【祖父と携帯電話】

大切な、可愛い孫娘が誕生日プレゼントにと、

買い与えてくれた携帯電話。







祖父『ありがとう。エミは優しいなぁ…

でも、お爺ちゃんには今時の機械は難しくてな………』



エミ『大丈夫だよ、簡単なやつだから^^

私から電話かけるし、

電話がかかってきたら

このボタン押すだけで繋がるからね。

簡単でしょ？^^』



祖父『ああ…そうかい^^

本当にありがとう、エミ^^』



エミ『それとね、ほら………

見てみて、お爺ちゃん^^』







…………………………











………あれから、



最近はエミも…家族も…

なかなか病室には来なくなった。



…きっと忙しいのだろう。



病室の窓からは毎日、

同じ風景が見える。







エミは…



家族の皆は…



元気にしているだろうか………







私は…



さみしくないよ、エミ………



使い方はよく解らないが、



可愛いエミが買ってくれた



携帯…電話………を



開けば……… ほら………







（（…ほら、お爺ちゃん、

『待ち受け』って言ってね、

お爺ちゃんがさみしくない様に、

私が入れておいたからね！^^…））







………ありがとう、



ありがとう、大切な、可愛い…エミ………



………お爺ちゃんはね、

優しい気持ちが…

本当に嬉しかったよ^^







………本当に………







ありがとう…………………………







…………………………











安らかに眠ったその手に握り締められた携帯電話の待ち受け画面には、



大切なエミと、祖父自身も含めた家族全員が笑顔で写った１枚の写真があった。