部「成長するものも、そうでないものもある」

語り部「ああ。オーストラリアは産出地の一つだ」 [編集済]

語り部「いや、そう言う形で成長するのではない。しかし、水によって成長するのは確かだ。まったくない場所ではその花は育たない」

語り部「先ほど言ったように、水によって成長する」

語り部「いや、そうとは限らん」

語り部「ああ。水によって成長する」

語り部「いや、違う。しかし結晶であることは確かだ。水に含まれる成分が結晶となり、成長してできる。そのため水がまったくない（なかった）場所では成長しない。しかし……」

語り部「ああ、地上でのみ成長する」

語り部「いや、水と環境のみが関係する」

語り部「ああ、鉱石だ」

語り部「いや、そこまで固くないはずだが」

語り部「そうだな、材料としては含まれているが、別にその花が原料というわけではないぞ」

語り部「いやいや、その花はフランスやイギリスでは取れんぞ」

語り部「基本は明るい色だが、表面に付着するものによって色は変わるだろうな」

語り部「そのあたりのことは不明だ」

語り部「いや、違う」

語り部「違う。その花が何でできているかよりも、形状と名前のほうが大事だ」

語り部「その通りだ」 [編集済]

語り部「その花が咲くのは地上だ」

語り部「いや、違う」

語り部「はいかいいえで答えられないため、ノーコメントだ」

語り部「正式名……？　一般にそうとしか呼ばれていないからな。コランダムをルビーやサファイア、ベリルをエメラルドやアクアマリンと呼ぶように」

語り部「その通り！　その花は砂漠で産出される。その花の名は、砂漠の……」

語り部「そう、その花の名は“砂漠の薔薇”だ。では語ろう――――」