ウミガメのスープ

谷に暮らすということは

作者: 妙伎

男は、自分の愛娘を殺した犯人を捕らえると、館へと連れ帰った。
そして犯人に食物や衣類を与え、書物や絵画を買い与えた。
時には楽隊や劇団、詩人を呼び、音楽や芝居を犯人と共に楽しんだ。
しかしそれから一年後、この話を聞いた人々は、男の執念に震え上がった。

何があったのだろう?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

いいえ

1年後犯人は生きてますか?

No、一年後には死にます。

はい

男は悪意を持って犯人に施しを与えていますか?

Yesでいいでしょう。

犯人はこどもですか

鋭い!Yes、まだ幼さのある少年でした。

いいえ

犯人に首輪を付け駄犬として扱いますか?

No、ペットにはしません。

「殺した」というのは、社会的にとかの比喩表現ですか?

問題文の「殺した」であればNo。生物学的な死です。

自分になつかせて殺しますか?

YesNo?懐かせる意図はありませんでしたが、結果的に懐いたと思われます。

いいえ

少年を自分のこどものように育て親子の絆が出来上がったとこですべてを明かし、大きな精神ダメージを与えて殺しますか?

No、自分の子供のように扱ったわけではありません。

犯人が自分の犯した罪を理解してなかったので、理解できるだけの教育をしようと考えましたか?

YesNo?犯人は自分が「殺人を犯した」ことは理解していました。

いいえ

愛娘の代わりにしましたか?

No、男にとって娘の代わりなどあり得ませんでした。

はい

1より、犯人は殺されますか?

Yes、処刑されました。

いいえ

男は犯人を突き出したあと、凶悪犯が触れていたものとして書物や絵画、楽団や劇団、詩人を社会的に貶めようとしていますか?

No、むしろ男はそれらを丁重に扱いました。

いいえ

犯人は、娘を殺した事を法律で罰せられましたか?

No、実は法律よりも…。

はい

5より、では、1の答えの「死にます」は生物学的な死ですか?

Yes、犯人は処刑されました。

核心幸せを感じたことのない犯人に幸せを感じさせて生への執着を強めてから殺す事で、すぐ殺す以上の苦痛を犯人に与えようとしていますか?

ほとんどスナイプ!犯人は「幸せ」を感じなかったわけではありません。

核心男は、犯人に愛娘が得たのと同等の、「恵まれた境遇」を与え、その後突然殺害することにより、愛娘が感じたと思われる無念さを犯人に与えましたか?

後半Yes、「同等」ではありませんでした。なぜなら…。

はい

男は捕えた少年が犯人であることを認識していますか?

Yesでいいでしょう、捕らえてすぐに認識しました。

いいえ

舞台は現代日本で成立しますか?

No、中世っぽいどこかの世界での出来事とお考えください。

いいえ

少年は、いじめで男の娘を自殺に追い込みましたか?

No、娘は間違いなく少年の手に掛かりました。

少年は、いじめで男の娘を自殺に追い込みましたか?

お気になさらず♪

はい

15

Yes、少年は光のささない地下牢にいました。

いいえ

感情を感じた事のない犯人の感受性を豊かにしてから処刑しないと、犯人に苦痛を与えられないと思って、犯人に芸術を楽しむ機会を与えましたか?

Noで。犯人には感情がないわけでもありませんでした。

いいえ

男は娘以上に犯人の少年に愛情を以て接しましたか?

No、男が少年に愛情を向けたことはありません。

はい

男は娘を愛していましたか?

Yes、これ以上はないほど愛していました。

いいえ

「一年」という期間は重要ですか?

Noでいいでしょう。男の計画が完了するまでに一年が掛かった、と言う感じです。

はい

14から。男は犯人に生への執着をさせることが目的の行動ですか?

Yes、目的はそれでした。

いいえ

男は、犯人を別の人物に殺させ、その別の人物を捕らえて犯人と同じように1年間丁重に扱い、また誰かに殺させるということを繰り返していますか?

No、男は犯人の少年だけを処刑しました。

はい

登場人物は全員人間ですか?

Yes、人間です。

16

男は、犯人が「自分は赦された」と勘違いするのを待って、それから処刑に追い込みましたか?

ある意味Yes。少年は「赦された」と思ったことでしょう。

はい

犯人は故意に娘を殺したのですか?

Yes、故意でしたし、殺意もありました。

いいえ

20 犯人は目が見えませんでしたか?

No、五体満足です。

いいえ

娘の殺害された方法は重要ですか?

Noで。一応刺殺ですが。

いいえ

男は犯人の身体的変化を待っていましたか?

No、身体的変化ではなく…!

はい

核心犯人の生への執着を強めてから殺す事で、普通に処刑されるよりも苦痛を感じさせたいと男は思いましたか?

