ウミガメのスープ

あくまでこいして

作者: とかげ

病院に来るとき、女は必ず医者に紙きれを見せていた。
ある医者はそれを見て、驚いた。
「これは……悪魔の契約書ですね」
女は微笑んだ。
「はい。家の中で外の世界に憧れるだけだった私が、おかげでこんなに元気になりました」
そして、女はその医者に恋をした。

どういうことだろう?


*これは、さるぼぼさんの素敵な挿絵から連想してつくった問題です。

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

いいえ

契約書は、本物の悪魔との契約書ですか?

NO 本物の悪魔ではありません ※ミスリード注意

いいえ

悪魔の契約書=婚姻届ますか?

NO 違います

はい

女は昔は、体が悪かったのですか?

YES 病弱でした

いいえ

「悪魔の契約書」は、比喩的表現ですか?

NO 比喩ではありません ※ミスリード注意

はい

女は悪魔に体が健康になるように頼みましたか?

YES 「おかげでこんなに元気になりました」はそういう意味です※ ミスリード注意

はい

女は、悪魔の契約書のおかげで元気になったのですか?

YES 「おかげでこんなに元気になりました」はそういう意味です※ ミスリード注意

はい

女は医者に感謝していますか?

YES 感謝しています!

いいえ

悪魔の契約書とは何か重い病気の診断書の比喩ですか?

NO 診断書は関係しません

はい

元々、その悪魔の契約書を書いたのは、その医者でしたか?

YES その医者です!

はい

医者に見せている紙切れが、「悪魔の契約書」ですか?

YES 「紙切れ=悪魔の契約書」です

いいえ

紙切れはラブレターますか?

NO 「悪魔の契約書」です

いいえ

臓器移植は関係ありますか?

NO 関係しません

はい

病院に来るとき、女が医者に見せていた紙切れは、【毎回同じもの】ですか?

YES 同じ「悪魔の契約書」です

はい

女は人間ですか?

YES 人間です

女が微笑んだことは重要ですか?

一応YES ただ、他のことを特定できれば自然と推理できます

いいえ

「悪魔の契約書」は犯罪と関係がありますか?

NO 犯罪要素はありません

はい

彼以外の医者は驚きませんでしたか?

YES 他の医者は驚きません!

いいえ

「悪魔の契約書」は非現実的なものですか?

NO 非現実要素はありません!

はい

文中の女は同一人物ですか?

YES 全部同じ女です

はい

医者が女を元気にしましたか?

YES ということは…?

いいえ

医者は女に悪意がありましたか?

NO 全然ありません!

女が男でも成立しますか?

え、いや……恋に落ち…まあそういうこともあるのでYES?

はい

その医者は女を執刀しましたか?

YES 医者は女を治療したことがあります!

医者は女を治療するつもりでしたか?

どの時点の話であれ

いいえ

9より。医者が驚いたのは、自分が書いたときとは、契約書に変化があったからですか?

NO 変化はありませんでした

はい

医者または女は騙されてますか?

YES 騙したことがあります※ミスリード

いいえ

・・・プラシーボ効果ですか?

NO 関係しません

そして、女はその医者に恋をした。の部分は重要ですか?

YESNO 恋でなくても成り立つ感情はあります

いいえ

女は精神病でしたか?

NO 精神は正常です

女は義足や義手などを身につけましたか?

YESNO 重要ません

いいえ

医者は彼女を脅してリハビリをさせていましたか?

NO リハビリは関係しません。脅してはいませんが…

いいえ

紙切れを最初に用意したのは女ですか?

NO 女が用意したものではありませんでした

医者の方は、女に対して恋愛感情を持っていますか?

YESNO 多分持ちますが重要ません

いいえ

面倒な持病を持ったその女が、少しでも良好な状態になるために、色々と厳しい生活制限が書き記された「闘病と治療の為の注意事項」でしたが、その大変さは悪魔の契約書と言わざるをえない程のものだったが、それを遵守し続けた結果、健康となることができましたか?

NO 医者が女を治療したのはYESですが、「悪魔の契約書」は比喩表現ではありません ※ミスリード注意

はい

女は、その医者が自分を治療して元気にしてくれた恩人なので、恋をしましたか?

YES! 「恋をした」部分はその解釈でOKです!

医者は、女が幼い頃からのかかりつけの医者ですか?

かかりつけ医はNOですが…

いいえ

少女が生まれた時に取り上げたのがこの医者でしたか?

NO さすがにそこまでは遡りませんが…

女は生まれてから今までずっと家の中にいましたか?

YESNO 病弱で、家の中にいることが多かったですが、家から出たことがないほどではありませn

23より、悪魔の契約書は手術の同意書で、彼女は自分の手術を担当していた医者を探し、お礼が言いたかった。やっと見つけたその医者があまりにもイケメンで恋に落ちましたか?

お礼を言いたくてやっと見つけたはYES! 同意書NO! 「悪魔の契約書」は比喩表現ではありません!

はい

26より。医者が女を騙したのですか?

YES! 医者は女を騙しました! 一体何について?

はい

現代日本で成立しますか?

