ウミガメのスープ

『 即物的な男の末路 』

作者: yan

男は、後悔し始めていた。
見栄なんか張るんじゃなかった…。

助けを求める彼の声に、耳を傾ける者はいない。
だが、それも仕方がない。それは彼自身が招いたことなのだ。

結局、彼は醜態を晒して死んでしまうのだが、人間の本性を垣間見せるようなその死にざまを見ても、
誰一人彼をあざ笑うものはいなかった。むしろ、みな彼に感謝したという。

いったい、どういうことだろうか?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

はい

耳を傾けるものがいないのは声が聞こえる範囲内の周囲に誰もいなかったからですか?

YES かな?ただし「聞こえる範囲内」の部分は「必ずしもそうではない」かも。

いいえ

彼は焼け死にましたか?

NO どっちがマシかなぁ…いや焼死のほうがマシかなぁ…

いいえ

彼は何か嘘をつきましたか?

NO 嘘つきではなかったですね。自分に正直だし、思ったことはすぐ口に出るタイプでした。

はい

男の死因は重要ですか?

YES! かなり重要です。ただし、それを一言だけ(事故死など)で言っちゃうと真相にはたどり着くのは難しいでしょう。

いいえ

溺れ死にましたか?

NO 溺れ死にも苦しいけど、こっちはそれ以上かなぁ…

即身仏ですか?

YEEES! このタイミングでなぜわかった!?

いいえ

人柱ですか?

NO イケニエとか人身御供というわけではありませんでした

いいえ

男は食べられてしまいましたか?

NO 食べられたりはしてないですね

いいえ

不死身の身体が欲しいと言ったら螺旋にされましたか?

NO 不死身の肉体とか欲しがるタイプではないかなー。「螺旋にされる」ってホラー?

いいえ

男は人に求められて即身仏になることにしましたか?

NO 自分から望んで「即身仏になる!」と言い出しました。…即物的な男なのに、何故でしょうね?

いいえ

死ぬはずではありませんでしたか?

NO! しぬつもりではあったんです! GJ!

はい

男は即身仏になるというのがどういうことかわかっていましたか?

YES! 10の通り、自分で言い出したことであり、口だけでなく実際になるつもりでした!

はい

土の下にもぐってから何か問題が起きましたか?

YES! まぁふつうに考えられる程度の問題が起きました!

いいえ

呼吸穴はありましたか?

NO 呼吸穴すら作りませんでした!

はい

即身仏になるにはまず八戒断ちをし 五穀断ちをし最後は水も断つ必要があるはず(うろ覚えですが)男はそれをしていなかった為 穴の中が汚物で・・・ですか?

YES それもあります!ただし、男はすでにかなりやせ細ってはいました

いいえ

男は行に入る前に何か食べましたか? というより食べさせてもらいましたか?

NO 実は、あまり食事のできるような体調ではなかったのです

はい

男は病気でしたか?

YES! それも俗物的な彼らしい病気でした!

いいえ

彼は打算でもって即身仏になろうとしましたか?

NO? まぁ「最後に一花咲かせよう」という気持ちはありましたが、「打算」とは言えないほど純粋な気持ちであり、周囲の者もその心意気に打たれて、彼の望む通りに手はずを整えました。

いいえ

彼の病気は感染する類のものでしたか?

NO 俗物な彼らしい、不摂生が祟ってなるものでした。…あ、性病とかはないですよ?

はい

彼は途中であきらめようとしましたか?

YES! そうなんだけど、彼が自分で望んだことのせいで、途中でやめることはできませんでした!!

はい

生活習慣病でしたか?

YES! それも、かなり末期でした!

いいえ

彼が感謝された内容は、医学的なものですか?

NO あえていうなら哲学的、ですかねぇ。

いいえ

肥満で、死ぬときくらい痩せようと思ったりしました?

NOw ちなみに肥満だと、餓死するには相当かかるらしいですね。まぁ水がなければ5日と持たないらしいですが

はい

男が病気で無かったら、即身仏にはなろうとしなかったのですか?

YES! そのまま酒に煙草に食事に、人生を謳歌していたことでしょう。

はい

男が周囲に見栄を張った内容は、「酒だって食事だって我慢しようと思えばできるんだ!」的なものでしたか?

YES と言っていいかな?「今まで即物的な生き方をしてたけど、死ぬ時くらいは精進して見せるぜ」って気持ちはありました

いいえ

空腹の余り、自らの体を食べましたか?

NO! ちなみに空腹よりも先に渇きのほうが限界に来るらしいです(5日ともたないらしい)

はい

男はやはり辛くなって脱出を試みましたか?

YES まぁ無駄でしたが。それも男が望んだせいで。

はい

男は、即身仏にならなくとも死んでしまう容体でしたか?

YES! 余命数ヶ月と宣告されていました!

いいえ

苦しさに耐え切れず自殺しましたか?

NO! 「ひにたくらいぃぃぃ」と叫んでいました!

いいえ

男の死にざまを見て、男のような生活習慣にならないように自分を顧みることができた?

NO そういう面もあったかもしれませんが、「死にざま」そのものは病気と関係ないので、やはりNOですね。ただ、男と何かを対比するという考えはいいです!

いいえ

男の病気を特定することは重要ですか?

