【ラテクエ永久に…】 今はもう動かない その鯉のぼり
僕の家のこいのぼりだけは死んだように動かなかった。
何故だろう??
過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。
鯉のぼりは普通の素材ですか?
YESNO! ボディは「普通の素材」 ですが…
問題文に比喩は入っていますか?
YES? しかしかなら比喩は薄めのほうだと思います
本物の鯉をこいのぼり代わりに使ってますか?
NO! ナマモノません!
その鯉のぼりには何か特殊なものが入っていたり、ついていたりしましたか?
YES! いわゆる「ふつー」の鯉のぼりにない特殊なものがついています!
糸、ポールに他のこいのぼりと重要な違いはありますか?
YESNO? そもそも、意図やポールは…
鯉のぼりを揚げている場所は重要ですか?
NO そもそも…!
誰か死にますか?
YESNO 「死ぬ」というとちょっと違いますが・・・
僕の家の鯉のぼりは穴が開いていますか?
YES 口とお尻に穴があいてます!
そのこいのぼりは壁に張り付いていますか?
NO むしろ逆に…!!
鯉のぼりにおもりがついていますか?
NO おもりではなく、むしろ…
鯉のぼりは風船などで釣っていましたか?
NO! 風船ではなく、もっと…!
登場人物は僕だけですか?
YESNO 「主要な登場人物」はボクだけですが、ほかに重要なキャラ・サブキャラがいます
こいのぼりは地面に落ちちゃいましたか?
YES! 最終的には!!!
時代背景は重要ですか?
YES!! 「時代」重要です!!! GJ!
人間以外の動物は登場しますか?
NO? 「動物」は登場しないですね
紐が切れて落下中ですか?
NO! そもそも「ひも」は…!
鯉のぼりは何かに絡まってしまいましたか?
NO 絡まるようなもののない場所で…
SF・オカルト・ファンタジー要素はありますか?
SF YES! オカルトファンタジーNO!
こいのぼりは超技術で浮いていましたか?
YES! 反重力装置で空を飛ぶ「フライング鯉のぼり」でした!!
こいのぼりが機械仕掛けで動きますか?
YES!!
魔法で浮いた鯉のぼりでしたか?
NO 魔法ではないです(まぁ、イメージ的にはほぼ一緒ですが)
この時代こいのぼりの普通の素材は硬いものでしたか
YESNO 「ほかの家」のは硬いものもありますが、「僕」の家のは、ボディは従来通りの布製です (あまり重要ではないかな?)
鯉のぼり型の車でぼくは?無免許なので動かせませんか?
NO フライング鯉のぼりは、「本来」乗り物ではありませんでした。本来は。
装置の故障や電池切れで墜落しましたか?
YES! オーバーヒートで墜落してしまいました!!! GJ!
磁石関係ありますか?
NO? 磁石は関係ないです
僕が好奇心に負けてフライング鯉のぼりに乗っちゃいましたか?
NO! しかし、故障の原因は「僕」がフライング鯉のぼりに乗ってしまったことです!
核心何らかの事故で空から落ちた少年をフライング鯉のぼりが救いましたか?
YES!!! 正解です! 5分後に解説行きます!
核心どこかから転落した僕を赤い影が庇いましたか?
YES! 結婚FAおめ!!