YES 非現実要素は一切ありません!

いいえ

女は医者に紙切れを見せた時点で、その医者が自分を治療してくれた恩人だと知っていましたか?

NO 紙切れを見せるだけでは知りませんでした、ということは…

いいえ

この話に出てくる「悪魔」とは現実世界に存在しますか?

NO 非現実要素はありません!

魂や寿命という単語は重要ですか?

YESNO 当ててほしいポイントではありませんが、解説では出てくるの良質進呈

はい

女は、自分を治療してくれた医者を探して、あちこちの病院でその医者が書いてくれた悪魔の契約書を見せていましたか?

YES! そういうことです!

いいえ

医者は女を治療した時に、まるで悪魔のような膨大な報酬を要求しましたか?

NOw ブラックジャックません!

いいえ

悪魔とは酷い人という意味ですか?

NO 「悪魔」は比喩ではないんです! ※ミスリード注意

いいえ

医者はかつてブラックジャック的な存在でしたか?

NOw ブラックジャックません!

はい

悪魔とは医者のことですか?

YES! 悪魔=医者です! ※ミスリード注意

いいえ

犯罪要素はありますか?

NO ありません

いいえ

「悪魔の契約書」によって女は何らかの実験体にされますか?

NO 実験ません

悪魔の契約書が作成された時、医者も女もまだ子供でしたか?

医者NO 女YES! 医者は大人でした、女は子どもでした!

いいえ

悪魔とは人名ですか

NO 名前ではないのですが…

いいえ

ひきこもりがちだった女は、自分が女性であるというカウンセラーとメールもしくは文通するようになり外を出歩けるようになった。しかし実際カウンセラーは男(文中の医者)であった。その正体に気付いた女は医者に恋をしましたか?

NO メールやカウンセラーは関係しません!

女は子供ですか?

YESNO! 52を参照

はい

「悪魔の契約書」は女が恋した医者を特定するものですか?

YES 45を参照

はい

契約書とは文字通り何かの契約を交わしたことの覚書ですか?

YES 普通の契約書でした

はい

女は自分を治療してくれた医者を探すために色んな病院を訪れては、そこの医者に契約書を見せることで相手のリアクションをうかがい、それによって自分の恩人の医者を探していましたか?

YES 45を参照

はい

手術を受けたがらない女に対して、医者が「悪魔の契約書」とかなんとか騙して、手術しましたか?

YES! まとめられますか?

はい

医者は「私は悪魔だ」と女性を騙していましたか?

YES! まとめられますか?

いいえ

52より女が医者に恋した時、医者は死期が近づいてましたか?

NO 医者も元気です

いいえ

医者は、カルテのことを悪魔の契約書と言いましたか?

NO もともとあるものを悪魔の契約書と呼んだわけではありません

いいえ

当時は体を切り開くことは禁じられていたので悪魔呼ばわりされていますか?

NO 現代で成り立ちます!

子供だった女は、病気の治療を痛がっていましたか?

解説ではNOですが、治療を嫌がる理由はそれでもいいです

いいえ

医者「私は悪魔だ。お前の魂を貰う予定だが、特別だ。この契約書にサインするなら助けてやる」

NO! 医者が悪魔だと名乗ったのはYESですが…

はい

核心59より。手術を嫌がる女(子供)に対して医者は「私は魔法的な力が使える悪魔だから手術は絶対に成功するよ」と元気づけて、悪魔の契約書を渡しましたか?

YES! 大体あってます!

はい

核心女は小さいころ病気だが、手術が怖かった。そこで医者が自分は悪魔だと騙して、手術を受けさせた。女は大人になり自分を直してくれた医者に恋して探した。その時昔医者が書いた「悪魔の契約書」をいろんな医者に見せて反応を見た。ますか?

YES! 大体あってます!

いいえ

「その契約書通り…何年かかっても3000万は用意します…私を助けて下さい!」 「その言葉が聞きたかった!」

NOw 金絡みませんw

答え

幼い頃に母親を病気で亡くした少女にとって、医療や科学技術なんてものは、信頼に値しなかった。
治療だ入院だと、家族の時間を奪っておいて、結局のところ母を救えなかった医者達には、恨みしか覚えていなかった。

母に似て病弱だった少女は、それまでも家の中に閉じこもりがちだったけれど、母が死んでからは余計に医者にかかることを嫌がったために体調の悪い日が続き、外に出られない日々を過ごしていた。そしてついに母と同じ病気に倒れたときも、治療や薬を拒絶した。
何人もの有能な医者が説得にあたったが、彼らの言葉に耳を傾けることはなかった。
日に日に衰弱していく少女のもとへ、ある日、若い医者が訪れた。医者嫌いの少女の噂を聞いて、自分にできることがあるならば、と志願したのだ。
彼はまだ経験も乏しい新米の医者であったが、少女を救いたい一心の父は、経歴などもはや気にしている場合ではなかった。

