ウミガメのスープ

『 出会わなければよかった なんて思わない 』

作者: yan

拙者は、騙されたのであろうか。

彼女がいなくなってから、数多の女と出会い、別れてきた。
みな、どこかしら彼女の面影があったが、所詮あの娘とは違う人間でしかない。

今。 
彼女が目の前にいる。

気の済むまで殴れと言われた。
そうしてこそ、彼女も救われるのだと。

だが、殴らなかった。
拙者と彼女は、無関係な人間だから。

もう、顔も見せるな。
二度と拙者の前に現れないでくれ。心からそう思った。

…これ以上、彼女以外の女と関係を持つつもりもない。

彼女と出会ったこと。出会わないほうが良かったなんて、思えないこと。
そのことを告白し… 別れを、告げた。

彼女と会うことは、もう、なかった。

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

いいえ

人以外は登場しますか?

NO すべて人間で成立します!

いいえ

関係とはえっちいの事でつか?

NO じつはえっちい関係は一切ありません!(せめて彼女とあってもよかったのにねTT)

いいえ

ファンタジー要素はありますか?

NO 今回はオカルト・ファンタジー・SF要素はありません

はい

一人称の「拙者」は重要ですか?

YES 場所・時代背景的なものを暗示しております!

はい

主人公はお侍さんですか?

YES! お侍さんです!忍者ではないでござるよ!ニンニン

はい

主人公と彼女は恋仲にありましたか?

YES 周りから見てもそうだったでしょう。ただ、彼女が本当に主人公に想いを寄せていたのか、疑問に思うような出来事がありました。

いいえ

SF、オカルト要素はありますか?

NO 3の回答通り、今回は不思議要素無しでございます

いいえ

拙者が出会った女たちの間には血縁関係はありましたか?

NO 拙者と女たちの間にも、女たち同士の間にも、血縁関係はありませんでした。

はい

拙者は警察のような仕事をしていますか?

YES! 警吏と呼ぶべきでしょうか。さらに、担当する「部署」がありました。

いいえ

宗教は関係ありましたか?

NO…かな? 伴天連とか絡めても良かったですけど。

はい

彼女は指名手配されていましたか?

YES! 人相書きが書かれていました!!

はい

モトネタアリマスカ? ラショウモントカヤメテヨ シラナイシ

YES! タグにある通りです!でも元ネタの知識は必要ないので、知らなくても大丈夫ですよ。(ちなみに「門」は多少関係あります)

いいえ

結婚詐欺されてましたか?

NO! そもそも、そこまでの中ではありませんでした! ですが「利用された」と考えてしまうようなエピソードはありました。

とりあえず、彼女は悪いことしたので人相書きを配られていましたか?

一応NO 「彼女自身」のせいではないのですが、「追われる身」ではありました

はい

場所は「関門」ですか?

YES! 「拙者」は関所の門番でした!

はい

彼は関所に勤めていましたか?

YES! 関所勤めでした! 結婚…には時間が空きすぎ?;^^

はい

彼女が彼と仲良くしたのは関所を抜けるためでしたか?

YES! 「彼女」が「拙者」に近づいたのは、それが理由でした! GJ!!!

【かんじんちょう】が思い付くのですが 漢字すら分かりません 確か富樫だか虎丸だかがでてきて 義経が殴られたかな?

おお! 勧進帳は元ネタの元ネタです! 虎丸は男塾ですがなw ただ、勧進帳の場面そのままではなく、解釈がひねってありますね

はい

「拙者」は「彼女」が手配されていると知りながらも通したのですか?

YES! 「拙者」は「彼女」を逃がしてあげました! さて…どうやって?

いいえ

女は顔の形を変えるために、自分を殴れといいましたか?

NO! そもそも、「殴れ」と言ったのは…!!! GJ!

はい

女の為でなく自らの潔白を晴らすためにこの女を殴れですか?

YES!!! GJ!!! ただし、「自らの潔白」を示すだめだけではありません!!!(勧進帳のエピソードも参考になるかもしれません)

はい

「殴れ」と言ったのは、関所の同僚ですか?

YES!! 正確には「上司」ですが、GJ!!!!

はい

殴らなければ油風呂に入れられますか?・・・拙者以外も?

YES! 上司は「気の済むまで殴れ」と言ったのです。「そうしてこそ、彼女も救われる」のだと。

拙者が女を殴れば拙者は女の仲間でない 殴られている女を助けなければその者達は女の仲間ではない? 

YESNO 「上司の示した条件」に従うなら、そういう解釈もできるでしょう。ただ、それをやってしまうと「彼女」は救われませんね。

いいえ

20より、上司は女の顔を変えようと思いましたか?

NO ちょっとここは複雑なのです。補足を入れます

はい

核心藤堂『富樫よ、この女はお前の元主人の江田島ではないのだな?』 富樫『いかにも、この女は塾長ではござらぬ』 藤堂『ならば殴れ!お前が殴れるのならこの女は江田島ではない!(くくく、富樫に江田島が殴れるわけがない 皆、油風呂に入れてやる)』 富樫『むむむ・・・この女は無関係だ!無関係な女子を殴るなど武士のする事ではない!』 藤堂『な・・・なるほど』 女『ありがとうございます、御侍様』 富樫『礼には及ばぬ 拙者の信念だ!さっさと行けっ!』 ですか?

YES! なんか変な配役が入ってるけどw おおむねそんな感じです!24時に解説に移ります!

