ウミガメのスープ

【猛者のスープ】白昼の夢

作者: ポトフ

女は駐車場に車を止めて、店で買い物を楽しんでいた。

「あら、このお洋服は坊やに似合うかもしれないわ。でも、坊やは駐車場の車の中だし……もう、一緒に連れてくればよかった!」

女が駐車場に戻ると、停めてあった車のガラスを割られていることに気付いた。


「車内にいる子どもが危ない!熱中症の危険が!」
そう判断した通りすがりの男が、女の車の窓を割ったのだ。

車の周りには野次馬の人だかりができていた。ガヤガヤと話し声が聞こえてくる。

「車内に子供が……」
「……まぁ置き去り!?」

急いで車のもとに向かい、その場にいた警官から全てを聞いた女。
女は愕然とした。

車内に置き去りにしてしまったことが原因となって
我が子が死んだのだという事実と向き合わされた女は
そのことで悲しんで泣き、子どもの命を救おうとした男に感謝した。

しかし、この一連の騒動で女は罪に問われることはなかった。

一体なぜ?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

いいえ

男は女の関係者ですか?

NO 関係ありません。ええ。

いいえ

坊やはペットですか?

NO ですが……ええ。

はい

車の中にいたのは子ども1人ですか?

YES ミスリード注意です。ええ。

いいえ

洋服を買おうとしていたことは重要ですか?

NO 重要ではありません。ええ。

いいえ

子どもは人間ですか?

NO 人間ではありません。ええ。

いいえ

女の子供は女の車の中で死亡しましたか?

NO 車内では誰も死んでいません。ええ。

いいえ

子どもは犬ですか?

NO 犬ではありません。ええ。

いいえ

車内にわが子を置き去りにしたことで、女は自分の子を殺しましたか?

NO 女は誰も殺していません。ええ。

いいえ

坊やとは女の実の子供のことですか?

NO 重要ではありません。ミスリードかもしれませせんが。ええ。

はい

坊やと車内の子供は同一人物を指しますか?

YES 同一です。ええ。

いいえ

通りすがりの男は罪に問われますか?

NO 問われません。ええ。

いいえ

女は車を2台持っていますか?

NO 一台です。ええ。

いいえ

坊やは動物でしたか?

NO 動物ではありません。ええ。

はい

女は、自分の子供が死んだ事を受け入れられずに、生きていると思い込んでいましたか?

YES! ミスリード注意かもしれません。詳しくお願いします。ええ。

はい

車は普通車ですか?

YES 普通です。ええ。

いいえ

男、女、警官、亡くなった女の子供以外に考えるべき登場人物はいますか?

NO いません。ええ。

はい

事実と向き合わされた とは問題文中の時間列の話ですか?(過去ではなく)

YES 事実と向き合っているのは問題文中の時間列です。ええ。

子どもは熱中症のために死にましたか?

YESNO 重要ではありません。ええ。

はい

季節は夏ごろですか?

YES 夏です。

いいえ

男が車の窓を割るときに勢い余って子供も撲殺してしまいましたか?

NO そうではありません。

「女」の子供は、誰かに殺されましたか?

YESNO 重要ではありません。ええ。

いいえ

非現実要素はありますか?

NO ありません。ええ。

子供は熱中症で亡くなりましたか?

YESNO 男の行為が犯罪にあたるかもしれません。ええ。

いいえ

「子どもが死んだ。なぜだ?」「坊やだからさ」という展開ですか?

NO そうではありません。ええ。

いいえ

子供は車に憑いている地縛霊でしたか?

NO そうではありません。ええ。

いいえ

女が駐車場に車を停めたとき、子どもは寝ていましたか?

NO なんとも言えません。ええ。

はい

問題文の出来事はすべて同じ日に起きましたか?

YES 同じ日です。ええ。

いいえ

車の中にあったのは子供の人形と女のペット。ペットは店には連れていけず車内に待機。男は人形を人間の子供だと思い窓ガラスを破壊。女は子供同然に可愛がってたペットを助けてくれようとしたと思い男に感謝。結果ペットが死んではいるが罪には問われませんでしたか?

NO ペットは登場しませんが人形は重要です。ええ。

いいえ

子供を死なせてしまったため、自責の念と絶望のあまり女が自殺したからですか?

NO 自殺しません。ええ。

はい

女が罪に問われないのはすでに死んでいるからですか?

YES 端的に言えばそうなりますね。ええ。

はい

坊やは人間そっくりの人形ですか?

YES 人形です。ええ。

はい

「子供」とは無機物ですか?

YES 人形です。ええ。

いいえ

SFますか?