若い医者は、少女が寝ている間に部屋に隠れ、夜中に彼女を起こした。
目を覚ました彼女の目に飛び込んできたのは、外の街灯にぼんやり照らされた、真黒な服の痩せた男だった。
「……誰? 誰なの?」
怯えたように聞く少女に、医者は落ち着いて答える。
「俺か? 俺は、悪魔だ」
病弱な少女は、友達と遊ぶこともなく、家の中で本ばかり読んできた。母の死から医療や科学に疑いを持っていたため、非科学的な錬金術や悪魔に関する本は、いくつも読んだことがあった。そして、世間を知らない少女は、大変純粋でもあった。
「契約しに来たの?」
暗い部屋の中で、黒い服の男は、輪郭がはっきりせず、得体のしれない者にも見えた。
悪魔と名乗った医者の言葉をすんなり信じ、悪魔の契約のことを思い出した少女は、黒服を着た若い医者にそう尋ねた。
医者は……悪魔は、うすら笑いを浮かべた。
「よく知っているな……そうだ。苦しんでいるようだから、それを救ってやろうと思ってな」
「救うだなんて、嘘よ。私の命が欲しいだけなのでしょう?」
「見返りにな。しかし、それは10年後でいい」
暗闇に慣れてきた目で、少女は悪魔の表情を探る。悪魔は先ほどから変わらず、ただうすら笑いを浮かべるだけだ。
「悪魔の術で、お前の病気を治してやる。そうすればお前は、外で他の子ども達がしているように駆け回ることだってできるようになるし、学校に休まず通って、好きな勉強を続けることもできる。友達をつくることだって、誰かと恋をすることだってできるようになる」
窓から外の世界を眺めてきた。家の中にいても、本を読んだり父と話したりして、色々なことを学んできたけれど、少女にとって外の世界は憧れでもあった。
「お前はもうすぐ死ぬ。本来ならば、助からない命だ。それを助けて、10年間、普通の生活ができるようにしてやるんだ。こんなに条件の良い契約はないと思うが?」
確かに、悪魔の誘いは、魅力的だった。
「……助けて。私を助けて。10年後に、私の命をあげるから。10年間、普通の暮しをしたい……!」
「よし、契約成立だ」
悪魔は少女に近づいていき、悪魔の契約書にサインさせた。これが夢でない証拠になる、と、1枚を少女に渡し、もう1枚の契約書を自分の懐に収めた。そして契約の証だと言ってグラスの水を飲ませた。その水には治療に必要な薬と睡眠薬が溶かされており、素直に口にした少女は、すぐに眠りに落ちた。
寝ている間に悪魔は……医者は、少女の部屋を後にした。

それから、悪魔の治療が始まった。魔界の食べ物だと言って怪しげなスープをつくっては、中に薬を混ぜ込んで飲ませ、魔族の呪術だと偽っては、少女の診察を行った。悪魔はいつも唐突に、皆が寝静まった頃少女の部屋に現れ、毎度夜中に起こされる少女は、いつも暗闇の中悪魔の治療を受けた。治療の後は、最初の契約のときと同じように、睡眠薬で眠らされた。悪魔は自分が悪魔であることに疑いを抱かれぬよう、演出にはこだわった。もしどこかで違和感を覚えられてしまったら、完治する前に少女が治療を拒みかねないからだ。

少女に悟られぬよう、新米の医者が細々と続けた治療の甲斐あって、少女は1年後にはすっかり元気になっていた。病気の重かった母は助けられなかったが、まだ若い少女は母よりも体力があったし、早期に治療できたため、現代の医療で十分治すことができるのだ。
少女の父は若い医者に心から感謝をし、ぜひこのまま主治医になって貰いたいと願ったが、治療が終わった医者は、最後まで悪魔であり続けるために、少女に別れも告げずに突然去った。
悪魔がぱたりと現れなくなったことで、少女は自分の病気が治ったことを知り、残りの時間を精一杯過ごすことに決めた。



そして、あの契約から10年後。

病院にやってきた女は、医者に古びた紙きれを見せるのが習慣になっていた。医者に不振がられてばかりだったが、その日は違った。
その日の担当の医者は、不審に思いながらも促されるままにその紙きれを受け取り、驚いた。
「これは……悪魔の契約書ですね」
その言葉を聞いた女は、満足そうに微笑んだ。
「はい。家の中で外の世界を羨ましがるだけだった私が、おかげでこんなに元気になりました」
大人になった元少女が、医者としての経験を重ねた元悪魔の顔を覗き込む。
「ようやく見つけました……あなたは、私の命が欲しいと、そう言ったはずでしょう?」
勉強を積み、世間を知り、窓の外の世界へ飛び出した彼女は、もはやすべてを悟っていたが、悪魔の契約を破るつもりはなかったのだ。

「10年経ったのに契約通りに取りに来ないから、私から来てあげたのよ」

艶やかに笑う彼女は……悪魔に恋した彼女は、悪魔のように恐ろしいほど、美しかった。

END

医者嫌いの少女は治療や薬を拒絶したため、ある医者が自分は悪魔だと名乗り、悪魔の術で少女を治す代わりに、10年後に少女の魂をいただくという契約を交わした。10年後、すべてを悟った元少女の女が、元悪魔の医者を探すために、契約書を持って病院を巡っていたのだ。

— さるかげスープ

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