とある知人Aの謎 ~コーヒータイムブレイカー~
とある町、アルカーノ。
魔法も時代も世界も全ての可能性を内包する館があるこの町は、今日、にわかに浮足立っていた。
「今日は祭りでもあるのか?」
とあるカフェでコーヒーをすすりつつ、外を行きかう人を見回しながらライナーが問う。
石畳広がるこの町に、屋台や祭囃子なんてものはなかったが、それでもどこかいつもとは違う。
「6周年でございますからね、当然でしょう」
「6周年……ってうわ、いつのまに!?幽霊かよ!」
向かいでジャイアントサンデーを頬張っていた人物は適当に相槌をうつ。
それにふうん、と頷きそうになったライナーは飛び上がった。全身黒づくめの服を着た人影があったからである。
いつの間に座り込んでいたのか。いつのまに注文していたのか。まったく気が付けなかった。ちなみに自分の伝票に確りと商品名が記載されているのにも気が付いていなかった。
「失礼な。人間ですよ……今回は」
「今回は!?」
驚くライナーに、その人物はムッとした調子で答える。メガネの奥の目が心なしかにらんでる気がする。最後の発言が気になるが、相手ははサンデーにかかりっきりでまともに聞いてくれそうもない。
「ところで、あんたは?」
「ああ、そういえば紹介が遅れましてにございます。私は蒼井、といいます。黒づくめなのに蒼なんつって……。シンディさんとはここで待ち合わせしておりまして」
「あいつの知り合いなのか?」
「はい。私もラテシンを目指したものの一人にございます故、」
そこまで言って蒼井はコーヒーで口の中のアイスクリームを流し込み、何やら思いついた顔をした。
「そうです。シンディさんを待つ間に、一つ問題を出しましょう」
問題と聞いて身構えるライナーに、蒼井は薄く笑いつつこう告げた。
「これは昔、シンディさんとともに遭遇した、共通の友人……Aとでもしておきましょうか。Aに関する謎なのですが。」
『若くして田舎でひっそりと一人で暮らしている大金持ちのAがいた。
そのAが30になるということで、大規模な誕生会を大々的に開く事になった。友人として先にその家に手伝えることはないかと挨拶に向かった蒼井とシンディ。
そこで彼が死んでいるのを発見した。どう考えても自殺の状態であり、捜査は早々に決着を迎えた。
「でも、誕生日に自殺なんてするかな……。それに、死んだはずの時に歩いているのを見かけたって人もいるし」 とシンディは疑った。
だが、すべてがわかった後、「Aは、自殺だったんだ」と結論付けたのもシンディだった。
どういうことか?』
「つまり、自殺を疑ったはずのシンディが結局自殺という結論を出したのはなぜか解けばいいんだな?」
「まあ、そういうことでございますね」
―――――――――――――
※亀夫君みたいな受け答えをすることもありますが、ウミガメ形式です。
※YES/NOでこたえられる質問でお願いいたします。
※設定おかりしました。
過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。
Aは誕生会を開いてほしくなかった?
NO
Aに兄弟はいますか?
…YES
歩いていたのは確かにAでしたか?
YES
A、蒼井さん、シンディ以外にも重要な登場人物はいますか?
…YES!
死んだのはAだけですか?
YES
Aは自殺しましたか?
YESNO(ミスリ注意)
Aは自殺しましたか?
NO
Aが歩いているのを見られたのは自宅ですか?
YES
シンディはAが自殺した証拠を発見しましたか?
NO
双子が関係しますか?
YES
その重要な登場人物が自殺のきっかけを作った?
YES……でいいとおもいます
Aの財産を狙っている人がいましたか?
YESですが… 財産自体は遺書により、すべて慈善団体に寄付されたようです
Aが自殺したと結論づけることによって、シンディは何か利益を得ますか?
NO シンディと蒼井はあまり関係ありません
重要な登場人物は誕生会に招かれていた?
おそらくYES
重要人物は双子の兄弟ですか?
YES! 双子の弟です
田舎で一人暮らしする理由は重要?
YESNO 理由はあまり重要ではありませんが、街中でど派手に暮らしていては、今回の状況にはなってなかったかもしれません(ミスリ注意?)
死んだはずの時に歩いているのを見かけられたのはA本人ですか?
