博士の普通な愛情じゅう
タイムマシンのナゾはどうだったかな。
もしも場所まで指定できたとして、みんなはタイムマシンに乗りたいかな?
過去を変えたいかな?
未来を変えたいかな?
現在を変えたいかな?
誰にだってルーツがあって、それが自分というものを作っている。
私も変えたいと思うときがないわけではないけれど、
きっと変えてはいけないものなんだろうなあ。
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O博士はオーディナリーラブ博士のお祖父さん。
彼は偉大な科学者で発明家だった。
平和を愛し人々を愛したO博士は、
砂漠でも育つ植物を開発し、井戸掘り機を作り、安価な薬品を製造した。
悪を憎み犯罪を嫌ったO博士は、
高性能な麻薬検知器を作り、画期的防犯装置を作り、犯罪を抑制する街づくりも提案した。
発明と言える類のものはなんでもしたし、それらは人々のために使われた。
O博士は万能家で、そして誰よりも優しい人であった。
漫画から出てきたような正義の科学者、などといわれるくらい。
いくつもの賞を受賞し、孫のオーディナリーラブと違い本当に完全だった。
ところが幼いオーディナリーラブが研究所に遊びにいったその日のこと。
実験中の事故でO博士は亡くなってしまったのだ。
それも幼いオーディナリーラブの目の前で。
幼いオーディナリーラブや他のO博士の家族だけでなく、
多くの人が悲しみ、涙にぬれた。
すぐにニュースが世界を駆け回り、世界中で大きな反応があった。
この日世界は偉大なる科学者を失ったのだ。
皆が泣いていた。オーディナリーラブも泣いていた。
暫くして世間が落ち着いた頃、
幼いオーディナリーラブは偉い人から表彰された。
ふたつの偉業をたたえられて。
皆が笑っていた。オーディナリーラブだけが泣いていた。
物語を解きほぐし、補い、全ての真相を見つけ出してほしい。
※この問題はある程度のSF要素を含みます。
この問題は暴くべき複数のナゾを含みます。
過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。
O博士が発明したものの詳細は重要ですか?
YES
ふたつの偉業は、幼いオーディナリーラブが一人で成し遂げた?
NO
彼は祖父が創造りだした存在ですか?(自然的血縁という意味でなく)
NO オーディナリーラブは自然に生まれたO博士の孫でした。
祖父が死んでしまう時、オーディナリーラブを助けようとしてますか?
YES O博士は幼いオーディナリーラブを助けようとしました。
最後のオーディナリーラブの涙は、悲しみの涙ですか?
YES 悲しみでもあり、悔しさからでもありました。
O博士は、自身の発明を全て平和利用に使ってほしいと思っていたのですか?
YES しかしO博士の考える平和と人々の考える平和が同じだったとは限りませんでした。
世間の人々は、O博士の発明を兵器に転用しますか?
NO しませんでした。以前の発明にしろ今回の発明にしろ、悪用しようとする人はいるでしょうが、博士の技術が飛びぬけすぎていたので真似できませんでした。
表彰された理由と、O博士が亡くなった事故の際に行っていた実験内容は関係していますか?
YES オーディナリーラブはその日、実験事故の時にその場にいたために(そしてそこであったことのために)、後に表彰されました。
事故時に実験していた研究は、最終的に完成しましたか?
NO 図抜けた頭脳のO博士が亡くなり、また受け継ぐ者もなく完成しませんでした。
事故の起こった実験では、何かの発明品を作っていたのですか?
YES? 実験段階の発明品を試験していました。
その発明品が完成することは、「皆」からすると都合が悪いことでしたか?
YES
オーディナリーラブのおかげで、実験に関し何らかの成果があった?(一部成功でも、副産物でも)
NO オーディナリーラブが実験にプラスの効果を与えることはありませんでした。
なぬ…まさか、オーディナリーラブのおかげで、実験が失敗しちゃったじゃないか?
YES 幼いオーディナリーラブのおかげで、実験が失敗しちゃいました。
事故時の実験は、命を落とすほど危険なものでしたか?
YES もちろん予定通りに進んでいれば問題なかったのですが。
オーディナリーラブが実験を失敗させたことが、彼の偉業の一つですか?
YES 幼いオーディナリーラブが表彰された二つの偉業、その一つがO博士の実験を失敗させたことでした。
では、もう一つの偉業はO博士を結果的に殺したことですか?
NO
O博士「この世界に美しい夜を!」 「誰か、誰かO博士を止めろ…!」 というような、O博士が暴走気味な状態でしたか?
YES セリフはともかくとして、些か狂気に蝕まれてたことは確かです。
「人間がいなくなれば戦争は起こらない!」とか考えちゃいました?
YES その考えも含める広い考えでした。
ではもう一度…。 「全世界の電気を止める」等、地球に優しく人類に優しくない 計画を実行しようとしていましたか?
YES かな。博士は人類が大好きで人類を思って研究したわけですが、当の人類にとっては迷惑で地球に優しいプロジェクトでした。
もし仮にその発明品が完成していたら、人類は滅亡の危機に瀕しますか?
