ウミガメのスープ

からまわる・ぐろーばる

作者: 黒井由紀

とある高校は、新入生を増やすべく、グローバル化に力を入れることにした。
留学生・帰国子女・外国から引っ越してきた子供が入学しやすいように入試制度を整えたり、外国語の授業もより実践的なものに切り替えたりと、かなり大掛かりな改革を行った。
これらの方針転換は、保護者達からも、おおむね好意的にみられたのだが、なぜか、卒業式だけは評判が悪かった。
外国人の生徒の保護者のために、式次第などに外国語訳を添えるだけという、この学校の改革ぶりにしては大したことのない変化しかしていないのだが……一体なぜ?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

いいえ

卒業式の日取りが問題でしたか?

NO. 卒業式の日取りは重要ではありません。

いいえ

評判が悪い理由は、式の時間が長すぎるからですか?

NO. 式の時間は、例年通りです。

はい

その高校は日本にありますか?

YES! 日本にあります!

悪評は日本人の親御さんからですか?

YESNO. 日本人の親御さんだけからとは限りません。

日本の卒業式独特の作法が問題ですか?

おそらくNO. 作法ではないと思います。

いいえ

英訳がデタラメやん!ですか?

NO. 英訳の内容は重要ではありません。

いいえ

校歌は重要ですか?

NO. 校歌は関係ありません。

いいえ

卒業式の式次第に不満の声がありますか?

NO. 式次第には不満の声がありません。

言語的な問題ですか?

YESNO! ある意味では、言語的な問題であるとも言えなくないでしょう。ただし、それだけではこの問題は解決しません。

いいえ

卒業式中の参列者の態度に問題がありますか?

NO. 式中の参列者の態度は重要ではありません。

いいえ

入学式では不満の声があがりませんか?

NO! 同じことをした場合、入学式でも不満の声が上がると思います!

いいえ

式の進行が、外国語を基本として進められ、日本語の方が添え物になっているのが不満ですか?

NO! そもそも、不満の原因は、式自体にはありません!

いいえ

季節は重要ですか?

NO. 日取り・開催時期は重要ではありません。

いいえ

国歌斉唱が問題ですか?

NO. 国歌斉唱も関係ありません。

4 生徒からの不満はありますか?

YESNO. 生徒から不満があがるケースもあると思います。

いいえ

外国の生徒は名前が長いので、氏名の読み上げに時間を割かれますか?

NO. 氏名の読み上げは重要ではありません。

いいえ

なんらかの不公平さについて不満を呈しましたか?

NO! “あること”をしようとする人間全員が不満を覚えましたが、不公平さはありませんでした!

いいえ

制服など服装が重要ですか?

NO. 服装は重要ではありません。

いいえ

式次第に書かれている外国語訳が多すぎますか?

NO. ですが、着眼点はそこです。

卒業式が3月ではないですか?

YESNO! 式次第ではありませんが、「横書き」は重要です!

いいえ

生徒の名前を読み上げるときの発音の下手さに親御さんキレますか?

NO. 確かに場合によっては日本人同士でも起きそうですが、違います。

いいえ

答辞などが横書きなので、読み辛いよ!ですか?

NO. 式自体の中身は重要ではありません。

いいえ

20 その国の国語によって文字を右から読むか左から読むか違うのは重要ですか?

NO. 読む方向は重要ではありません。

いいえ

卒業証書が横書きの書式でしたか?

NO! 横書きになったのは、卒業証書ではありません!

いいえ

卒業証書が横書きですか?

NO! 横書きになったのは、卒業証書ではありません!

いいえ

卒業証書が横書きなのは違和感がありましたか?

NO! 横書きになったのは、卒業証書ではありません!

いいえ

横書きになったのは卒業生がもらうものですか?

NO! 横書きになったのは、誰かが貰う物ではありません!

はい

表にある看板が横書きになりましたか?

YES! 看板が横書きになってしまいました!

はい

核心校門の前に置いてある「卒業式」の看板が横長なので、記念写真を撮りにくいですか?

YES! 正解です!

いいえ

正面に貼ってある式の進行表が横になりましたか?

NO. 進行表ではありません。

答え

卒業式は、子供の成長の大切な節目である。
当然、その光景を写真に残しておきたいと思う保護者は数多くいる。その日で制服姿が見納めだということも考えれば、なおさらだ。
そして、その際定番となる写真撮影スポットは、「卒業式」と書かれた看板のそばだ。何の写真なのか一目で分かるから、記念写真を撮るのに向いている。また、大抵の看板は、生徒の身長より少し高いくらいなので、全身撮影時の背景としてぴったりなのだ。
ところが、今年の看板は一味違う。
外国語訳を書き添えると縦書きでは不自然だということで、縦横自在な日本語共々横書きへ、すなわち縦型から横型へ変わってしまったのだ。
縦型なら、卒業生が隣に立てば、卒業生の全身と看板の全体がちょうどよく写真に収まったのに、横型だと、どちらかの一部が切れてしまうか、あるいはデッドスペースがやたらと多い写真になってしまう。複数人で並べばデッドスペースは解消できるが、一人で写したい・写りたいケースもあることを考えると、この対処法も微妙だ。
そんな訳で、この卒業式で行われた、「外国語訳を付けても不自然にならないように、看板を横書きにする」行為は、評判が悪かったのである。
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