YES あまり重要ではありません
Aは自分で自殺するつもりがありましたか?
YESNO(ミスリ注意!)
Aが自殺したことにより弟は得しましたか?
NO
Aが自殺したのは、何か嫌なことがあったからですか?
NO
Bは犯罪者ですか?
NO
Aと弟の仲は良かったですか?
NO ずっと前に縁が切られていました
Aは弟に罪を着せようとしましたか?
NO
死んだのは本当にAですか?
NO!
Aが自殺して、弟は悲しみましたか?
NO
24 弟ですか?
YES!
Aは自分の身代わりとして弟を殺しましたか?
YES! まとめられますか?
シンディは結論以外の部分で何か間違えていますか?
NO
弟が死ぬのはAの誕生日でなくてはなりませんか?
NO 別にほかの日でも成り立ったでしょう
22より 縁を切られた原因は重要ですか?
NO 今回の問題では重要ではありません
核心Aと思われて死んでいたのは弟だが世間的に死んだのはAということで Ag
YES!
本当は弟がAで、兄が弟を殺してAになり替わろうとしていますか?
NO こんがらがってきますね…(低スペック脳)
弟を疎ましく思っていたAは彼を殺害。自らは弟になりすまし、世間的にAが自殺したように偽装した。ということですか?
前半はNO 後半はYESです
Aは死にましたか?
YES Aという人間は書類上死んでおります
Aは自分に捜査の手が届かないようにするため弟になりすましましたか?
NO
Aは弟にあこがれてましたか?
YES…かな うらやましかったのです
女性関係ですか?
NO
自分は金はあるけど一人ぼっち 弟は自由で人に好かれてたそれが羨ましくて弟になりたかったですか?
惜しいです!
答え
1.死んでいたのはAではなく、双子の兄弟。
2.AがBを殺した。
3.AはBへと入れ替わった。
4.死んだことになっているのはAであるため、AがAの死体をつくりあげたことになる。よってシンディは自殺みたいなものだと判断した。
「死んでいたのは友人の双子の兄弟だった。しかし、明らかに状況は自殺。顔も同じ、服も入れ替わっていた。それ以上の調査も行われず、そのまま処理された……。
AはBを殺して入れ替わった。しかし、名義上はAが死んだことになる。つまり、Aが、Aの死体を作り上げた。だからシンディは自殺と言ったんだな?」
――――――
ライナーがぽつりとつぶやいた真実に、蒼井は満足げに頷いた。
「ええ、その通りでございます。……まあ、これは別に本筋には関係ないのでございますが、Aは両手に火傷を負っておりました。そのためほぼ常に手袋をしていたため、特に判別しづらかったのでしょうね……」
「でもどうして成り代わりたいなんて思ったんだ?BがAを殺して成り代わろうとするならまだわかる。けど、逆なんだろう?金とか、名誉とかあっただろうに、それを捨ててまでわざわざ……」
「それは、Aの事を掘り下げる必要がございます」
疑問の声を蒼井は制した。
それから蒼井はぽつりぽつりと話し始める。
今より昔の話。AとBは双子としてこの世に生を受けた。まるで鏡写しかクローンのように似通った容姿だったという。
しかし、性格は反対。弟は要領が良い人間であったが、Aは至って普通。頭の出来も、足の速さも、そういうものはすべて弟がかっさらっていった。Aも決して悪くはなかったのだが、双子という以上比べられるのはしょうがない話であった。
弟は――弟は――弟は――どうして数分の差でここまで――。
だんだん親も弟にしか興味がなくなっていく。存在を無視され続けたAは中学と同時に家を出た。
バイトをし、自力で勉学に励み、努力したAは大器晩成型とでもいうべきか。徐々に持っていた才能を発揮し始めた。そして若くして金持ちになったのだった。
けれど、周りに信頼できるものはいなかった。家族すら味方でなかったのだ。誰が他人を信頼できよう。若い才能を妬む輩も多く、Aが田舎でひっそりとくらしていたのはそれが原因だった。
むしろ敵は増えていくばかり。孤独感は増すばかり。
『弟は……あのままでいくと、きっと両親に甘やかされて育ってるんだろうなあ。いいなあ』
羨ましかったのだ。不出来だからと親に見捨てられ、成長すれば今度はまた別種の孤独。
