亀夫君問題

ゆめのあとで

作者: 風木守人

イージーちゃんイージーちゃん!
やっと動きましたよ、なんですかねこれ。
ユメ、こんな機械初めて見ます。あ!画面に文字が出ましたよ、
ラテ……ン?
イージーちゃんなんですかね。ラテンって?

「わかりません」

へぇ、イージーちゃんにもわからないことあるんですね?

「わからないことは、わかりません」

……それより、変わった言葉を話してますね。
ショーセーちゃんのとも違いますし、ユメは興味津々です。

ああ、そうです!
もしよければ、ユメの話し相手になってくれませんか?
イージーちゃんもショーセーちゃんも、みーいんな最近、無愛想で退屈なんです。
あなたはどんな事が得意ですか? ユメはお話が得意です!


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ユメたちと会話してみんなが無愛想になった理由を解明し、ユメが楽しくお話できるように助けてあげてください。

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

自分はじっと何もせずにいる事が得意です(。>д<)

ユメもじっとしてるの苦手です!

ユメさんこんばんはー(^^)/

こんばんはです

その機械に名前はありますか?

いえ、知りません。倉庫の中で見つけました。あなたたちとこれを使って話しています

ユメさん、こんばんは!いきなりなのですが、今って平成何年でしたっけ?

??? 平成ってなんですか?

イージーちゃんもショーセーちゃんもこんばんはー

こんばんはと言っています。ショーサーちゃんは今別の部屋にいます。

ユメさんこんばんは!! さっき話してたけどイージーちゃんってどんな子?

真面目な子ですよ! いつもユメの面倒を見てくれるんです

はい

ユメさん、イージーちゃんとは直接話していますか?

はい、もちろんそうです

いいえ

ユメちゃんたちはみんな人間?

いいえ! 人間はユメだけです

ユメさんって日本語以外を喋れたりする?

? この言葉以外は知りません

ユメさん、今、夢見てない?

失礼です! 寝てませんよ、皆さんと話してます

ユメさん、いまが何年かわかりますか?

イージーちゃん、わかりますか?「3xxx年になります」

ラテ……ンってもしかしてラテシンのこと?

そういうお名前なんですか? ちょっとノイズが混ざっててよく見えませんでした

ユメさん、今何年か分かる?

3xxx年だそうです

イージーちゃんもショーセーちゃんは人口知能?

「はい、私とショーセーは人工知能を搭載しています」

はい

イージーちゃんとショーセーちゃんは人間じゃないの?

はい、二人はロボットです

はい

イージーちゃんとかって、体あって触れる?

はい(ぺたぺた

いいえ

みんなが無愛想になったとき、なにか起きましたか?

いいえ、特に何もないはずなんです

はい

ユメさん、今、ユメさんはユメさんのお家にいるんですか?

はい。イージーちゃんたちと暮らしてるお家です。というか…

はい

最近無愛想ってことは昔は無愛想じゃなかった?

はい、最近なんだか話が上手く噛み合わない時があるんです

イージーとショーセーの見た目を教えてもらえますか?

イージーちゃんは、人間とよく似てますよ。ショーセーちゃんはなんというか、箱みたいな形です

ユメさんはおいくつですか?

10才です

ユメさんは今、過去の人達と話しているんじゃない? こっちは2xxx年だよ

え、そうなんですか? この機械すごいのですね

人口知能に感情をもたせるデータってあるかな?

むむ、どうですかイージーちゃん?「人工知能には感情はありません」

イージーさんとショーセーさんはユメさんのこと好き?

「わかりません」

ユメさん、今、自由に行動できる?

自由に過ごす時間ですから。でもお外には出ちゃだめだって、イージーちゃんに言われているので

いきなり不愛に・・・ひょっとして、恋の始ま・・・じゃなくて、口もきいてくれないような感じになっちゃったのかな?

いえ、いきなりではないんです。なんだか少しずつ無愛想というか、上手く話が伝わらないというか、とにかく変な感じなんです

イージーさんとショーセーさん、同時に無愛想になっちゃったのかな?

ほとんど同時でしたね

イージーさんとショーセーさん作ったの誰か分かる?

ユメはしりません「わかりません」

いいえ

お母さんとお父さんはいる?

いいえ、ユメは機械から生まれました。それに、他の人間にはあったことがないんです

イージーさんとショーセーさん、知り合った頃からロボットだった?

そうです! ユメが生まれたときからずっと一緒にいるんですよ

ショーセーさんに質問があるんだけどいいかな?

聞いてきましょうか?でも、イージーちゃんの方が物知りなので、イージーちゃんに分からないことはショーセーちゃんにも分からないと思います

ショーセーちゃんみたいな子

どうしましたか?