NO 「余命数ヶ月」「生活習慣病」ってので十分です。ぶっちゃけ言うと肝臓ガンと肺ガンです。酒と煙草の飲みすぎのせいでした。

はい

男は僧でしたか?

YES! 「ある寺院」に属する僧侶でした!まぁかなりの生臭坊主ですが

いいえ

どこの国の話かは重要ですか?

NO お国柄は重要ではないです。まぁ即身仏があるから日本か中国辺りということで

いいえ

その宗教に属する人が死にたくない! と思ってしまったことが重要ですか?

NO 特に重要ではないです。宗教は普通に仏教で、特殊な教義などはありませんし。

人々が認識したのは死への恐ろしさですか?

YESNO 「死が恐ろしい」ことを改めて認識することにより、逆に「あること」の難しさを再認識しました。

はい

他の即身物は関係しますか?

YES! 過去の即身仏のお坊様関係します!

核心男の死に様が凄まじかったため、過去に即身物となったお坊さんの凄さが際立った?

YEEES!! 解説に行っちゃいましょう!

答え

「即身仏に、オレはなる!」

男は急に言い出した。
彼は即身仏(ミイラ)を奉っている、とある寺に住む僧だった。

即身仏とは、土中で座したまま入滅してミイラとなること。
こう書くと簡単だが、当然ながらかなりの苦行である。

男は正直、徳が高いとはいえなかった。むしろかなりの俗物で、酒や煙草を嗜む、
いや嗜むどころか酒豪、ヘビースモーカーの類であった。

結果、不摂生が祟り、肝臓ガンと肺ガンで余命数ヶ月と宣告されたのが数日前。
どうせ死ぬなら即身仏になって祀られようじゃないか、と決心したのだった。

普通、土中に入る前に断食する(木の実だけ食す)のだが、すでにガンのせいで
やせ細っていた彼は「断食の期間はいらない、すぐ土中に入る」と言い張った。
「外との連絡用の穴も必要ない。外界から完全に遮断されて、集中したいのだ」

周囲の者は反対したが、男の決意は固かった。
普段いい加減だった男の真剣な眼差しに、「死を前にするとこうも変わるものか」
とみな感じ入り、全て男の望み通りのやり方で手はずを整えた。

そうして男は大きな桶に入り、土中へと埋められたのであった。

…1時間後。
「…うぅ、小便してから入ればよかった…」

…2時間後。
「…び、ビッグ・ベンも…」

…3時間後。
「…この臭い、蒸し暑さ…たまらん」

…6時間後。
「は、吐きそう…あ、でも臭いにはちょっと慣れてきたかも」

…半日後。
「…腹減ったなぁ。最近食欲なかったけど、もう何も食えねぇと思うと急に…」

…1日後。
「はぁはぁ…なんか息苦しい気がする…」

…2日後。
「うぅ、食いモンはいらないから、水、水をくれ…!」

…3日後。
「だれか…だれかいないか…?暗い…狭い…怖い…!」

…4日後。
「いやだ!!こんなところでしにたくない!だして!だしてくれーー!」

…5日後。
「い、いやら…こんらところれ…ひとりれ…ひにたく…なひぃぃぃ…」


…そして、2ヶ月後。予定通り、男の入れられた桶が掘り起こされる。

中に入っていた男の姿は…壮絶だった。
その指先は桶の内側を掻きむしったせいで爪が全て剥がれ、桶の中は血だらけだった。

もともとかなりやせ細り、脂肪も筋肉もなかったおかげか、腐らずにミイラ化はしていた。
そのせいで、男の断末魔の表情が、ありありと読み取れる。

激しい恐怖・絶望・後悔。…そして哀しみ。
男の眼の下に残された血の涙の跡が、彼の無念を物語っていた。

…とても、悟りを開いたとは言い難い死に様。
男は、即身仏になろうとしたことで、かえって自分の醜い本性をさらけ出したのだった。

しかし、彼の周囲の者にとっては、ある程度予想の範囲内ではあった。

「ある意味、この人らしい死に方だよな」
「いや、やはり即身仏になるというのは、かなりの荒行なのだろう」
「うむ、この苦しみよう…死を覚悟して悟りを開くのは、常人では無理なことだろうな」

「過去に即身仏になられたお坊様たちは、やはり凄いお方だったのだ」
「うむ。この人は、そのことをまさに身をもって教えてくれたのだな」
「それにしても哀れな…是が非でも止めて、酒でも酌み交わしながら逝ってもらえばよかった…」

男は、手厚く葬られた。

けっして徳は高くない男ではあったが、人徳はあったのだろう。
葬式はしめやかに行われる予定だったが、村中の人間が集まって、彼の墓に酒や食べ物をお供えした。

中には、墓のそばで酒盛りを始める者もいる。
しかし、それを咎める者はいない。それが、男への一番の供養だと、皆わかっていたから。

数年たった今も、彼のお墓にはお供え物が絶えない。
ある意味、即身仏となった僧たちよりも、人々に愛されていたのであった。


※ まとメモに補足を入れています

— 男がなれなかったもの。しかし男の死はそれ以上に尊いものだったのかもしれません

保存しました

参加者に解説を表示中。各自が封を開けます。

💬 参加者チャット

この問題、気に入りましたか?

📺 配信・対面での出題にご利用いただけます。ご利用のルール(出典・改変について)