ウミガメのスープ

思い出のサイダー

作者: ツォン


変ご無沙汰しております。

Bar LATEthinkへようこそ。

納得の行くものがなかなか出来ず、大変長くお目にかかれず申し訳ありませんでした。

早速ですが、先日私はとあるお客様から、少し厄介な頼みごとをされました。

それは、「思い出の飲み物」を再現して欲しいというもの。

幼い頃、そのお客様のお姉様が作ってくれたサイダーのようなものだそうですが、市販のサイダーを飲んでもその青く爽やかな香りと同じ味に出会えたことが無いんだとか。

そして、来店されたその日、そのお姉様の葬儀に出多ことからその事を強く思い出したということでした。

謎を解くには重要ではないので今は割愛いたしますが、私はお客様の思い出を詳しくお伺いし、そのサイダーをお出しすることが出来ました。

さて、本題です。

彼は、そのサイダーが特別に美味しいと思っていたわけではないのですが、どうしても飲みたかったと言います。

一体何故、彼はそのサイダーを飲みたがったのでしょう?

勿論、ただ単に「思い出だから」と言うわけではございません。

どういう事だと思いますか?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

いいえ

サイダーの味について詳しく掘り下げる必要はありますか?

いいえ、全く必要ありません

いいえ

彼が飲みたいのが炭酸飲料であることは重要ですか?

いいえ、全く重要ではありません

いいえ

彼の職業は重要ですか?

いいえ、全く関係ありません

いいえ

サイダーには咳を楽にするとか、何らかの体への作用があり、お客様はその作用を得たかったからサイダーを飲みたかったですか?

いいえ、効能は関係ありません

いいえ

他に重要キャラはいますか?

いいえ、問題文以外に重要人物はおりません

いいえ

彼の姉がなぜ死んだかは重要ですか?

いいえ、重要ではありません

核心歳の離れた姉で、昔サイダーを飲みながらヘソクリの場所を聞いていたけど忘れたので、味覚に触発され記憶が蘇るのを期待しましたか?

ほぼ正解ですが、思い出された記憶が違います(後ほど正解にします)

いいえ

彼はサイダーのレシピが欲しかったですか?

いいえ、レシピは関係ありません

はい

彼の味覚は重要ですか?

はい、重要です

お祭で姉が少ないおこずかいで買ってあげたラムネード。祭りの陽気を感じながら飲む冷えたそれはとても美味しいのです。

そういうシチュエーションでもせいりつしますあ

いいえ

昔海で遭難したときに姉が作ってくれたサイダーが人肉飲料でないことを確認するためですか?

いいえ、カニバりません

青い爽やかさとは青春の味。一本のサイダーを姉と分け合った思い出はありますか?

成立します。

いいえ

青く爽やかな香りの元になった素材が何なのかは重要ですか?

いいえ、重要ではありません

いいえ

カニバリますか?

いいえ、カニバりません

いいえ

サイダーを飲んだときの年号が金庫の暗証番号になっていますか?

いいえ、金銭全く関係ありません

いいえ

間接キスは重要ですか?

いいえ、全く関係ありません

いいえ

宝物のビー玉(ラムネの蓋を集めた)のありかを思い出したかったですか?

いいえ、全く関係ありません

いいえ

弟君は姉の名前と声が思い出せませんか?

いいえ、それは覚えています。しかし、姉に関すること重要です。

いいえ

幼い頃から疑問で誰に聞いても詳しく教えてくれなかった両親が亡くなった日の記憶、姉が墓場まで秘密を持って行った今、詳しく過去に対峙してみようとおもいましたか?(姉を疑ってる)

いいえ、しかし姉に関することです。

何か約束をしましたか?

はいかついいえ、大きなジャンルでは約束も関係していますが、そこからの特定は難しいかと

いいえ

犯罪要素はありますか?

いいえ

核心しばらく会わないうちにお姉さんが死んでしまったせいでお姉さんに関する記憶が薄れてしまったから思い出したいですか?

これでいいかな?正解で!詳しくは解説をどうぞ。

いいえ

姉の香水の匂いとサイダーの香りが似ていたので、サイダーを飲んで姉の匂いを思い出したかったですか?

いいえ、香り自体がリンクする訳ではありません

いいえ

姉の好きだったサイダーを再び味わうことで、子どもの頃に自分の面倒をみてくれた姉のことを少しでも思い出そうとしていますか?

いいえ、姉が好きかどうかは重要ではありません

答え


はこのお客様、幼い頃にお姉さんと生別れになったそうです。

2人が今生の別れになる日、彼はお姉さんから一杯のサイダーを飲ませてもらったのです。

「お姉ちゃん、明日から別の家の子になるとよ。だから、もうお別れっちゃ。」

「うん…いややばってん…」

「ウチが悪い子やったけん、仕方んなかっちゃん」

彼は今年65歳の定年を迎えるのですが、生別れた頃…60年近く前のころは、家を継ぐ目的で長男だけが重宝され、女児や次男以降は遠方の親戚に養子に出されることもしばしばあったと聞きます。

いわゆる口減らし(養えない子供を養子に出したりする事)をしたい側と人手が欲しい側の需要と供給が一致して、お姉さんははるか遠く北海道に行くことになったんだとか。

…その、最後の思い出に、お姉さんがサイダーを飲ませてくれた後、涙ぐむ彼を抱きしめて言ったそうです。

「ウチな、絶対忘れんとよ。お前は、絶対に幸せになるんよ?」

「姉ちゃん…うん。姉ちゃんもね…」

それが最後、彼にとっては心から優しい姉だったのだとか。

そう、彼はそのうろ覚えのサイダーを味わう事で、曖昧な記憶が、確かなものだと確信したかったのだそうです。

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彼らが幼い頃に住んでいた山には、松や杉などの針葉樹が沢山あったそうです。

そして、香りに相当特徴的な鮮烈さがあったと言う事から、このサイダーをお出ししました。

松の葉サイダー

綺麗に洗ったガラス瓶に、洗った松の葉の若葉と、水と砂糖で浸して数日冷蔵庫で寝かせます。

すると松の葉に付いた酵母で発酵し、微炭酸になるのです。

ここで注意いただきたいのは、あまり長い時間放置すると発酵しすぎてアルコール…密造酒になってしまいかねませんので3~4日で飲みきっていただきますようお願い致します。

…と言っても、味は彼の記憶の通りさほど美味しいというものではなく、炭酸も弱いため炭酸水を加えてちょうどいいかも知れないですね。

ともあれ、彼は「記憶の中の優しい姉が、実在した事を証明するためにそのサイダーを飲みたがった」というのが解説でございます。

さて、次の謎…問題が出来るのはいつになるか。

気長にお楽しみにくださいませ。
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