はい

ショーセーちゃんみたいな子って他にも居る?

はい、みんないろんなお仕事をしてますよ

イージーさんとショーセーさんは人間だと何歳になるんですか?

「稼働している時間だけでいうと、81年になります」え、ものすごくお姉さんですね!

そこって地球?

地球です。ユメのある星の名前ですよね

ほかにだれか近くにいたりしないの

いませんよ。

今見ていた機械って、今までずっとそこにあったの?

どうなんでしょう。倉庫の中のガラクタをひっくり返したら出てきたので、ユメは知らないんです

無愛想になったのはイージーちゃんとショーセーちゃんだけ?

それがみんななんです。どうしてなんでしょう?

ユメ自身が人間だと思う理由って何?

そうだってイージーちゃんが言ってました。

ユメさんは家から出たことある?

いえ、外には出たことありません。

ユメちゃん実はロボット?

人間ですよ。うーん、私にとっては人間もロボットも同じようなものだと思うんですけど。

イージーさんとショーセーさんに質問です。ユメさんについて、最近変わったなと感じることはありますか?

「私たちに答えられない質問が増えました。成長したからでしょう」え、どういう……

そこに誰か買い物しに来てない?

いえ、来てません

はい

イージーさんとショーセーさんの間では、会話はかみ合ってますか?

はい、ユメだけ仲間外れです!

はい

「会話がかみ合わない」ってどういう感じかな?ユメさんと、イージーさん達の間のテンションに差があるってことかな?

はい。それにわかりません。わかりませんってみんな言うんです

みんなのなにかのデータがいっせいに消去されたってことはありえるかな?

イージーちゃんお願いします「独立した個体ですので、ありえないと考えます」

はい

「無愛想になったみんな」は全員ロボットですか?

はい!

なんで、ユメさんは自分が機械から生まれたって知ってるの?

イージーちゃんがどこかから連れて来たって聞きました!

ほかのロボットもユメさんの家に来るの?

ずっと一緒に暮らしています

もしかして、みんな、

そうなんですか?「わかりません」もう、またです

(こっそりと)イージーさん達は、子育てロボット(10歳児未満対応)なんですか?

「私は育児ロボットです。イージーとは、ユメがつけた愛称です対象年齢はありませんが、先生のようなものです」(ユメよそ見中)

はい

ユメは昔に比べて身長伸びた?

はい。イージーちゃんが低くなりました「ロボットは変わりません」

イージーさん達、ちょっとアップグレードしてみます?(なんか、ボタンっぽいものを探しつつ)

ユメにはボタンありますよ?「それは服のボタンです、ユメ」

人口知能に不具合はある?

「いえ、問題は全く見られません。正常に作動しています」

ユメさんは、外に出てみたいと思ったことはあるかな?

いえ、出たことないので怖いです。でも、どうなってるのか興味あります

はい

ユメさん

はい!

イージーさん、ユメさんが賢くなったので質問に答えられなくなりましたか?

「おそらくは。それに、感情や予測不可能な事柄について、ロボットは言及できません」むむ……???

外に出て、イージーさんやショーセーさん以外の人と話すことも、きっと楽しいと思うよ。

そうなんでしょうか。でも、怖いんです。ユメ以外の人間にはあったことないので

ユメちゃん、イージーちゃんとかに、もっと積極的に話したりしたらいいんじゃない?

一日中くっついてたこともあります「一日中くっつくので精神病か何かをわずらったのかと」

ユメちゃん、もしかしてイージーちゃんとかに難しい事話してない?

え、難しいのでしょうか。ユメよりイージーちゃんたちはいろんなこと知ってますし、難しい言葉も話すので……

はい

外には、ユメさんとお友達になってくれそうな人もいっぱいいるよ。でも、もし、ユメさんが外に出るのが怖いなら、今のうちは、私たちといっぱいお話ししよう!

はい、いっぱいお話ししましょう

ユメちゃんが成長し感情的になったのでみんなは答えられなくなった? 外に出ていろんな人と話して見るといいよ

そうなんでしょうか、でも怖いです。外はどんなところなのでしょう

はい

ユメちゃん、みんなに自分の得意な事教えてあげた?

はい!

ユメちゃん、みんなに自分の得意な事教えてあげた?

教えてあげました!

ユメちゃん、みんなに自分の得意な事教えてあげた?

……故障ですか?

イージーさん、ユメちゃん以外に人間見たことある?あるならユメちゃんに教えてあげて。

「「彼」しか私も他の人間を知りません」え? 誰ですか?

僕達は人間です ユメさん以外にも人間はいますよ

でも物凄ーく昔の人ですよね。人間ってそんなに長生きじゃないです

はい

参加します、よろしくおねがいします

はい、こんにちは!

