ウミガメのスープ

ウミガメ紙芝居 『聖夜』

作者: ゴトーレーベル



「サンタなんか信じてるのか?サンタは本当はお父さんなんだぞ」
周りの子供にそう言われた両親のいない少女。

その言葉が本当のことかもしれないと思ったとき、少女は悲しくて泣きました。

でも、その言葉が本当のことだとはっきり知ったとき、少女は嬉しくて泣きました。


どうしてでしょう。どうぞ正解して、下のお話に続きを与えてください。




--------------

あるところに、エリアという女の子がいました。

エリアは2年前、サンタクロースを見たことがあります。……たぶん。

かすかに鈴の音が聞こえてきた気がして空を見上げると、遠く、遠く……見えたのです。
ぼんやりとした光につつまれた、トナカイとソリ、そしてその上に乗る人の姿が。

とても小さくしか見えませんでしたが、エリアは、それはたしかにサンタクロースだと思ったのです。

家でサンタを見たことを言うと、パパはエリアの頭をなで、「そうなのかい?パパも見たかったな」と言ってくれました。
パパはとてもやさしかったので、ママはエリアを産んですぐに亡くなってしまったけど、さびしいと思ったことはありませんでした。

翌朝、眠りから覚めると、枕元にプレゼントが置いてありました。

サンタさんからだ!大喜びで近所の子供にプレゼントを見せびらかすと、

「サンタなんか信じてるのか?サンタは本当はお父さんなんだぞ」
「だいたい、サンタが一人で世界中にプレゼントを配れるわけないだろ」
と言われました。

「ちがうよ!サンタさんだもん!きのう確かに見たんだから!」
エリアがそう言い返すと、子供の何人かはエリアをうそつき呼ばわりしました。

くやしくて、泣きそうになってパパにそのことを言うと、「サンタさんはいるよ。だってエリアは見たんだろう?」と言ってくれるのでした。

そのときの、ちょっと困ったような、でもやさしい顔を、今でもエリアは憶えています。


パパの体の具合が悪くなったのはそれからしばらくしてからでした。
ずっと寝ていなければならなくなったパパをエリアは毎日看病しました。

でも、パパは亡くなってしまいました。あのクリスマスから1年足らずのことでした。

エリアは泣きました。
パパはエリアにやさしいだけでなく、周りの人にも尊敬されているすばらしい人だったので、
ご近所の人も「あんなりっぱな人が」とみんな泣きました。


エリアは親類の家にあずけられることになりました。
親類も生活は楽ではなく、ときに粗末に扱われることもありました。

パパが亡くなっですぐのクリスマス。
朝目覚めても、プレゼントはどこにもありませんでした。

近所の子供たちに言われた言葉、あれは本当のことだったんだろうか。
そう思うと、悲しくて涙がこぼれてくるのでした。


そして、今年のクリスマスの夜。

エリアは家から長い時間歩いて、昔パパと住んでいた家に近い、小高い丘に上っていきました。
丘の上には杉の木が一本立っています。

その場所は……



<解説に続く>

--------------

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

はい

非現実要素はありますか?

Yes!

いいえ

少女はクリスマスプレゼントをもらったので、「サンタさんがいないとしたら、お父さんかお母さんがいるのね。」と思って喜びましたか?

No

エリアは丘の上で杉の木以外の何かを発見しましたか?

まあYesです 「発見」というのは適切でないですが

はい

サンタは本当にお父さんでしたか?

Yes! しかし重要な点なのでもう少し明瞭にお願いします

いいえ

過去のクリスマスに貰ったプレゼントが、サンタではなく愛する父親から貰ったものだと知ったからですか?

No

はい

亡くなったお父さんがクリスマスの夜に現れましたか?

Yes!

はい

核心エリアのお父さんこそが、世界中の子供達に夢とプレゼントを送る本物のサンタクロースだったからですか?

Yes!!! そのとおり、それが本問の答えなのです。ありがとうございます。解説に行きます。

核心亡くなったお父さんがサンタクロースとして少女の前に現れたので、「サンタは本当にお父さんだった」と知ると同時に、亡くなったお父さんに会えたことを喜びましたか?

