ウミガメのスープ

【最後の一文企画】「やっと静かになる」

作者: ツォン


とつ、上がって思い出す。
僕が幸せだった日を。
鮮やかな音に囲まれて、楽しかった。

ふたつ、みっつ上がりながら思い出す。
僕が不幸になった日を。
鮮やかな音に包まれて、耳を塞いだ。

またふたつみっつ上がって思い出す。
幸せを取り戻そうとしたことを。
それでも鮮やかな音は消えなかった。

またひとつ、上がったところで、鮮やかな音に混じって問いかけが聞こえた。

さいごにひとつ上がって言った。

「やっと静かになる」

一体どういうことだろう?

*この問題は最後の一文企画「解説の最後の一文でゾクッとさせる問題」「その最後の一文がタイトルになる問題」と言うテーマのもと作りました。

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

死刑台への十三階段を登りながら過去を思い返していますか?

イエス!やっと静かになるを突き詰めてください。

語り手は、これから自殺するために、階段を一段ずつ登っていますか?

惜しい、1参照です。

これから僕は死にますか?

イエス!

僕には幻聴の症状がありますか?

イエス!

「鮮やかな音」は人の声ですか?

ノーです。

1より。死ぬことによって語り手の呼吸音や鼓動音がなくなるので、静かになりますか?

惜しい!

共感覚は重要ですか?

ノーです

核心1 4 死ぬことによって幻聴も無くなるので、「静かになる」ですか?

そんな感じです。

殺した人の声聞こえますです?

ノーですが…

核心今まで、幻聴と楽しく共存したり、幻聴に苦しめられたしてきたが、死ねば、もう幻聴が消えると思って「やっと静かになる」と言いましたか?

そんな感じです。

問いかけは、処刑人が語り手に対して発したのですか?

イエス!

答え

上がったのは階段。
その数は13段だ。

音楽が大好きだった彼を悲劇が襲う。

事故で鼓膜が破け、耳鳴りが消えなくなったのだ。

それはそれは甲高い、頭が割れんばかりの耳鳴り。

そこに飛び交う音や会話が、さらに彼を苦しめる。

「音が消えない。消さなきゃ。」

彼は、家族を消した。

愛していた妻を、娘を、親を。

殺して一人きりになった。

そして今、13段の階段、死刑台への階段をゆっくり登りながら、半生を思い返す。

未だに終わらない耳鳴りに混じって声が聞こえた。

「何か言い残すことはないか?」

彼は言った。

「やっと静かになる」
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