一体何故?
【ウミガメ】【闇スープ】

登場人物は彼女と語り手以外にいますか?

いいえ! 重要なのは二人だけです

浴衣を着られない事情がありましたか?

はい! [良い質問]

葬儀関係ありますか?

いいえ!

彼女が夏祭り当日に洋服をきてきたのは彼女の意図通りでしたか?

いいえ!

彼女は浴衣を持っていましたか?

いいえ。 持って来た、という意味でいいですよね?

彼女は着ようと思えば当日浴衣を着る事が出来ましたか?

yes,no!

浴衣は破損、および汚れましたか?

いいえ!

浴衣の着付けに他の人が必要だったけど、その人がいませんでしたか?

いいえ。

洋服の特定は重要ですか?

いいえ。

お医者さんから浴衣を着るのを、止められましたか?

いいえ。

「The Yukata」 的な 浴衣デザインの洋服でしたか?

いいえ。

目立つところにけがをしたので隠したかったのですか?

いいえ!

二人とも生身の人間ですか?

いいえ!! [良い質問]

彼女は死んでいますか?

はい!! [良い質問]

病気は関係ありますか?

いいえ。

彼女は人間ですか?

はい。

彼女が着ていた洋服は死ぬ直前に着ていた洋服ですか?

はい!! 解説行きます! [正解]

語り手も幽霊ですか?

いいえ。
「これぜったいなつまつりにきていくんや、おにい」
事あるごとに俺に妹はそう言った。言わなくても分かっていた。
その気に入りようじゃ、夏祭りに着て来なかったらおかしいからな。
「これぜったいきていくんや。ぜったいやから」
「分かっとる。分かっとる」
そんなやり取りが、夏祭り当日まで続いた。
妹は言わずもがな、俺もひっそりと楽しみにしていた夏祭り当日。
俺は遊びに行った妹に言っておいた待ち合わせ場所、夏祭り会場の近くの神社の鳥居の前で待っていた。
待ち合わせの時間から数分後、妹の姿が遠くに見えた。何かおかしい。
「ごめんな、おにい。おそうなって」
「……お前、浴衣は?」
妹の服装は、友達と遊びに行った時のままの洋服だった。
「ああ、ちょっとかえるのが……な。きがえるじかんなかってん」
「残念やったなぁ。あんなに楽しみにしとったのに」
「うん。ねえ、そろそろいこうよ!」
「お、おう」
妹に手首を掴まれる。妹の手はひんやりと冷たかった。
夜風に冷えたような、表面の冷たさではなく、芯から冷たい、ぞっとするような冷たさだった。
妹はきゃっきゃはしゃいでた。
リンゴ飴や綿菓子の甘い匂い。
たこ焼きや焼きそばの香ばしい匂い。
水に揺らめく金魚すくいの金魚。水風船。
妹は色々と立ち寄って、暫く眺めているのだが、買おうとはしない。
「なあ、買わんのか?」
「ん。いらない」
「お兄が一個ぐらい買うたるから、何か欲しいもん言い」
「んー……じゃあこれがいい!」
妹が手に取ったのは、水笛だった。
もうちょっと夏祭りらしいものはないのかと思ったが、妹がそう言うんだから仕方ない。と俺はそれを買ってやった。
いよいよ夏祭りもクライマックスを迎える。
俺と妹は隣同士に座り、空を見上げていた。
夜空に咲く大輪の花。市販されている手持ちの花火もいいが、やっぱり花火はこうじゃないと。
横にいる妹も、目をキラキラさせながら空を見上げている。
不意に、ポケットの中の携帯が震えた。母からの電話だ。
「あ、洋? お母さんだけど……あのね、海子が遊びに行ったっていう池で」
母の声は、花火の爆音に掻き消された。
画面に目をやると、電話は切れているようだった。
「ありがとうな、おにい。たのしかったわ」
空を見上げながら、ぼそりと妹が呟いた。
俺は薄々感じていた不安が、急にはっきりとしはじめ、恐ろしくなり妹の手を握った。
やはり、冷たかった。
最後の花火が打ち上がる。音と共に、夜空が、全ての景色が綺麗な色で彩られた。
妹の手を握っていた筈の俺の手の中には、水笛だけがあった。