魔導師探偵・Ｔ「エヴァー・ラスティング・ウィンター」

冷

蔵庫に入っていてはどうか。



これに近しい考えで、リリティア殿からある部屋か敷地全体の気温を限定的に低下させる魔方陣のようなものは作れないかとたずねられた。



結論として、ある。



が、彼女は冬以外の季節をその中で生きてゆかねばならず、全く意味がない。



その空間から冬以外、デートもままならぬのだ。



私も、人種を超えた家族を持っているからよくわかる。



人種による、行動の制限があってはならない。



だからこそ、リリティア殿にも自由に買い物や散歩に出て欲しい。



そこで、私が依頼で手に入れてきた、ジェイミー卿のコレクションを思い出した。



触れたものから熱を吸い取り、蓄積・放出する宝石。

名を「セルシウスの寵愛」という。



これを身につけることで、彼女は太陽熱を浴びても宝石に熱を吸収させることが出来る。



また、彼女の任意で蓄積した熱を放出することも出来る。



私自身、砂漠出の任務やアカネの怒りの炎を鎮めるときに重宝している。



これを彼女の体に付けさせれば、彼女にとっての適温の持ち運びを実現できるわけだ。



もちろん、物を使わずにそう言う印を刻んだりすることでも解消できるだろうな。



いずれにせよ、季節にかかわらず、自由にどこでも行動出来るようになればよいのだ。



…肉体に印を刻むということはいわゆるタトゥに当たるため、痛いのはダメだとジェイミー卿に大反対されが。



リリティア殿はおしゃれならいいと、ノリノリだったのだが、痛めつけるのはダメだともう、あの威厳のあるジェイミー卿が…変わるものだな。