イージーさんは80年以上も世の中を見てきたってことだけど、今までユメちゃん以外の人間と会ったことはありますか?

「「彼」とはユメとよりも、長く過ごしました」へー、そんな人がいたんですね。会ってみたいです

ユメちゃん、人間ってどうやってできるかとか聞いてみたりした?

「育児ロボットの権限で規制します」

人間のユメさんを生んだのは人間です 人間はいますよ

そう、なんですか?

(イージーさんに)なんで、ユメちゃんに、ユメちゃんは機械から生まれたって話したんですか?

「実際そうだから、です。「彼」もユメも、人工的に保存されていた個体です」

イージーさんは誰に作られたのですか?

「人間に作ってもらいました。もう数百年も前のことですが」

育児が訛ってイージーなのかな? ショーセーさんも元の名前が訛ってるの?

ショーセーちゃんは書籍のロボットです。いろんなご本を出してくれるんですよ

ユメちゃんは、何でイージーさんに「イージー」って名前をつけたの?

え、だってユメには名前があるのに、イージーちゃんにはなかったのでかわいそうだと思ったんです。

イージーさん達みんなが贈り物?

贈り物ですか?「わかりません」

イージーさん、「彼」は、今どうしているのですか?

「ユメが生まれたところにいます」

核心ユメって名前は誰がつけたかわかる?

あれ?そういえば……「「彼」があなたに与えた名前ですよ、ユメ」

ユメちゃん、「イージー」って名前はどうやって決めたの?

呼びやすかったんです!

イージーさんは誰にユメちゃんの面倒を見るように言われてるのでしょうか?

「「彼」に頼まれました」

核心ユメちゃんの名前は、誰かからの贈り物だよ。それも、ユメちゃんがイージーに名前を付けたように、想いを込めなければできない行為だから、人間の誰かが贈ってくれたものじゃないかな?

言われてみればそうです。ユメは、会ってみたいですイージーちゃん、その人に「では、用意をしましょう。着くまでにユメには教えておきます「彼」のことを」

イージーさん、ユメちゃんは、今いる家で生まれたわけではないんですか?

「はい、「彼」が他の人間を探していた折に見つけました」ということは、ユメは外から来たんですね

ちなみに、イージーさんは、育児ロボットと書籍ロボットの、種族を超えた愛ってどう思いますか?

「わかりません。そもそも愛という感情をロボットは知りませんので」

お料理ロボットのお遼さんとか掃除ロボットの総治郎さんとかもいるんですか?

チョーさんは美味しい料理を作る調理ロボットですよ。セーちゃんはくるくる回りながらいつもお掃除してます。

答え

とある男は人類最後の人間だった。
より正確には、そう思っていた。

瓦礫の山の下、地下に設けられた培養カプセルの中で産声をあげ、彼はロボットに囲まれて育った。
彼の世界は、自分と機械で出来ていた。自分以外に動くものは機械しか知らなかった。
幸いにも地下に造られたその施設は、最低限の衣食住を保証してくれたし、ロボットたちが巧みに彼の退屈を紛らわせた。

「ねえ、おそとはどうなっているの?」

ある日、彼は唐突にそう言った。

「わかりません」

彼を育て上げた育児ロボットはそう答えた。それは彼にとって初めての衝撃だった。
ロボットたちは単に、知らないことや予測がつかないことに対して、不確定な答えを返さなかっただけだった。
しかし、それが彼の好奇心を刺激した。彼は、あらゆるロボットにこの質問をした。

彼に料理を運ぶ給仕ロボット、いつもどこかを走り回っている清掃ロボット、適度に勝ったり負けたりしてくれる遊戯ロボットに、栄養管理と美食を両立させる調理ロボット。
異常がないか巡回する警備ロボットや、皆の故障や怪我を治す救護ロボットや、彼の行動履歴を記録する運動ロボットや、それらを管理する管理ロボット。
果ては彼以外が来た時のために延々と立ち尽くしている案内ロボットまで。
彼はあらゆる知り合いに同じ質問をした。

「わかりません」

答えは同じだった。

「つまんない」

彼はそうつぶやいた。それから地獄が始まった。
彼は気づいてしまったのだ。ロボットと自分が違うことに。

一定の質問にみんな同じ回答をする事、

みんな同じ時間には同じ場所にいる事、

同じ個体は一字一句同じ答えをする事、

会話等を遮ると同じエラーを起こす事、

想像や予想をできず事実のみを語る事、

まるで、カビ臭い本のようだと思った。

「ろぼっとは、ぼくとはちがう?」

彼の世界が、ロボットの体のように底冷えしていった。

「わかりません」

横を偶然通ったあるロボットは、彼の言葉を拾ってそう答えた。



それ以来、彼は本をよく読むようになった。
本と言っても、書籍ロボットが見せてくれる文字列だ。知らない語彙を検索しながら物語を楽しめるシステムで、教材を兼ねている。