NO SFではありません。ええ。

核心過去に車内に子どもを置き去りにして死なせてしまった女は、以来人形を我が子のように連れ歩いていた。それを本当の子どもと勘違いした男はガラスを割り、結局人形なので女は今回は罪に問われないが、過去に自分のやってしまったことを思い出し、事実と向き合わざるを得なくなった。ですか?

YESNO 少し違いますが正解とします。ええ。

はい

核心女は、自分の子供を以前亡くしていたが、その事実を受け入れられずに、子供の人形を子供と思い込んで生活していた。その人形を人間と思った男が熱中症の危険から助けようとガラスを割ったが、人形だったので、改めて自分の子供が死んでいて車にいたのは人形だとつきつけられた女は、子供が亡くなった現実を受け入れるきっかけとなった男に感謝し、子供を殺したのは女の責任ではないので、罪には問われない。という事ですか?

YES 正解とします。ええ。

はい

核心子どもは女が買い物をする前からすでに死んでおり、警察沙汰になったことが原因で女ははじめて子供が死んでいる事実を認識しましたか?

YES 正解とします。ええ。

いいえ

熱中症によって過去の出来事を思い出しましたか?

NO そうではありません。ええ。

いいえ

「我が子が死んだ」のは、女の車の中でのことですか?

NO 恐らく違いますね。ええ。

はい

核心車内にあったのは人形。女はその人形を昔死んだ自分の子供だと思い込みながら生活していた。そんなところでこの事件。男は車の中のその人形を人間の子供と勘違いして窓ガラスを割る。やって来た警察が実況見聞したところ勿論子供はおらず、女に状況を説明。そこでやっと女は『自分の子供が死んでいるという事実』を理解しましたか?(白昼夢とは女が自分の子供が生きていると思い込んでたことに対する暗喩)

YES 正解とします。タイトルまでありがとうございます。ええ。

答え

解説要約

女はかつて愛する子を亡くしたがその死を受け入れず、いつしか本物にそっくりな人形を我が子として可愛がるようになった。ある真夏の日に、人形を車に置き去りにして買い物をしていたところ、別の客が車内の人形を本物の子どもだと勘違いし、子どもを助けようとして騒ぎになった。そのことで、もし人形を本当に我が子だと思っていたなら車に置き去りにするはずがなく、心のどこかでは人形を我が子だと信じ切れずにいた事に気づき 、我が子の死という事実から目を背けるのをやめ、向き合うことができるようになった。



ある人形職人の女がいました。

女とその夫はずっと子を欲しがっていましたが、
不運な夫婦は長らくその願いを叶えることができませんでした。

女の夫は、流行り病で若くして亡くなりました。

しかし、独り残された女はその時、
夫の子をその身に宿していました。

夫の忘れ形見を、女は持てるだけの愛情で、
懸命に育てました。

しかし、女の想いが実を結ぶ事はなく、
子もまた、歩けるようになる前に、亡くなってしまいました。

夫の分まで愛していた子にも先立たれたその女は、
仕事に励みました。
赤ん坊の人形を作り続けました。

亡き子をしのび、子が生き返るのを願うかのように。

人形を子に似せれば、子がその手に戻るとでも思うかのように。


子を愛する替わりに、人形を愛するかのように。


いつしか女の作る人形は、
本物の赤ん坊と見分けがつかなくなっていました。

そして女自身、
その人形が生きている我が子であるように考えるようになりました。


私の子は亡くなってなどいない。こうして私に抱かれているではないか。


その考えが間違っているという現実から女は目をそらし、
『我が子』をかわいがるようになりました。

女のそのような行動は、たくさんの人に気味悪がれました。

しかし、もう一度手に入れた幸せを、
今度こそ手放すことがないように、
女は大事に、大事にしました。



ある夏の日のこと。

女が買い物を終えて駐車場に停めてある車に向かうと、
車の割れた窓ガラスとが目に入り、
どうやらそれをやったらしい男がそこに立っていました。

そして、途方にくれたように立つ男の手には、
女の愛しい子が抱かれていました。



買い物に連れて行く訳には行かずに車に残してきた赤ん坊の人形を、
本物と勘違いした利用客がの男が心配して助けようとしたのでした。



女は泣き崩れました。


私の子どもを

助けてくれてありがとう



そして、私に現実を気付かせてくれたことも


ああ、私は、本当は気付いていたのだ。

『我が子』が本物ではないということに。

本当の我が子であったならば、
車内に置いていくようなマネなどしない。

心のどこかで、
ほんの少しの正常な意識が、
それが我が子であると認めるのを拒んでいたのだ。



人形を車内に置き去りにしたことによって
引き起こされたこの騒動が原因となって、

女はようやく本当の我が子は何年も前に死んだという現実を受け入れ、

今まで行くことのなかった我が子のお墓参りへ行くようになったのでした。
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