押すな！押すなよ！

婚

姻届を持ってきた彼。

「サキ、結婚してほしい。でも、すぐじゃなくていい。少しでもいやなら無理に押す必要はない。考えてくれ。」



その日は彼はそのまま帰った。

両親に相談してみる。

母はつっけんどんに言った。

「押すの？押さないの？」

父はボソッと言った。

「いや、押さないでほしい。」



いじけた子供のように言うもんだから、母が思わず突っ込んだ。

「喜びなさいよ！」

「一人娘だから寂しいじゃないか…。」



「ありがとう。お父さん、お母さん。はんこ押すわ、私。」



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婚姻届は滞りなく受領され、結婚報告と相成った。



が、そこからまたひと悶着。

結婚の報告がてら互いの家族で集まって食事会をしたときのこと。



やっと結婚を決めたことに、母と彼のお母様がほっとしながら喜んでいた隣で、私の父は開始五分で泣き出してとまらない。

彼のお父様がそれをなだめながら、自分の娘（彼の妹）の結婚を創造してさらに号泣。

その彼の妹は彼が結構好きだったらしく「兄ちゃん取られた！」と終始むくれていた。

それを見た彼の弟が妹さんの服の袖をつかみ「僕じゃだめ…？（ｳﾙｳﾙ）」と懇願する。

（彼の両親は再婚、彼、弟が母方の、妹が父方の連れ子）

「オールオッケーだこの犯罪的かわいさめ！」

うん、案の定弟君がびくっとしてる。

私もちょっと怖い。



あれ？彼は…、寝てるし。

酒弱いのに飲むから寝てるし。

座敷で隣に座ってたけど寝てるし。



お願い起きて。

私を一人にしないで。



「あら、うちの子、寝ちゃってるわ。」

「起こしなさい、サキ。事情聴取するわ。」

「いや、やめ」

「あっ！兄ちゃん肩にもたれかかってる！なにその萌えシーン許せない！」

「僕じゃだめなの？（ｺﾃﾝ）」

「オールオッケエエエエイ！」

「あああ、さきいいいぃぃぃ」

「マイドーターアアアアアッ！！！」

「ねぇ、ほむらくん（彼）、ほんっと起きて…！」

「んー…むにゃむにゃ」

「ごめんほむらくん！」（どさっ！）

「むぎゃっ。」

「お母さんが話し聞きたいって！私トイレ行って来るね！」

「サキ！逃がさないわよ！！」

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まとめ

婚姻届にはんこを押して、結婚を決めた。

そしたら家族がなんだかにぎやかにおのおの自由な反応を示した。

全く、歓迎されてるのか何なのか。