Yes、もうほとんど正解なのです…!

はい

物を与えるのは最初から行いましたか?

Yes、最初から与えました。

いいえ

33より、自分が娘を殺したという記憶を取り戻すのを待っていましたか?

No、殺したことは理解しています。

いいえ

犯人は自殺願望者ですか?

Noで。自殺は考えていませんでした。

男は、犯人の信頼を得てから殺し、裏切られるという精神的苦痛を犯人に与えたかったのですか?

これはNoで。結果的に信頼されましたが。

いいえ

彼らのいる場所は重要ですか?

Noで。男の住む屋敷での出来事です。

犯人に夢や目標を抱かせてから殺す事で、そのまま殺す以上の絶望を味わせたかったのですか?

これもYesで。

はい

犯人に人生の楽しさを味わせてから殺すことで苦しみを強くしようとしましたか?

Yesです。

いいえ

男と、殺された娘、犯人、処刑した人意外に重要なキャラはいますか?

Noでいいでしょう。

いいえ

ヒントより、恋ですか?

No、結果的に恋を知ったかもしれませんが。

いいえ

少年に恋をさせて生への執着を持たせて、処刑の苦痛を強めようとしましたか?

No、恋ではないのです。

命乞いさせましたか

結果的にYesですが、男の目的はそれではありませんでした。

はい

命乞いさせましたか?

Yesで。お気になさらず♪

はい

少年に両親はいますか?

Yes、しかし関係ありません。

はい

少年が娘を殺した理由は重要ですか?

Yes。実はこれが、少年が「生に執着しない」理由と同じです。

はい

少年は生きることの楽しさを知らなかったのですか?

Yesでいいでしょう。少年にとっての人生は「あること」のためにありました。

少年に前科はありますか?

実はYes。ですがこの問題の上では関係ありません。

いいえ

貧乏でただ生きているだけだった少年に贅沢をさせて生への執着を強めて、処刑の際に苦痛を与えますか?

Noで。結果的にはその通りですが、少年は自分が貧しいと自覚していませんでした。

いいえ

少年は、男の愛娘を殺して食べましたか?

No、カニバりません。

弱肉強食は重要ですか?

これもNoです。

いいえ

少年は死というものがよくわかなかったが、男は少年に死への恐怖を植え付けてから処刑するという復讐をしましたか?

NoYes。死は理解していましたが、その意味するところは違ったかも…?

いいえ

贅沢をする人間を恨んでいた少年は、罰する為に人を殺していた。そして、娘を殺した理由も贅沢をしていたから。そこで、男は少年に贅沢をさせ、その後殺した?

No、そもそも少年には「贅沢」の概念がありません。

いいえ

男は、悪い事をした者が行く地獄の存在を少年に教え、死への恐怖を煽ってから処刑するという復讐しましたか?

Noですが近づきました。少年は「地獄」を信じません。なぜなら…!

いいえ

他人の痛みを理解できませんでしたか?

No、理解できたでしょうが少年にはそれ以上に重要なことがあったのです。

はい

男は、犯人が懺悔してから処刑したかったですか?

Yes。懺悔はさせたかったでしょう。

いいえ

少年にとってこの世は地獄も同然でしたか?

Noで。少年にとってこの世は「道程」に過ぎませんでした。

男は少年に信仰心を教え、天国の存在を信じさせた後、「お前は取返しのつかない罪を犯したからもう天国には行けない」と宣告しましたか?

ようやくキーワードが出ましたがNo、逆なのです…!

少年はこの世が地獄のようだと思っていたが、男がこの世には楽しい事があると教え、少年に生への執着をもたせてから処刑するという復讐をしましたか?

後半Yes、少年にとってこの世は「道の途中」でした!

いいえ

少年は、生きていくのが精一杯の生活をしていたが、誰もが同じだと思っていましたか?

Noでいいでしょう。少年はこれまでの自分の生活に疑いを持ったことはありませんでした。

いいえ

男は少年に信仰心を教えて生への執着をもたせて、天国に行けると言って、少年がすすんで処刑される様に仕組みましたか?

No、少年は「信仰心」そのものは持っていたのです!

いいえ

死後の世界はないと思っていたが、地獄のような場所があることを知ったので死にたくありませんか?

No、少年は死後は「神の許に生まれ変わる」と思っていました。

いいえ

少年は死後に天国に行けると信じていたが、男は、悪い事をしたお前は天国に行けないと言って、しょうえの死の恐怖を煽ってから処刑しましたか?

No、天国に行く行かないではなく…。

核心男は神がいない事を少年に教えましたか?

