焦っていてもしょうがない。

今日は大事なプレゼンテーションの日。大事さは・・・前に書いたとおりだ。



商品のプレゼンテーションだ。まだ試作段階だが、効果は明らかだ。プレゼンテーションに成功すれば、多くの投資を得られるだろう。そうすれば研究もいっそう進むはず。反対に、投資がなくなれば、この段階まで進むのに費やした費用や労力も全て無駄になる・・・



ｼﾁﾃﾝﾊﾞｯﾄｰは、テレビを見ながらなにやら書き込んでいる・・・



おっと、もうそろそろいい頃合だな。さて、行かなくては・・・



4月9日2:00。ｼﾁﾃﾝﾊﾞｯﾄｰは家を出ると、真っ先に庭に停めてあった球体の装置に乗り込んだ。





4月8日14:00



ガチャッ!



「失礼しまーす・・・」

「あ、時間ピッタリだな・・・」

この場に集まったのは、投資家や事業家・・・その他モロモロ、合わせて五名だ。



「で、何のプレゼンかね?」

「はい。その・・・ズバリタイムマシンの・・・」

「タイムマシン・・・?」

一瞬凍りつく場の空気。そして・・・

「は・・・はははははは!!!何を言うかと思えば馬鹿馬鹿しい!!」

「そうだ!!タイムマシンの開発など、夢のまた夢だ!!」

「そうだ!!タイムマシンの発明など、正創のムヮッサーーーン!!を何一つ違和感なく使うのと同じくらい不可能だ!!!」

「や、例えが分からないです・・・と、とにかく、このタイムマシンのことを信用なさってないのですね?」

「ああ、そうだ。もしこれで終わりなら、私は帰らせて・・・」

「や、ちょっと待ってください。そうお思いになられるだろうと、私は証拠を持ってきました」

「なに、証拠?タイムマシンか?」

「や、あれは場所を移動できるわけじゃないし、重いんですよ・・・そうじゃなくて、これです」

ｼﾁﾃﾝﾊﾞｯﾄｰは一枚の紙を取り出した。

「これには、これから起きる出来事・・・つまり未来が書かれています」

「!!!??」

「・・・み、未来などと・・・どうして・・・」

「タイムマシンですよ。私は今日を一日中自宅で過ごし、テレビを見ていました。そこからタイムマシンに乗り、ここにやってきた、というわけです。まあ試作品なので、今は18時間前後しか飛べませんが。いずれ改良されることでしょう」

「で・・・で・・・」

「ああ、お配りします・・・で、大体17:00ごろには自宅に着かれてるでしょう」

「ま、まあな・・・」

「では、その近辺から発表していきましょう。まず・・・」



【予言(?)の内容】

16:32 4チャンネルのニュース番組で、3番目のニュースは石川県金沢市の住宅街のボヤのニュース。主人が右腕に軽いヤケドを負った。



17:59 8チャンネルの天気アナウンサーのﾊﾞｯﾃﾝｼﾁﾛｰのカツラがお辞儀した際に脱げる。カツラ疑惑がついに収束を向かえる。



20:52 8チャンネルのバラエティ番組最終回生放送スペシャルで、benico氏がサプライズプロポーズを実行。返答はYESだった。



21:31 4チャンネルの野球で、タートルズ福井のく黒井由紀選手がライトの看板(ウミガメビール)直撃のホームランを打ち、勝利。ヒーローインタビューの第一声は「ありがとうございます!マジ最高っす!!」であった。



22:46 5チャンネルにて「ふわふわ賞2014」が発表。じんろー氏「アザゼルの冒険～化け物・・・?違う、俺は悪魔だ・・・～」が受賞。受賞インタビューでは、緊張のあまり、上がりまくった果てに本を落とし、拾おうとしてズッコケる。