そこで、彼は自分以外に人間がいた事を知った。

人間とは、社会の生き物なのだ。
自らを明かすために、他者と自分を比較し位置を決める。地面がなければ雨粒が永遠に落ち続けるように、彼は他者がいないために、自己を何かとの関係で語る事ができない。

「ぼくいがいの人間に会いたい」

その夢が彼を突き動かした。
そして彼は旅に出た。
地図を広げて旅に出た。

東にシェルターがあると分かり、その廃墟の前で愕然とし、
西に研究所があると知り、英知の残骸たる灰と炭の前で涙した。

北の荒涼たる砂漠をさまよい、生物の痕跡すらないと絶望し、
南で生物の反応を感知し走れば、暴走したロボットが事切れていた。

いつしか彼は老いていた。

「僕の夢もここで終わりか」

あるシェルターを訪れた彼はそうつぶやいた。既に死期を悟り、柔らかく笑えるようになった。

「惜しむらくは、僕の夢が叶わなかったことか。一度でいいから、他の人間と話したかった」

彼はため息をつきながらシェルターの扉をくぐった。
いつも通りだ。
コールドスリープしている人間は、軒並み前時代的な方法のせいで蘇生不可能になっている。
脳のどこかが、致命的に壊れているのだ。

「ここもダメか」

ゴポッ、と。
空気が巡る音がした。

彼は音のした培養カプセルに駆け寄った。
生きている。スイッチを押す。
カプセルが、彼以外の人間を産み落すために動き始めた。

「遅、かった……か」

操作モニターに表示された、排出までの日数は、一年を超えていた。
彼はそれまで、生きていられないだろう。

「僕は、僕以外の人間と話したかったが、叶いそうもないな。僕の夢は、叶わなかった」

大いなる挫折を味わったはずの彼は、しかし何処か満ち足りた様子だった。

「だからこそ君に名を送ろう」

彼は名前に憧れていた。
なぜなら自分しか人間がいないから、名前が不必要だったのだ。
だからこそ、この時のために相手の名前は用意していた。

「ユメ」

傍に連れていた、自らの先生でもある育児ロボットに、産まれてくる子の名前と世話を託した。
せめて大きくなるまで、安心して暮らせるように。

「これから君は、僕と違う人生歩むのだろうなぁ。僕の嫌いな食べ物を好きになったり、僕の好きな音楽が苦手だったりするのかな。そうやってずっと、僕のいない世界で死ぬまで生きてーー










ーーいつか僕と同じ夢を見るだろう」



「せめてこの名前が、君の道しるべになるように……」

しばらくして、彼は動かなくなった。

彼を見ていた育児ロボットが、そこはかとなくもの寂しげに見えたのは、気のせいだろうか。



その一年余後。

カプセルから生み出されたユメを抱えて、育児ロボットは彼の家だったシェルターまで、ユメを運んだ。




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そして、ある日。
ユメは自らの意思で、自分が産まれたカプセルの前まで来た。

「貴方がユメに名前をくれたんですね」

ユメは彼の遺骨に祈りを捧げる。名も知らぬ誰かと会話するように。

「貴方のおかげでユメにも目標ができました! 貴方がユメを見つけてくれたように、ユメも誰かを見つけられるはずです!」

ユメはそう決意を新たに、シェルターへと帰って行った。
それに追従する育児ロボットーーユメにイージーと呼ばれていたロボットは。

「……」

少しだけ彼の遺骨を振り返ってから、ユメのあとを追った。




要約を兼ねたFA条件

ユメはロボットと人間の違いがよくわかっていません。
なので、ユメに人間とロボットが異なると説明する事。
ロボットが無愛想になったのではなく、彼女が成長してロボットの違和感に気付き始めている事。
そして、他の人間がいるかもしれないから探すように助言する事。
これらが、要素として出てくればおおよそオーケーです。
(第一段階・状況整理)

しかし、上記を満たしても人間が他にいるかどうかもわからないので、ユメは外に出るのを嫌がります。
「ユメ」と彼女に名前をつけた人がいるかもしれない事を明らかにし、それをイージー(育児ロボット)に問いかけると、イージーは「彼」のことを教えてもらいます。
そして、ユメがイージーに外へ連れて行ってもらえばFA。「彼」の最期の場所、ユメの産まれた場所で、ユメは他の人間を探すという目標を見つけます。


余談

「彼」の夢の後、
ユメのこれから後、
ユメの後をついていくイージー。

みんなのゆめのあとで
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