ポイント2 『江姫』を恨んでいるなら殴れですか?殴れば『お江』である事がばれてします ポイント3 富樫には他に『大豪院姫』や『卍丸姫』、『ゴバルスキー姫』などから家来になるよう(主従関係を結ぶよう)求められていた しかし彼は『男』の道を貫くためそれら全てを断った?

おおっと、このサイトのシステムで同時質問は答えにくい;^^ 2YES 17にあるとおり「拙者」は利用されていたようですから、「拙者」が「彼女」に対して恨みを抱いているのではないかと上司は思ったわけです。そして、恨みを晴らそうとするくらいの関係なら、「拙者」が殴った時点で「彼女」を御用にするつもりでした。

答え

お露との出会いは、いつだったか。
生まれも育ちも知らぬが、心根の優しい娘なのは間違いなかった。

拙者が熱を出して寝込んだときは、寝ずに看病してくれた。
近所の子猫が死んだ時は、子供のように泣きじゃくっていたな。

- 彼女が、突然いなくなった。

伝え聞いたところ、どうやらお露は謀反人の娘で、一族郎党皆殺しの中、一人逃がされたらしい。
そして、彼女と別に逃げ延びてきた使用人たち(逃げ損ねた使用人たちは残らず切り捨てられたらしい…)と落ち合い、町内で潜んでいたとのことだ。

事が発覚したのは密告があったからだが、そのことに気づいた一行は、御用になる前に隠れ家を引き払っていた。
おそらく、関所を越えて隣国へ逃げ延びるつもりだろう。

…そういえば彼女は、関所の門番である拙者に、関所近くの地形や手形の詳細などを聞いておった。
会話の中でさりげなく聞いてきたので、その時は意識していなかったのだが…。

- 拙者は、騙されたのであろうか。

拙者は彼女と親しい者として、重要参考人…
いや、謀反人に与する者として捕らえられた。

お露一行は、まだ関所を抜けていないらしい。
拙者は彼女の顔を知る者として、検分を命じられた。

お露の人相書きに少しでも似ている女は、全て捕らえられた。
大抵の場合はすぐ釈放されたが、担当役人によってはひどい目に合わされる者もいた。

皆、彼女の面影はあったが、所詮あの娘とは違う人間でしかない。
しかし拙者が否定しても、意地の悪い役人は「庇っているのではないか」とわざと疑い、見るに耐えないようなこともした。

…いつまで、こんなことが続くのか。
そう、思っていたとき。

彼女は、現れた。


彼女も例外なく、人相書きに似た人物として捕らえられていた。
一緒にいるのは、逃げ延びたという使用人だろうか。
…みな、年端も行かぬ子供ばかりではないか。

幸か不幸か、今日の担当役人は、直属の上司だった。
誠実で人情家の彼なら、非道いことはしないだろう。
だが同時に、勘のいい、仕事の出来るお人でもある…

「…どうだ?亀乃進。この者は”お露”か?」
「はぁ…」

拙者は、迷っていた。
自分の職務を考えれば、正直に言うべきだろう。
それに、彼女は拙者を… …利用… …していただけなのかも…

そんな拙者の態度を見て、気づくところがあったのだろう。
上司は、拙者に鉄の杖を渡しながら言った。

「どうだ? 違うのか? 違うのなら、その棒で殴るがよい。知り合いでもないのなら、殴れるだろう。
…気の済むまで殴れ。そうすればこの女の命も助かるであろう」

拙者は、呆然としながら棒を受け取る。
改めて、彼女を見据えた。

彼女はずっと、悲しそうな、詫びるような、おびえるような表情で見ていた。
しかし、拙者が棒を握るのを見ると、覚悟を決めたように、拙者を真っ直ぐに見つめる。

澄んだ目だった。
…あぁ、拙者はこの眼に…

「…殴れませぬ」
「なに?庇い立てする気か?」

「いえ…見ず知らずの、無関係の人を…殴ったりは出来ませぬ」
「…まことか?…本当に、それで良いのか」

…この人は、何もかも見抜いていたのだろうか。
わかった上で、拙者が彼女を殴るための理由を与えたのかもしれない。

だけど、もういい。
彼女の正体が何であっても。
近づいた理由がどうであっても。

拙者の触れた、少しの部分は。
真実だったと、信じているから。

「あいわかった。…娘よ、行くが良い。…道中、気をつけてな」
「はい…!」

彼女は、子供たちから先に関所を抜けさせ始めた。
最後の子が門をくぐるまで、ずっとこちらを見つめていた。

馬鹿者。拙者とお主は無関係なのだ。…もう、顔も見せるな。
二度と、拙者の前に現れないでくれ。心から、そう思った。

彼女が門をくぐると、扉が閉まり始めた。
扉が閉まる寸前、彼女の唇が「さよなら」と動いたように見えた。

…あれから一週間後。また、人相書きに似た女が捕らえられた。
これ以上、無関係の女性を苦しめるわけにはいかない。

「海之守様。実は拙者、すでに”お露”に出会っております。
彼女はとっくに関を抜けました…いつ、どの時点かは申し上げられませぬが」

「…今、そのようなことを言い出すとは…。覚悟は出来ているのだな?」
「はい。」
「出来れば、お主も救いたかったが…。主も、あの娘と会わねば良かったであろうにな」

「いいえ…どのような結果になっても…それでも、”出会わなければ良かった”とは…思えぬのです」
「そうか…お主は、牢獄行きじゃ。打ち首も覚悟しておれよ」


彼女と会うことは、もう、なかった。
だが、後悔する気持ちも、なかった。

もし、拙者が死んだら…
そのことが、彼女に優しく伝わるといいのだけど。

— 「二度と拙者の前に現れないでくれ」… …心から、そう思った。 

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