報われなかった真面目さ

終戦後の日本では、人々は生きるために商売を始めた。それらは当時法律違反であったことから、闇市と呼ばれていた。

配給はあったものの、終戦後は食糧が少ないため、闇市で売られている食料を買って食べなければ生きていくことは難しかった。

当然闇市は違法なため、闇市で買うことも当時の食糧管理法違反になっていた。ただ、事情を知っている警察は、事実上取り締まることはほとんどしなかった。



しかし、当時の裁判官であった山口良忠は、法律を取り締まる立場なのに、自分が法律を違反してはならないのではないかと思い、闇市で食料を買うことや、闇市の食べ物を拒み始めた。

配給と自家栽培の野菜のみで食いつないできた良忠であったが、貴重な配給はほとんど子供たちに与えていたため、ついに栄養失調となって亡くなってしまった。



このことがきっかけで、「食糧管理法」は守ることが不可能な法律という意見も上がり、「裁判官の餓死から考えること」という見出しでニュースにもなったことで大きな話題を産んだ。