ウミガメのスープ

一度しか言わないからよく聞け!

作者: 彩蓮燈

亀夫くんと兎美ちゃんはずっと一緒に育った幼馴染。
お互いに相手のことが気になっているけど、言い出すことの出来ない青春ディスタンス。
しかしその年のクリスマス、亀夫くんは遂に兎美ちゃんに気持ちを伝える決意を固めました。

「兎美…俺は…ずっと君のことを、愛していた」
「……もう一度、いってください」

亀夫くんは絶望した。
そしてルールを守らなかったことを悔やんだ。

なぜ?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

いいえ

ルールとは亀夫くんと兎美ちゃんとの間でのルールで、小さい頃に決めたものですか?

No。もっと一般的なルールです。

はい

兎美は亀夫の言ったことが聞こえなかったのですか?

Yes。兎美ちゃんは、亀夫くんの言葉が聞こえませんでした。

結局二人の恋はうまくいきませんでしたか?

重要ではありませんが、強いて言うならNoです。

いいえ

他に登場人物はいますか?

No。二人だけです。ミスリード注意。

いいえ

兎美が亀夫の言ったことが聞こえなかったのは、病気が原因ですか?

No。兎美ちゃんの聴覚にはなんら異常はありません。

はい

4より、人間以外の登場キャラがいますか?

Yes? キャラと言えるほどではありませんが、一応。

いいえ

クリスマスであることは重要ですか?

No。クリスマスでなくても問題ありません。

はい

ルールというのは日常生活を送っていくなかでも重要なことですか?

Yes。守らないと危ないルールです。

いいえ

亀夫の言葉は他の音に消されましたか?

No。音はありましたが、掻き消されるほどではありません。

いいえ

市場より 非現実的要素はありますか?

No。市場は私の趣味です。TRPGたーのしい!

いいえ

亀夫くんと兎美ちゃん

No!

はい

亀夫が絶望したのは兎美に自分の言葉が聞こえなかったからですか?

Yes。その通りです。

亀夫くんは交通事故にあいますか?

YesNo!解説では違いますが、それでもいけます。

亀夫くんと兎美ちゃんが道を挟んで立っていて亀夫くんが言ったことが聞き取れなかった兎美ちゃんが道を渡ろうとしたところに車がきて事故が起こってしまいますか?

YesNo!

いいえ

二人は実際に対面していますか?

No!対面していません!

はい

伝え方が悪かったのですか?

Yes。別の言葉なら、こうはならなかったかもしれません。ミスリード注意。

はい

ルールを守らなかったのと、亀夫が思いの丈をぶつけたのは同じ日ですか?

Yes。同日です。

いいえ

友達も連れて映画を見に行き、いい雰囲気になったので告白したところ、兎美には聞こえなかったが、反対隣にいた友人には聞こえていて、後日、困ったことになりましたか?

No。www なにそれ青春っぽいwww

いいえ

二人は画面越しの面会でしたか?

No。画面を通してはいません。

はい

二人は画面越しの面会でしたか?

Yes?送れていないと言えるでしょう。

はい

15 19 より 携帯電話は関係ありますか?

Yes!関係しています!

いいえ

電話中に気を取られ事故に遭い思いを告げられませんでしたか?

No。順番が違います。

はい

核心事故に遭って最後の思いを伝えようとしたとき携帯のマイク機能が破損していましたか?

Yes!その通りです!解説出します!

答え

失敗した。
地面に倒れ伏し、俺は荒い息をつく。
身体の節々が熱い。
痛みは過ぎると熱に変わるとき聞いたことがあったけど、まさかこんな形で知ることになるとは思わなかった。

今日は兎美とふたりで過ごすクリスマスだった。
長い間ずっと続いた幼馴染の関係に終止符を打って、次の段階に向かおうとプレゼントを買って…。
今頃、本当ならふたりでささやかにパーティをして…ちょっといい雰囲気になって…。
…なのに、なんでこんなことになっちまったんだ。

周りには沢山の人が倒れている。
いや、人と言えるものはその内の少しだけだろう。
そのほとんどは意思のない死体だ。
人間はあんな風に身体が潰れて生きていたりしない。

…ああ、そうだ。思い出した。
俺は兎美との待ち合わせに遅れそうになって、発車ぎりぎりの電車に飛び乗って…それが脱線事故を起こしたんだ。
すごい音がして、視界がゆがんで、身体が捻じ切れるような痛みに襲われて…。

「ふざ…けんなよ…っ」

なけなしの気力を振り絞って立ち上がろうと身体を起こす…けど、駄目だった。
俺にはもう、立ち上がる足がなくなっていた。
立てない。
走れない。
兎美のもとに行けない。
頭の中が真っ白になりそうだった。

「…そうだ…兎美に…伝えないと…」

掻き乱された頭で唯一思いついたのは、そんなことだった。
気持ちを伝えたい。
愛しているとはっきり知ってほしい。
こんな身体になった俺から言われても、あいつは困るだけかもしれない。
それでも伝えずにはいられなかった。

胸ポケットから携帯を取り出す。
その画面は事故の衝撃でバキバキに砕けていた。
タッチパネルは当然反応しない…でも、奇跡的に中身は生きていた。
俺はボタンを長押しして、音声認識を起動する。

「兎美…電話…繋げてくれ…」
「検索しています。しばらくお待ちください」

味気ない機械音声。
ぐるぐる回る視界の中で、必死に意識を掴み取る。
早く、早くしてくれ。
俺をこのまま、何も言えないまま終わらせないでくれ…。
そして、永遠とも思えるほどの時間が過ぎて。

「お待たせ、しました」

そのメッセージを聞くや、俺は最後の力で告げた。

「兎美…」

もう二度と会えなくなる幼馴染に。
ずっと言いたかった気持ちを、告げた。

「俺は…ずっと君のことを、愛していた」

…ああ、やっと言えた。
これで満足だ。
もう悔いはない。
俺はそっと目を閉じた。
叶うなら最後に、兎美の答えを聞いて死にたいーーー。

…。
……。
…………。

けれど、兎美の返事はいつまで待ってもなく。
代わりに俺の耳に届いたのは、

「……もう一度、いってください」

無機質な機械音声。

「よく聞き取れませんでした。連絡先は、ゆっくり区切りながら発音すると、認識しやすくなります」
「なん…だって…」
「もう一度、言ってください。よく聞くとれま…でし……連…… 」

そして、完全に沈黙した。
何度ボタンを押しても、何も反応しなくなった。
携帯が手から滑り落ちた。
もう身体を起こすこともできず、地面に倒れこみ、死を覚悟した。
そして最後に思った。

「畜生…やっぱ…駆け込み乗車、なんて…するんじゃ…なかっ…た…なぁ……」

— 11作目です。新年ということで経路を変えて、軽めのスープをどうぞ。

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