これでいいでしょう…!「信仰そのもの」を捨てさせたのです。

少年の宗教は、異教徒を殺せば、死後天国に行けるという性質のものだったが、少年に別の宗教を教えることにより、「お前の神は絶対ではない」と知らせ、その上で処刑しましたか?

これはNoで。「別の宗教を教えた」わけではありません。

答え

短文解説
犯人の少年が邪神への信仰により死を恐れないことを知った男は、少年に多くの情報を与えることで邪神への信仰を捨てさせた。
その結果、生に執着した少年は処刑の際に恐怖と後悔を感じ、男は娘の仇を取った。

長文解説
「何故、私の娘を殺した!」
捕らえられ、目の前に引き出された犯人に、憎しみと怒りに震える声を投げつける男。
しかし、男が犯人の顔を覆う布を取り去った直後、その表情は驚愕に変わった。
「我らの神の思し召しだ。我らの神への供物には、無垢な少女こそふさわしい」
目の前にいたのは、まだ幼さの残る少年だった。

「あの少年は生まれた時から邪神信仰の中で育てられたようです」
家臣の報告を男は苦い顔で聞いた。
「信者は谷底の集落で集団生活を送り、そこで生まれた子供は外界を知らず、邪神への信仰心のみで育てられる。邪神に従う行いのみが肯定され、信仰のために命を落とせば邪神の元で生まれ変わる…というあれか」
「左様。そのため腕のいい暗殺者が多数育ちます。彼らは捕らえられ、処刑されることを恐れません。例え殺人が法では罪でも、信仰にそれ以上の救いがあると信じているのです」
「処刑されれば信仰に殉じたことになる、か…分かった、あの少年の処遇は私が決める。下がってよい」

翌日、男は少年を捕らえた地下牢に、自分が食べるのと同様の美味しい食事と、暖かく綺麗な色の衣類を届けた。
「これは何だ。僕をどうする気だ」
「見たことも食べたこともないだろう。さあ、その服を着て、好きなだけ食べなさい」
男は少年と鉄格子を隔てて話をしながら、少年の目の前で食事を始める。
不審な目を向けるばかりだった少年も、やがて漂って来る食事の匂いに抗えず、口をつける。
「…美味い…!」
「そうだろう。君の暮らしていた場所では、こういった物はなかっただろうからね」

何日かして、男が沢山の書物を抱えて姿を見せると、少年は少し警戒を緩めて男を見た。
「今日はこれを君にあげよう。この世界のいろいろな事を書いた書物だ。君の暮らしていた場所では、こんな話は聞けなかっただろう」

また何日かして、男は美しい絵を携えて少年の元を訪れた。
「世界は広く、輝きに満ちている。この絵を見るといい。港町、雪を被った山、海に沈む夕日…君の暮らしていた場所では、こんな景色を目にすることはなかっただろう」

それからしばらくして、男は楽団を伴って姿を見せた。
「君は知らないだろう、音楽の美しさを。君の暮らしていた場所では、こんな音は聞けなかっただろう」
男の合図で、演奏が始まる。呆気に取られていた少年は、やがてその演奏に引き込まれ、いつの間にか涙を流していた。

別の時には劇団に目の前で芝居をさせた。
また別の時には、吟遊詩人にいろいろな歌を歌わせた。
やがて少年の目は、最初の頃とは明らかに変わっていった。
「…僕は、あまりに世界を知らな過ぎた。美味しい食事や美しい景色も知らなかった。笑うことも泣くことも、人の温もりも恋も知らなかった…」
少年はいまや「信仰」が間違いだったと考えるまでになっていた。

そんな日々が続いた一年後、また男が姿を見せた。
「外に出ろ」
少年の顔は喜びに輝いた。本で読み、絵で見た世界を自分の目で見られる。「信仰」に縛られることなく、「生きる」ことができる…!
しかし。

少年が引き出された先にあったのは、処刑場だった。
恐怖に顔を引きつらせた少年の耳に、男の声が聞こえる。
「さあ、神のために命を捧げなさい」
「僕にはもうあの神への信仰心はありません!」
窓一つない処刑場の冷たい床に跪かされた少年の両目から、涙が溢れる。
「嫌だ…嫌だ、あんな美しい世界を見られずに死ぬなんて!あんな素晴らしい世界に触れることがないまま死ぬなんて!」
少年の背後に処刑人が立つ。ぎらり、と光る斧を視界の隅にとらえ、少年は悲痛に叫んだ。
「お願い、殺さないで!死にたくない、死にたくないよ……っ!!」
と、少年を見据えていた男が、冷酷に笑った。

「私の可愛い娘も、きっとそう叫びながらお前に殺されたんだろうね」

降り下ろされた斧が、少年の首を斬り飛ばした。
少年の目からは、最後まで恐怖と後悔、そして懺悔の涙が流れていた。
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