犬のお散歩
世界一走るのが速い犬がいた。
その犬の「おさんぽ」に挑戦する二人の男。
一人は世界一走るのが速い男、通称『韋駄天』。
もう一人は世界一走るのが遅い男、通称『蝸牛』。
結果、「おさんぽ」に成功したのは『蝸牛』ただ一人であった。
さて、一体どういうことだろう。
過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。
犬は走らず歩いて散歩に行きましたか?
NO 猛スピードでお散歩します。
蝸牛はヨーヨーが上手くて、ヨーヨーの技に成功しましたか?
NO 懐かしいですね。違います。
お散歩は歩くので、走るのが早い犬の歩くのと、走るのが遅い男の歩くのがピッタリでしたか?
NO 猛スピードのお散歩です。
犬は走りますか?
YES 走りまくります。
足の速さは「おさんぽ」の成功に関係しますか?
YES ※ミスリード注意
カニバりますか?
NO イヌバりもしません。
韋駄天はチーターの雄なので犬を食べたからですか?
NO 人間です。食べません。
参加します。よろしくお願いします
かまいませんワン。
韋駄天は巨人、蝸牛は小人。巨人はサイズが違いすぎて失敗。蝸牛は上に乗って成功ですか?
NO ですがめちゃんこ惜しいです。
韋駄天は速いが弱いため犬を魔物から守りきれなかったが、蝸牛は遅いが強いので犬を魔物から守りきれましたか?
NO 魔物とはエンカウントしていません。
男は二人とも人間ですか?
YES 人間です。
蝸牛は犬の脚を遅くする魔法か、自分の脚を速くする魔法を使いましたか?
NO 違います。
韋駄天と蝸牛は人間ですか?
YES 人間です。
蝸牛は犬におさんぽしてもらいましたか?
YesNo 引っ張ってもらったわけではないですがー!
剣と魔法が織りなす世界でしか成立しませんか?
NO 剣と魔法は関係ありません。
走るのが世界一遅い蝸牛は、スキップしたら銀河系一速いからですか?
NO スキップしても遅いものは遅いのです。
現代日本で成立しますか?
NO 成立しないでしょう。
9 とりあえず、世界一足が速い男は世界一体が大きく、小さい男は世界一小さいので相対的に移動速度がそれぞれ速く、また遅いですか?
NO そうではないのです。
犬は小人なので蝸牛のスピードがちょうどいいですか?
NO 遅いぶんにはスピードは韋駄天も合わせられます。質問内容は惜しいです。
蝸牛はローラースケートを履いて引き摺られるがままでしたか?
NO 道具も使っていません。
蝸牛と犬は何か関係がありますか?
NO 関係ないとして成立します。
二人共超巨大なので、ゆっくりのほうが犬に釣り合いますか?
NO そうではないのです。
犬は韋駄天になついていないので韋駄天は走って追いかけるしかなく失敗したが、蝸牛にはなついているので蝸牛は上に乗って散歩を成功させましたか?
NO 親密さは関係しません。
蝸牛は犬に乗りますか?
YES 重要です。
ゲームの話てすか?
NO 剣と魔法の織りなす世界ですがゲームである必要はありません。
人の方は二人とも巨人で、一方犬は世界に数匹しか存在せずサイズは普通の犬なのでいくら走るのが早いと言っても、巨人のトロい奴と同じくらいのスピードになりますか?
NO 韋駄天は遅い子に合わせることもできるのです。
9.14 馬車みたいな感じで犬車にしましたか?
NO 蝸牛は犬に直乗りしています。
世界一走るのが速い犬のほうが韋駄天よりも早かったですか?
YES 重要です。
核心犬が超巨大で、蝸牛の方はバランス感覚が優れていたので、走る犬の背中を散歩出来ましたか?
YES せいかいお見事パーフェクト!
犬の上に乗っているため犬を見失わずにすみましたか?
むーそれでも成立はするかなぁと思うので良質にさせてください!
24 韋駄天も乗ろうと思えば犬に乗れましたか?
YES 乗れます!
蝸牛は走るのは遅いけどジャンプ力は韋駄天よりありましたか?
YesNo ジャンプする必要はないのです。
核心犬の走る速さに誰も追い付くことができなかったが唯一上に乗ることができた蝸牛は犬を見失わずにおさんぽに成功しましたか?
YES 唯一乗れるわけではないのですが、蝸牛の方がバランス感覚に優れていたのですね。
答え
この犬、速いだけじゃない!デカいぞ!
『韋駄天』は普通に並走し犬にスピードで負けた。
『蝸牛』は犬に跨り揚揚と乗りこなしてみせたのだった。
【以下、ストーリー】
剣と魔法が織りなす世界。
こんな世界で剣も魔法も使わず、己の肉体だけで勝負を続ける男たちがいる。
そんな男たちのために用意された祭典、それがこの世界での”闘犬”である。
“闘犬”では、体長5mを超す大型犬と勝負をする。
犬の規格外の大きさはこの世界において珍しいものではない。
しかしこの犬、個体によって様々な特殊能力を有する。
ある犬は炎を吐き、ある犬は鋼鉄の毛皮を持つ。
さて、此度の犬は世界最速の脚を持つという。
そしてその犬との勝負の種目はーー「おさんぽ」である。
「おさんぽ」のルールは簡単。
犬と一緒にお散歩ができれば良いのだ。
犬の首輪に付けられたリードから手を離すことなくお散歩ができればそれで良い。
この種目に挑戦するのは二人の男、『韋駄天』と『蝸牛』であった。
韋駄天は世界最速故その名が付いた。
蝸牛はその怠けた性格故、日常ほとんど動くことがなくその不名誉な名を馳せている。
「クゥーン」
犬の登場だ。
韋駄天は犬を見上げ、真剣な顔で睨め付けている。
蝸牛は犬の脚に触れ、毛並みを撫でて嬉しそうにしている。不気味である。
いよいよ「おさんぽ」の火蓋が切られる。
先行は韋駄天であった。
位置について......よーい......パァンッ!!
開始の合図とともに何かが爆ぜるような音が辺りに響き、衝撃波が起こった。
両者が音速を超えたのだ。
既に常人には視認できない領域でお散歩が繰り広げられているらしい。
至る所で破裂音と衝撃波が巻き起こっている。
「ハッハッ、キャン!」
犬が戻ってきた。
韋駄天は、もういなかった。
残すは蝸牛の挑戦である。
ところがこの蝸牛、よじよじと犬の脚を登っているではないか。
そうして背中まで到達し、リードを手綱のように握りしめ、毛皮に身体を埋め......眠りはじめた。
「クゥーン?」(この人間、ふざけているのか?)
よーい......どん!
開始の合図で犬が音速を超えた。
「キャンキャン!」(これで振り落とされているだろう)
そう思って犬は振り返り、驚愕した。
蝸牛は何事もないかのように背中で眠り続けていた。
「クゥーンクゥーン!」(くぅーんくぅーん!)
錯乱した犬が暴れ始める。
しかし蝸牛はそこにいた。
「ハッハッ......」
犬が戻ってきた。
蝸牛はまだ背中で眠っており、その手にはしっかりとリードが握られている。
「ん、終わった?」
最高の目覚めとでも言うような満足げな顔で起き上がった蝸牛。
実はこの男、ただの怠慢故に『蝸牛』の名が付いたわけではない。
自身で移動するのを嫌う蝸牛は獣の乗術に長けており、一度乗ると『蝸牛』の殻のように離れないというのだ。
この勇姿を称えた人々は未来永劫、蔑称ではなく敬意を込めて彼を『蝸牛』と呼んだのだった。
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