パーフェクトです。ありがとうございます。

答え



父親が亡くなったら、プレゼントをもらえなくなったので、少女は悲しみました。
しかし、父親が本物のサンタになってやって来てくれたので、少女は喜んだのです。



--------------

その場所は、エリアがサンタクロースを見た場所でした。

しんとして、時おり風が草を揺らす音しか聞こえないなか、エリアは空を見上げます。そこには降るような星が広がっていていました。

しばらくそうしていると、自分がとてもちっぽけで、一人ぼっちな気がして、泣き出したくなりました。

ふと気がつくと。

2年前と同じように、鈴の音が聞こえた気がしました。
はっとして音のほうへ顔を向けると、淡い光に包まれたなにかが見えました。

あのときと同じ、トナカイのソリに乗ったサンタでした。

「やっぱり……サンタはいるんだ……!」

サンタがパパだなんて、やっぱり嘘だ。
そう思ったエリアは、それがちっともうれしくないことに気がつきました。

サンタが来てくれるより、パパがプレゼントを持ってきてくれるほうが……いや、プレゼントなんかくれなくたって、パパがいてくれるだけだって……そのほうがずっといい。

涙でぼんやりかすむ淡い光をみているうちに、エリアは気が付きました。

鈴の音が次第に大きくなっていることに。
光が次第に大きくなってきていることに。

見ると、その光はまっすぐエリアに向かって降りてきていました。

エリアには、もうはっきり見えていました。
トナカイ一頭一頭の顔。
ソリに刻まれた彫刻。

そのころには大きく大きくなっていた鈴の音が、ソリとともにエリアの目の前で止まりました。


ソリの上でサンタが立ち上がり、エリアに向かって呼びかけます。
「メリークリスマス!いい子にしてたかい!」

驚きで身を固くしていたエリアは、暖かいその声にほっとしました。

でも、とエリアは思います。
自分はこのところずっと、泣いたり、不機嫌になったり、怒ったりしてばかりだった。
パパがいなくなってから、ずっと。

「わたし……あんまりいい子じゃなかった」

サンタはそれを聞くとソリから降りて、エリアの目の前まで近づいてきました。そしてゆっくりと首を振って、
「エリアがいい子じゃないなんて、そんなわけがないだろう?」

その声。

はっとして見つめ返すエリアの前で、サンタは帽子を取ります。

その顔は……髭が生えているけど、間違えようがありません。

パパ!

「なんで!?」

胸に飛び込んできたエリアをパパは優しく抱きしめます。
「サンタは世界中の子供にプレゼントをあげなくちゃいけないだろ?」
泣きじゃくるエリアの頭をなでながら、パパが耳元で続けます。
「でも一人では難しい。だから何人も助手がいるんだよ」

エリアはパパの胸から顔を離して、パパの顔を見ます。
「パパはサンタさんになったんだね?」
「ああ。生きているうちにいいことしたって認められてね……パパも助手の一人にならせてもらったんだ」

そして、パパはもう一度エリアの頭を抱いて言いました。
「これからは毎年会いに来るよ……他の子にプレゼントをあげに行く前の、ちょっとの時間だけどね」

そのときエリアは、ずっと前に自分に投げかけられた言葉を思い出しましました。

「サンタはお父さんなんだよ」
「サンタが世界中に行けるわけないだろ」

あ、本当だ。両方とも、本当に本当だ。

エリアはパパの胸の中でまた泣いたのでした。



今年もクリスマスがやってきました。

エリアとパパは、きっとまた会えるでしょう。

あなたの家にも、サンタさんがやってくるかもしれません。
それとも……やさしいパパが、あなたにプレゼントを持ってきてくれるでしょうか?



<おわり>
--------------


長々とおつきあいありがとうございました。

それではみなさま、メリークリスマス。

— 「良く言えば」実験作。クリスマスの38問目。

保存しました

参加者に解説を表示中。各自が封を開けます。

💬 参加者チャット

この問題、気に入りましたか?

📺 配信・対面での出題にご利用いただけます。ご利用のルール(出典・改変について)