「・・・こ・・・こんなことが起きるのかね?」

「はい、私の把握した限りでは。もし私が未来から来たのであれば、この時間通りにこの紙に書かれたとおりのことが起きるはずです・・・」

「な・・・」

「今日で全てが分かります・・・これ以上検討したい場合は、私に電話をかけてください。こちらからは以上です」

ｼﾁﾃﾝﾊﾞｯﾄｰはそう言うと、部屋から出て行った・・・



会議室っぽいところでは、未だに5人が話し合っていた。

「未来を予言するなんて・・・本当に開発したのか?」

「いやいや、ありえないでしょ。いくらなんでも」

「しかし・・・紙に書いてきたんだぜ?未来の内容を」

「それに・・・彼は嘘をつくような人間じゃないですし・・・」

「まあ、この予言が当たるかどうか確認しようではありませんか。5つも完全に一致したら偶然ではないでしょうし」

5人は、とりあえず家に帰ることにした。





あのプレゼンにいた人物の一人。東雲は、自宅にくつろぎながらも、色々と考えていた。

「まさか、タイムマシンなんて・・・しかし現に・・・いやしかし・・・」

「・・・お、そろそろ16時だな。4チャンネルでニュースがあるはずだ・・・」



ニュースは、まず政治の支持率の話、いつかの詐欺事件の裁判の話、そして・・・



アーケロン(キャスター)「えー、続いてのニュースは・・・え～、本日の午後1時ごろ、石川県金沢市の住宅で火災が発生しました。幸いにも早期発見・通報がされたため、火はボヤ程度で済みましたが、この家の主人であるｼﾁﾛｳﾊﾞｯﾃﾝさんが右腕に火傷を負う軽症です」



東雲はビックリした。あいつが予言した内容と完全に一致してるではないか!!

すると、電話がかってきた。空集合からだ。



「おい、ニュース見たか?」

「ああ、見たぞ・・・当たってたな・・・」

「もしかして、本当に・・・」

「や、一つだと偶然ってこともあるし・・・」

「じゃ、じゃあ引き続き・・・」



で、17:59。



8チャンネルの某番組のお天気アナウンサー、ﾊﾞｯﾃﾝｼﾁﾛｰが映る。

「えー、皆さんこんばんは～」

とお辞儀した次の瞬間、カツラが取れてしまった!!

「Oh My God!!」

カツラを拾おうとして、カツラを踏んづけて前のめりに転倒するﾊﾞｯﾃﾝｼﾁﾛｰ。はやくもTwitterのトレンドには「ﾊﾞｯﾃﾝｼﾁﾛｰ カツラ」が上がっていた。



「ま、また当たってたし・・・」

「や、まだ偶然ってことも・・・」



しかし、20:52。

8チャンネルの某バラエティ番組の最終回生放送スペシャルに出演していた瀧環が、スタジオに来ていた彼女にいきなりのプロポーズ!!見事成功した。



さらに、21:31。

4チャンネルで放送されていたプロ野球戦、「タートルズ福井」と「ラテラル長野」の一戦は延長戦に突入する緊迫した戦いになったが、ホームのタートルズ福井の黒井由紀選手がライトの広告看板に直撃するホームランを打ち、サヨナラ勝利した。

ちなみに、その広告はウミガメビールであった。

ヒーローインタビューでは・・・



「ま、また当てやがった・・・」

「これで4連続ですよ・・・」

「や、まだだ・・・最後の一個も的中せねば意味がない!!」

「で、でも・・・偶然ですか?」

「や、しかし・・・」



そうこうしている間に22:46。

5チャンネルで「ふわふわ賞2014」が発表された。

受賞者は、やはりじんろー氏の「アザゼルの冒険～化け物・・・?違う、俺は悪魔だ・・・～」であった。



カルア(記者)「おめでとうございます!!一言ドウゾ!!」

じんろー「え、その、あの・・・」

どうも、緊張のあまり舞い上がってるようだ。

すると、そのせいか本を落としてしまった。

じんろー「アウッ!」

本を拾おうとして、彼がズッこけた瞬間、(株)シチセルバットレーションの未来が約束された。





【要約】

タイムマシンを発明し、開発を続けるために投資を促そうとしているが、ただ言っただけでは信じてもらえないと思っていたので、4月9日の2:00までテレビを見て、詳細な内容を示す。

タイムマシンで4月8日の14:00に飛び、その内容を告げる。

彼らにとっては、この内容は未来である。これを完璧に的中させることによって、タイムマシンの存在や効果を信用させてもらおうとしたのだ。