YES 完全な発明家のO博士。発明品が完成していればこの地上から悲しむ人々は消え去ったことでしょう。
自然を活性化し、世界全体を深い森に変えてしまう? これだと、人間も自然回帰すれば生き残れるけど。
NO O博士は別に自然にそこまでの関心を抱いていませんでした。
「ふかい森」で思いついた。 大地の汚染を浄化する巨大植物を生み出そうとしましたか? そして、それは「瘴気」を吐き出す「腐海の森」となる… らん らんらら らんらんらん らん らんらららん♪
NO ここもまた腐海に沈――まない。環境改善は目的ではありませんでした。
― 争いをなくすためには - ― 人類が、ひとつになればいい。 ということで、人間の意識を集合体として、高次元精神体としてステップアップするための実験ですか? (エヴァの人類補完計画、EDEN、SF小説であるアイデアですね)
NO そういうSFかなり好きなんですが、今回はもっと即物的でした。
もう泣き顔は見たくない。だから・・・・・「泣いたら滅殺!マシーン」を作りましたか?
NO これで滅亡の危機に瀕する人類なんて滅びてしまえばいいと思ってしまいましたが、NOです。博士が開発したものは、規模の差はあれど現実に存在する「兵器」でした。
「人類がいなければ悲しむ人もいなくなる」ので、人類滅亡するほどの強力な兵器を博士は開発しましたか?
YES 兵器が完成していれば、人類は滅亡していたでしょう。
兵器の種類の特定は必要ですか?
YES 兵器の種類を特定することが、「二つ目の偉業」を解くカギとなるでしょう。
毒ガスなどの、一斉に撒き散らす類の兵器ですか?
YES 散布することで効果を発揮する兵器でした。
ウイルスですね?
YES ウィルス・細菌兵器でした。
最近平気ですか?
NO 最近ちょっと疲れ気味で……・あれ?
オーディナリーラブはウィルス兵器のプラントを破壊しましたか?
YES 結果として兵器プラントは破壊されました。
彼はウィルスに感染してしまった。しかし彼は生き延び、抗体保持者となりワクチンの基となった?
YES 実際はO博士が緊急時用のワクチンを投与したためでしたが、オーディナリーラブは抗体保持者となりワクチンの基となりました。
ゾンビ化します?
NO 細菌兵器は容赦なく安らかな死を与えました。
自分一人が生き残るのはいやだったから?
NO 何に対しての質問かよくわからないのですが、最後の行でオーディナリーラブが泣いていた理由であればNOです。実験を阻止しちゃった理由であれば、これもNOです。
(雑談欄より)「阻止した理由」ということは、オーディナリーラブは自分の意思で以って故意に阻止したのですか?
YES/NO 阻止しようと思ってしたわけではありませんでしたが、結果的に阻止することになった行動は自発的に行いました。
核心イタズラとか、好奇心で装置を触って偶然阻止しちゃった、とかではない?
YES 博士に悪戯をしかけたところ、実験中の細菌兵器が漏れ出る事態となってしまいました。解説に参りましょう。
答え
簡単だったかな。
難しかったかな。
お祖父ちゃんはすごい科学者だった。
何にでも手を出して、どの分野でも成功した。
でもそれは天才だったからじゃなくて、血を吐くほどの努力の結果。
お祖父ちゃんは人の悲しむ顔が苦手だった。
人が泣いているのに耐えられなくて、いつでもみんなに笑っていてほしかった。
とても弱くて、臆病で、優しい人だったんだ。
頑張って頑張って、世界中のみんなが笑顔でいられる世界を目指した。
でもね、お祖父ちゃんは優秀だった。賢かった。
優秀すぎて、賢すぎたんだ。
だからわかっちゃってたんだよね。いくら頑張っても無理だって。
どう頑張っても、世界中全てから涙を拭い去ることはできないって。
お祖父ちゃんは何度計算してもその度に打ち破られた。
もう、希望を持ち続けることができなかったんだ。
だからお祖父ちゃんはあの研究を始めた。
皆が安らかに眠れる、そんな致死性の細菌の研究を。
痛みもなく、苦しみもなく、ただ眠るように人々を殺す細菌。
この世から悲しみが消えないならば、この世から涙が消えないならば、
皆が眠ってしまえば地上からすべては消える。
それは苦痛の中で生きる人類に対する安楽死で、
そしてこれ以上涙をみたくなかったお祖父ちゃんのエゴ。
私はあの日、研究所に遊びに行った。
そして研究続きで疲れたお祖父ちゃんを喜ばせようとしただけだったんだ。
私のささやかな悪戯が、結果的に研究段階の細菌をまき散らす羽目になった。
細菌は研究所を覆い、街へと広がり、多くの人が巻き込まれた。
お祖父ちゃんもまた、私にワクチンを打つと、そのまま眠るように逝ってしまった。
事件はすぐに世間に知れ、人々は悲しんだ。
お祖父ちゃんがこんな事件を起こしたことも、事件で家族を失ったことも。
やがて世界中でお祖父ちゃんへのバッシングが広がった。
お祖父ちゃんはマッドサイエンティストにされ、そして私は――英雄になった。
私はお祖父ちゃんの悪の研究を身を張って止め、
ワクチンを体に宿して生還した英雄として扱われた。
そしてその二つの功績を表彰された。
真相を知る私だけが泣き、何も知らない皆は笑っていたよ。
お祖父ちゃんは確かにやり方を間違えていた。
でも、でもね。
お祖父ちゃんは皆が普通に大好きだっただけで、
私はお祖父ちゃんが普通に大好きだっただけだ。
いまでも、どうしてこんなことになったのかと思う時があるよ。
でも、あの事件があったから私はこうして科学者になっているし、
今の私があるんだ。
人はどんなに悲しくてもつらくても、前を見なきゃ生きていけないんだろうね、きっと。
それじゃ、今日はもう研究所をしめるよ。
ばいばい、またね。
— 博士の普通な愛情。難易度は上~極上。
参加者に解説を表示中。各自が封を開けます。
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