なんとかメモリアル ラストメッセージ

この高校では、一つの伝説があります。

卒業の日、学校敷地内の外れにある一番大きな木…、

通称「伝統の樹」。

その木の下で女の子から告白して誕生した

カップルは永遠に幸せになれる…。



なんかどこかで聞いた事がある気がするけど、

この高校に伝わる伝説だ。



さて、今日はその卒業式の日。

ある男子生徒…カメオは期待に胸を膨らませ、

学校外れにある伝統の樹に向かって

最後のホームルームが終わった教室から走り出した。

理由はただ一つ、女の子から呼び出されたからだ。

カメオの机に入っていた一枚の手紙、

「伝統の樹の下で待っています」



それも、学校一と噂に高い詩織…じゃなくて、

カメコからの呼び出し！！

差出人は書いてないけど、俺には分かる！

だって手紙から彼女のニオイがするから！！

数日前にカメオは彼女に手紙を書いていた。

いわゆるラブレター！その返事がコレか！？

これはもう、行くしかない！

カメオは走り抜く、ただカメコとの愛を信じて。



そんなこんなで、伝統の樹にカメオは辿り着いた。さ

今日は風さえなく、物音一つせず、

学校内で一番古く立派な木の辺りからは

人の気配は感じられない。



カメオは不審に思った、確かに呼ばれたのに…。

ここからは死角になる木の向こう側かな？

木の周りを歩くとそれはあった。

一本の太い枝からしっかりと垂れ下がる一本のロープ。

その先はしっかりと輪を作り人間の頭一つ入る位の

大きさがある。



…これが、返事か。

カメオはうなだれ、そのロープに指先が触れる。

断り方はいくらでもあるだろう。

だがこれは、断わると同時に死ねというメッセージ。

これ以上の拒絶は無い。



浮かれていた気分はとうに消え、天国から

奈落に突き落とされたカメオには、

その絶望感から抜け出す術が無かった。



そして、伝統の樹にはもう一つの伝説が生まれる、

悲恋の木と。そして悪女の名が刻まれる。