少し調べてみると行動はすぐにわかった。普通の学校を出て、少し良い大学を出て、少し良い会社に入って――しかし退社している。それから今までずっとフリーター暮らし。
『私なんかより、自由だ……』
昔は認められようと頑張って、今も若いというだけで恨まれることのないように頑張って。ずっと頑張ったのに彼は――。
それに、不出来だとAは見捨てられたのに、なぜこんなBがそこで家族とともにいられるのか……。
Aはその居場所が羨ましいと思った。
そう思ったらいてもたってもいられなくなって、一つ、計画を立ててしまった。
直接急に連絡をとれば疑われるだろう。だから、大々的にパーティの宣伝をした。きっと気が付くだろう。
思惑通り彼らは気が付いた。
来たのは、弟だけだった。
なんでも父が他界して、母親が病気で、金に苦労している――と言った内容の事をBは話した。
でもAはそれが嘘だということを知っていた。それでもだまされたふりをして、弟を招き入れた。
もし、全員で素直に祝ってくれるのなら、家族の縁を戻してもいいかな、なんてAは考えていた。
なのに……彼は嘘をついた。それに、Aは独り言を聞いてしまった。
『全くあの出来損ないがこんなんになってるとは――あのクソババア、自分たちは恨まれてるかもしんないなんて怖気づきやがって……あーあ、俺もAになってみてーよ』
「そこからはきっとライナーさんも想像される通りだろうでございますが」
Aはパーティで紹介するとでも偽ってBをAの礼服に着替えさせた。なにせ双子だ。誕生日も同じなら、一緒に祝っても問題ないだろうと言いくるめたのだ。
そして殺す。あとはBの服をきてこっそり出ていくだけで成立する。
『ハッピーバスデー、《俺》。《私》になりたかったのだろう。なら、そうしてやるよ』
死んだ後に見かけられたのも当然の話だった。
「でも、それってバレないか?」
「どう考えても自殺というのは大きいですね。それから遺産で得をする人間もいなかった。まあ……、Bが死んだ、だけであればバレたかもしれません。Bが大金持ちのAに成り代わった、と考える人間もいたでしょう」
けれど、そうじゃなかった。蒼井はコーヒーをすすって、淡々と言葉をつづけた。
「大金持ちがわざわざそれらを捨てて一般の人物に成り代わろうとしたなどと……誰が考えるというのです?」
あなたも先ほどそういったではありませんか。蒼井にいわれてライナーはぐっと言葉につまった。
「それにしても、友人とはいえ他人のことに詳しいな」
「なァに。今回の顛末が全て書かれた手帳が郵送されてきただけにございますよ。だから『すべてがわかった後』なのでございます」
いつの間にか手に握られていた赤茶色の手帳をひらひらと揺らめかせて見せる。
「それにその後、本人に偶然出会いまして確認もとりましたし」
「会ったのか!?」
「ええ。シンディさんの推論をAに聞かせて答え合わせをいたしました」
頷く蒼井に、ライナーは「どんな様子だったんだ」と勢い込むように聞いた。
その言葉にどうでしたかねえ、と嘯いて目を閉じる。
瞼の裏に浮かぶのはあの日の情景だ。
Aの両親の葬列に行き会ったのは、本当に偶然だった。そこで、Bを見た。
そこで、今までのことを話し、そして、シンディの推論をも伝えた。
全てを話終わって、確認するように紡いだ言葉。
「あなたは……いえ、Aは……本当に……自殺だったんですね」
それを聞いたかの友人は莞爾と笑っていたのだった。
―――――――
「お待たせ!……あ、ライナーくんも一緒だったのかい?」
「あら、遅かったですね。少しばかり相席させていただきまして」
「ちょっと新しい人を案内していたんだよ……二人で何の話をしていたのかな」
「少し懐かしい謎を(カクカクシカジカ」
「……ああ、あれかぁ。……そういや、そもそもAに大々的なパーティをするように助言したのは、蒼井さんじゃなかったかな?パーティの人員探しも手伝っていたみたいだし」
「おや、そうでしたかねえ……」
「それから凶器の入手ルートについて詳細に知ってたし……Bの母親を足止めしていたのも……」
「はてさて、なんのことかわかりませんねぇ」
「……大丈夫なのか、この人」
この物語は完全なるフィクションです
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