けれど男は喜んだ。
どうして?
【ウミガメ】【闇スープ】

さくらんぼが実りましたか?

NO

男は生きた人間ですか?

YES

これで桜と同じ大学に通えますか?

NO

桜が散った、とは、桜の木の花びらが散ったということですか?

YES

誰かの身代わりとなって散りましたか?

NO

散ったこと自体に喜びましたか?

NO! [良い質問]

夏が来たことを喜びましたか?

NO

男以外に登場する人間はいますか?

YES! ここでは男の子供(娘)です[編集済] [良い質問]

桜を使って何か作りますか?

NO

例年なら悲しみますか?

NO? 悲しみません

男は余命が幾ばくもなく、今年も桜が散るまで生き延びれた事を喜びましたか?

惜しい! [良い質問]

娘の誕生日は重要ですか?

NO

男の子は病気ですか?

YES! [良い質問]

なんとか娘のジューンブライドが見れるまで生きましたか?

…たぶん

娘の病気は完治して、家族揃って春を越えることができましたか?

YES! 正解とします! [正解]
―――――
娘は病院のベッドの上にいた。
白い部屋。他にも色味は確かにある。けれど白い部屋という他なかった。
娘は窓の外を見る。健康だったころに走り回っていた空を。
この病室を希望したのは父親である私だった。
ここからなら彼女が好きな桜が見えるからだ。
多少値が張るが、彼女の事を思えばなんでもなかった。
こうなるまで気づかなかった私ができることといえばこれくらいしかなかったのだから。
「……お父さん、私しってるよ」
娘は窓の外から視線を外さないままにつぶやいた。
「もう長くないんでしょう?もう治らないんでしょう?」
「そんなことはない」
私はそう言ったが顔をあげることができなかった。
ドナーがみつかれば。
それは希望だったが可能性は限りなく低かった。
「キレイだね、お父さん」
「元気になったらお花見に行こう。今年はムリでも来年にはまた花は咲く」
外では満開の桜。本当なら今頃新しい学年で新しい友達をつくっているはずだった。
「……あの綺麗な桃色が、夏になると緑色に変わるのよね……」
ほぅ、とため息をついて娘は続ける。
「あの最後のひとひらがすべて変わる時、きっと私も……」
「縁起でもないことをいうもんじゃない!」
私は怒った。娘は泣いた。怒ったことが原因じゃないと、それでも私にはわかっていた。
――――娘がある日泣きやんだ。
ドナーがみつかったのだ。それは期限ともいうべき日のぎりぎりのところだった。
手術は成功した。もう少しこの白い部屋からは出られそうにもないが、これから先あの外ではしゃぎだす日も遠くないだろう。
「やったな。これからはお花見だってなんだってできる」
「うん、うん…!」
娘の花開くような笑顔の為なら私はなんだってやろう。これまで放っておいてしまった罪滅ぼしとはいかないが。
ああ、本当によかった!
「本当に奇跡です。……いえ、こういってはあの方に悪いでしょうが」
私と医者だけでこれからの事を話す。医者はぽつりとつぶやいた。
「昨日、娘さんの型とあう人が運ばれましてね。病院についた時にはもう助からない状態でした。
どうやら誰かに刺されたようなのですが、臓器には傷がなかった。
……本当に奇跡です」
私は首をかしげた。なぜこの人は私にそんな事をはなすのだろう。
「……お父さん、あなた……何も知りませんか?」
「なんのことでしょう?」
ああ、とてつもない奇跡ですね。
「刺されたのでしたっけ、その方。はやく犯人がみつかるといいですね」
私はそう言ってほほ笑んだ。