答え
その波は玩具業界にまで発展し、鯉のぼりもその例外ではなかった。 科学の力は 鯉のぼりを頸木(くびき)より解き放った―
フライング鯉のぼり の誕生である―
当初は、従来の物に反重力装置とAIを搭載したシンプルな作りだったが、フライング鯉のぼりを使ったレースが恒例化すると、次第に
強化セラミックやカーボンファイバーのボディを持つバトル仕様の物まで作られるようになり、毎年の「こどもの日」商戦は激化していた。
「へへっ、今年も俺の”昇り竜”がぶっちぎりで勝つぜ!」 「なんの、ワイの”冥竜王カープ”のすごさを思い知らせちゃる!」
そんな子供たちの盛り上がりの中、亀夫は一人憂鬱そうにしていた。 彼の鯉のぼりは数年前のモデル、というより初期型だった。
元の性能もそれなりな上、経年劣化でさらに遅くなっている。 とても最新モデル相手に競えるような代物ではない、それに、そもそも…
買ってもらって数年の内は、亀夫もすごく喜んでいた。けして裕福とはいえない境遇で、実際、発売初年度は買ってもらえなかったのに
その翌年、小さめながらも、ちゃんと飛べる製品を買ってきてくれたのである。
”コイくん”と名付けられたその真紅の鯉のぼりを、亀夫はすごく気に入っていた。 赤色は戦隊物のリーダーみたいでカッコイイ!と
思っていたし、遊ぶ時も寝る時も、ずっと一緒に過ごした。 鯉のぼりのシーズンだけでなく、一年中でも一緒に居たいくらいだった。
だが、年をとるにつれ色々解ってくる。 鯉のぼりの歌にあるように、緋鯉はお母さん=女性の象徴。コイくんとは商品名”恋くん”であり、
「女の子にも鯉のぼりを!」というコンセプトで作られたものだった。 企画倒れの売れ残りを、翌年の投げ売りセールで買って来たのだ。
だから、遊び相手としてのAI機能は優れていても、スピードやパワーを競うレースには馬力不足で、色もピンクに近い赤なのだった。
「ちょっと、亀夫!外に行くのなら、コイくんも一緒に連れて行きなさい!」 「やだよ!はずかしいもん!」
「この時期しか出さないんだから…たまに動かさないと壊れちゃうわよ!」 「知らない!あんなの、壊れちゃえばいいんだ!」
「あっ、待ちなさい、亀夫…! もうっ、しょうがないわね」 『…キューン 』
「ゴメンね、コイくん。 あの子、最近一人で遊んでるみたいなの…心配だから、様子見てきてくれる?」 『キューン!』
GWは、最新式の鯉のぼりを連れてない男の子には過ごしづらい時期だ。 亀夫は人目を避けて、立入禁止になっている裏山に登り
一人壁を相手にキャッチボールをしていた。(そういやコイくん、キャッチボール得意だったな… 犬みたいに、パクって口でくわえてさ)
考え事をしていたせいか。 つい、ボールを取りこぼしてしまう。 「あっ、いけね…!」 反射的にボールを追いかけ、手を伸ばす。
足元の地面が、崩れた。 「えっ…?」 …その断崖絶壁は、子供が落ちて死ぬには十分な高さだった。
(ウソ…ボク、死んじゃうの!?) その時、赤い大きな影が、真っ逆さまに落ちていく亀夫をその顎(あぎと)に捉えた。 『バクン』
― もし、麓からその光景を見ていた者がいたら、小さな赤い龍が、山肌を駈けて天に昇って行くように見えたことだろう ―
影は、コイくんだった。ボールと同じように、見事に亀夫をキャッチ。亀夫はコイくんの口の輪っかに手をかけ、頭を出して下を見る。
下は、まだ崖だ。「うわわわ!」ズリ落ちようとする亀夫を、コイくんは器用に体をひねって頭の上に載せた。
「す…すごい、すごいや!ボク、空を飛んでるんだ!」 興奮する亀夫。 しかし、崖を超えた辺りで、高度は急激に下がり始める。
少しひらけた場所に辿り着くと、コイくんはスライディングするように地面に不時着した。「イタタ、尻もちついちゃった…コイくん?」
お尻の下には、彼の下敷きになり、頭部から煙を吹いている鯉のぼりの姿があった。 「コ… コイくーーーん!」
本来、フライング鯉のぼりには子供を支えるほどのパワーはない。 メンテナンス不足の古い機体は、その負荷でオーバーヒートを
起こし、その熱と落下の衝撃は、装置と一体化したAI部品に致命的なダメージを与えていた。
「ぐすっ… コイくん、”壊れちゃえばいい” なんて言ってゴメンよ… だから… だから、お願い、動いてよぅ…!」
…フライング鯉のぼりの本体は、頭部のメカである。 動かなくなったコイくんはもう、「ただの鯉のぼり」 でしかなかった ―
子供の日。 他の家族のこいのぼりは元気に泳いでいるのに、僕の家のこいのぼりだけは、死んだように動かなかった。 だけど…
「あ、もうちょっと右…うん、真っすぐ立ったよ! じゃあ、揚げるね」 …バササッ。 五月の青い空に、赤い鯉のぼりがたなびく。
「…ねぇ、本当にいいの? 新しいのを、買ってあげてもいいのよ」 「いいんだ! ボクにとって、鯉のぼりはコイくんだけだから」
「亀夫…。」 心配そうに見つめる母親の肩を、父親は優しく叩く。 橘香る朝風の中、コイくんは泳いでいた。 高く、力強く…。
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