ウミガメのスープ

ステイガーの日本食歩記7

作者: 長串望

美しい君。
ようやく出会えた。

眩い光に照らされた君。
その姿はぞっとするほど綺麗だ。

君の耳をそっと撫でる。
その柔らかな感触に感じる君の命。

腹の底から込み上げるような吐き気も、
いざ君を前にすると引いていった。

涙が出そうになるのをこらえ、
喉元まであふれた嗚咽を呑みこむ。

罪の意識がちくちくと胸を苛み、
それさえ上回る感動が胸に躍る。

苦労の甲斐があった。
この地獄を乗り越えてきてよかった。

怯える君。
美しい君。

万感の思いを持って、
僕はいま、君を食べる。




状況を補完してください。
気になさらない方もいると思いますが一応、グロテスクな描写を含みます。

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

はい

生きたまま食べるということですか?

YES 「僕」は「君」を生きたまま食べました。

はい

踊り食いですか?

YES 踊り食いでした。

はい

君はほたるいかですか?(゚ω゚)

YES 君はホタルイカでした。

はい

核心ん?後何を当てればいいのでしょうか? 船で海に出て(船酔いをこらえつつ)そこで捕れたての ピカピカ光るほたるいかちゃんを食べました ですか?

YES その通りでした。

答え

元ユダヤ教徒の食道楽ステイガー。
日本に来て早9年になる。

変わったもの食わせてやる。
そう誘ってきたのは食道楽の社長。
なんと本当に社長まで食道楽だったこの職場。
大丈夫か、日本。

ともあれ向かったのは海。
船に乗せられ海を進むそんな星の綺麗な夜。
同僚たちは実に楽しそうだが、ステイガーは苦しんでいた。

船酔いである。

もともと内陸地に住んでいたステイガー。
飛行機は乗れても船はダメだった。
地獄の苦しみにのたうちながらも目的地点に到達。

眩い光が海を照らし、イカを誘う。

ちなみにイカは負の走光性があるという説がある。
つまり光から逃げる性質だ。
眩い光で海を照らすと船の影に隠れるので、そこを狙うということだ。

何にせよリバース寸前のステイガーにとってはどうでもよいことだったが。

さて網が引き上げられ姿を現したのはホタルイカ。

眩い光に照らされて、自らも光を発する小さな姿。
触ってみるとつやつやぷにぷにとしている。

美しい姿への感動が、吐き気をごまかしてくれた。
喉元まで上がってきたものを飲み下し、滲みかけた涙をぬぐう。

社長によればなんでもこれを踊り食いするとのことだ。
ちょっと申し訳なく感じるが、むしろ感動の方が強い。
海の宝石のようなこの美しいイカを食べられるのか。
アミルスタン羊が懐かしい。

威嚇するように光を放つホタルイカ。
万感の思いを持って、口に放る。

ぐにぐにとした食感。
口の中でのた打ち回り、舌にペタペタと張り付く触手。
柔らかな肌を突き破り、とろけるような内臓を舌に絡める。
命のともしびが消えるのを感じながらそれを嚥下した。

命の味は贅沢で、残酷で、そして物を食べるということを教えてくれるようだった。


※Caution!!
生のホタルイカの一割程度は寄生虫を含みます。
生食はお勧めしません。
どうしても踊り食いがしたい人は、寄生虫を覚悟するか、
寄生虫のいない足だけを食べましょう。
_____________________
お疲れ様でした。
ステイガーの日本食歩記7~ホタルイカ編~、如何でしたでしょうか?

ヒントはちかちか瞬かせました。

一口でぱくりといける小粒なナゾはいかがでしたか?

次回はステイガーの日本食歩記最終話~メインディッシュ編~(仮)。
オードブルとしても物足りなかったかもしれませんね。

それではまたお会いいたしましょう。

— 美しい君を食べる。難易度は下。

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