ウミガメのスープ

姉貴ロール

作者: 植野

姉が秘密の恋をした結果、彼女は人々に感謝された。
死んだ彼女のために私は泣いた。

一体何が起きたのだろう。

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

はい

「姉」は彼女の姉ですか?

YES!

重要な登場人物は姉、彼女、私の三人ですか?

んん、NO、です 主要な登場人物は4名ですが、あまりこの人数に拘泥しなくても大丈夫です。

彼女のために泣いたのは私だけですか?

YES/NO 解説では「私」が涙を流します。多くはありませんが、彼女を思って涙を流した人は他にもいるかもしれません。

いいえ

彼女は死んだために感謝されましたか?

NO (´;ω;`)

いいえ

姉の恋の相手は私ですか?

NO!

いいえ

では、彼女は感謝されたために死にましたか?

NO…というより、関係ありません。 問4と同じく言葉を要検討です。ミスリード注意!

はい

恋=異性への恋愛感情ですか?

YES

いいえ

恋をしたこと それ自体が感謝されましたか?

NO

いいえ

彼女の死因は重要ですか?

NO というよりも、一般的な死因で語ることの出来る「死」ではありません。

はい

登場人物は皆、人間ですか?

YES 全員人間で成り立っています。

いいえ

彼女は実際に死亡しましたか?

NO! ↑の補足ヒントがちょっぴり遅れちゃいましたね;

姉の恋の相手は重要ですか?

んん、YES 秘密に恋し合う関係だったからこそ、「彼女」はそのとばっちりを食うことになって「死」にました。

はい

彼女の死とは、社会的な死ですか?

YES! 彼女はある時点から、本来の名を捨てて別の名前を名乗ることになりました!

いいえ

彼女は姉の養子になりましたか?

NO

はい

彼女は、姉の身代わりになりましたか?

YES!!

いいえ

「私」は、彼女や姉の親族ですか?

NO 血縁関係は全くありません。

はい

核心姉は王族であるにもかかわらず許されない恋をしてしまった そこで彼女が姉になりすまし姉はお相手と末永く幸せに過ごしましたとさ ですか?

YES! 大要が当たっているので解説に行かせて頂きます◎

答え

「いい迷惑…」

イライラを隠そうともせずに、妹君は猫脚の椅子を蹴った。
無理もない、彼女は姉君のとばっちりを受けて見も知らぬ王子のもとへと嫁ぐことになってしまったのだから。

------**

この国の王室には双子の姫宮がいる。姉姫と妹姫は瓜二つだった。
けれど性格は正反対。おしとやかで物腰やわらかく、少し世間知らずな姉姫に対し、活発で物事は白黒はっきり付けたがる妹姫。

自分は妹君の従者として、時には行儀作法の相手、時には喧嘩相手にと10年以上その成長を見守ってきた。


しかしながら国の栄華も永遠ではなく、この国の財政は近年悪化の一途を辿っていた。
折りを同じくして、隣国の王子から姉姫を娶りたいとの申し出があった。
そのため国王は、国交の繁栄・経済援助を見込んで、姉君と大国の皇太子との縁談を進めていた。

ここである問題が発生する。国王側が秘密裏にとり結んでいた縁談の裏側で、とうの姉姫も、彼女のお付きの従者と密かに愛を育んでいたというのだった。

『――彼と結ばれないのであれば、この身に意味などありません!』

そう叫んで短剣を自分の喉に突き付けようとしたのだから堪ったものではない。
……結局、苦肉の策を呑むことになったのは同じ相貌の人間だった。姿かたちが瓜二つの双子の妹姫が、内密に、姉の役代わりとして嫁ぐことになったのだった。


------**


「さぞお辛いでしょうが、…妹姫さまのご決断でこの国が救われたのは紛うことない事実でございます。
 何と申し上げていいやら、その……、みな大声では申し上げられずにいるのが歯がゆいですが、深く、深く……感謝いたしております…」

慎重に言葉を選んで頭を垂れると、ぐっと喉が鳴る音が聞こえた。
家臣たちは皆、妹君の決断を知っている。いや、この王室という限られた環境の人間しか、国が一人の女性によって救われたことを知らないのだ。国民にはただ、明日、王宮広場において「姉君」の成婚式典があることしか報じられていない。
血の気が失せるほど固く握りしめていた拳を解くと、妹君は深いため息をついた。

「……いいわよ、国は大事。パパもママも大事。…お姉ちゃんだって大事。自分で決めたんだもの、ちゃんとやれるわ」

吐き捨てるように言って自分の腕を抱いた姿に、少女のころの面影が重なって見えるようだった。自分で出来ると強がって、意地を張って、――昔からそう、不器用なのだ。

掛ける言葉もなく、部屋に沈黙が降りる。
明日から彼女は姉姫の名前を使って生きていくことになる。従者としてお傍近くで見守る事も、もう出来なくなってしまう。

「っ、心配しないでよ、そんな顔されたら辛気臭くなる!
 でもまあ…今まで有難う、あんたといると飽きなくて楽しかった…
 ――ミスタ、最後に一曲付き合ってくださいませんか?」

ふっとぎこちなく微笑んだ妹姫は、いつものさばけた口調を改めた。そうして姉姫のようにドレスをつまみ、優雅に腰を折った。

この瞬間から、私が知っていた「妹君」は死んだのだと思った。たおやかで上品な「姉君」として、心に刃をあてて忍ぶ日々が、灯されたランプの影となって垣間見えた気がした。

「……身に余る、光栄でございます」

鼻の奥がつんとするのをこらえ切れずに、真っ赤な目のままでラストダンスは始まった。微かに呟かれた「変わらないわね、泣き虫」の言葉も、震えて宵闇に消えた。
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