とある診療医の噺
「今日はどうなさいましたか?」
「実は怪我をしまして」
「……どこですか?」
「いえ、治ったんです」
「え?」
「治ったから、来たんです」
一体どういうことだろうか?
ラテシン5周年おめでとうございます!
これは上杉さんとの1on1です。
その他の皆様はhttp://chat.kanichat.com/chat?roomid=Kansenにてお願いします
過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。
その病院は外科ですか?
YesNo!! 大学病院、普通の診療所でもOKです!
登場人物は二人ですか?
Yes!!
治った後に、病院へ行こうと思いましたか?
Yes!!!
出血しましたか?
YesNo!! ミスリード注意!
女というのは重要ですか?
Yes!!
出産は関係ありますか?
No!!
怪我をした場所はへそから上ですか?
YesNo!! ミスリード注意!
恋愛関係ありますか?
Yes!!!
自然治癒しましたか?
Yes!!
女と会話しているのはお医者さんですか?
Yes!!
怪我をした場所はどこでも
Yes!! いろいろな場所を怪我しましたが、重要な部分があります!
怪我は故意によるものですか?
No!!!
女はお医者さんの事好きでしたか?
Yes!! ただし…
怪我は先天的なものですかq
No!! 事故でした!
顔の一部に重要に部分が含まれていますか?
No!!
手足は重要ですか?
Noかな? 左足は不自由になった設定ですがなくてもいい設定かもしれません
交通事故ですか?
Yes!!
交通事故ですか?
YesNo!! もちろん手も怪我しましたが、もっといろいろな所を怪我しました
お医者さんは女のことが好きでしたか?
Yes!!!
なんらかの犯人はいますか?
Yes? 交通事故の犯人はいると思いますが、考えなくていいです
なんらかの犯人はいますか?
Yes!! 直接は巻き込まれていませんが、巻き込まれた彼女を手術したのは…
心の病は関係ありますか?
Yes!!! 広義で見れば心の病ととれます! ですが、もっと具体的に…!
心の病は関係ありますか?
Yes!!!
事故による怪我とは別に、なにか問題がありましたか?
Noかな? おそらくこれも「事故による怪我」のうちに入ると思います
治ったことを証明するために病院へ訪れましたか?
Yes!!!
PTSDは関係ありますか?
惜しいです!! 事故のショックにより…
核心記憶障害が治りましたか?
Yes!!! 重要単語が出たので、解説へ行きます〜
答え
いつもの様に運ばれてきた救急患者。
──それは、私の恋人であった。
交通事故らしい。
「この患者は私が診る!」
なんで彼女がこんなことに? 頭の中がぐるぐると混乱したまま、私は緊急手術に踏み切った。
手術を終え、私はやれることはやったと思う反面、本当にベストを尽くせたのか? と思うと怖くなった。
彼女の意識が戻らないまま三日が過ぎた。その間、私はずっと彼女を見てはその思いに頭を悩ませていた。
そして、ふと、看護師から彼女が意識を取り戻したという知らせが。
慌てて彼女の病室に向かうと、そこには笑顔の彼女がいて、こっちに向かって言った。
「先生、この度は、ありがとうございました」
その口調。雰囲気を見て、俺はイヤな予感になった。
「あの、えっと……すいません。私たち。以前どこかでお会いしたことありませんか?」
「…………いいえ? 申し訳ありませんが、心当りは……」
彼女のその怪訝な表情。その表情は、私を打ちのめすのには充分な力を持っていた。
「そうですか……! すいません、勘違いしていたようです!」
それだけを何とか言って、診察をした。
すると、恐ろしいことが分かった。
なんと、左足の方が思うように動かないというのだ。
神経か、脳か、心か、どれが原因なのか、医師が分からなかった。
記憶喪失に、麻痺……
もしかして……あの手術が上手くいかなかったのか?
仮に手術が成功していたのだとしても……あれを直せなかったのは、私のせいなのではないか。
そう思うと、彼女が私に関しての記憶を失くしていることに、妙にすんなりと納得してしまえた。
「そうか……俺では、彼女を幸せにさせることが出来ない」
ならばせめて、彼女の幸せを願おうと思った。
合鍵で彼女の家から俺の痕跡を消した。
そして、俺は彼女をそのまま「医師」と「患者」として、接した。
彼女は杖を使えば歩ける程度に回復し、退院した。
記憶は戻らなかった。
でも俺は別にそれでいいと思っていた。
そのまま忘れて、幸せを掴んでくれれば、それで満足だ。
その後、俺は救命救急から退いて、診療所で診療医をすることになった。
それから何年後。
「次の人どうぞー」
そう呼んで来たのは、なんとあの彼女であった。
「今日はどうなさいましたか?」
平静をなんとか保ちながら、病状を聞く。
「実は怪我をしまして」
また怪我をしたのか…!?
「……どこですか?」
「いえ、治ったんです」
「え?」
一瞬、彼女が何を言っているのか分からなかった。
「治ったから、来たんです」
「それは……一体」
「怪我をした、と言っても何年も前のことです。酷いですよね、その先生ったら、完全に治ってないのに私を退院させたんですよ。訴訟もんです」
「……」
「どうして…何も言わなかったのですか?」
「俺じゃ、キミを幸せにすることは出来ないと思った。足はおそらくまだ不自由しているんじゃないか?」
「……それで、あなたはこれまで幸せでしたか?」
「っ! ……俺はっ、キミさえ幸せでいてくれたら」
「なんで!」
「っ!」
「……なんで、そんなこと言うの? 私だけ幸せに? そんなの無理よ」
「え?」
「だって、あなたが私の幸せを願うように、私だってあなたの幸せを願っていたのよ……!?」
「……」
何も言えない俺の手を、彼女はぎゅっと握る。
「私は思い出を取り戻した。だから、あなたは自信を取り戻して。あなたは悪くない……!」
その言葉を聞いて、私は自分の中に渦巻いていた霧のようなものがどこかへと解けて、消えていった。
それと同時に、涙が止まらなくなった。
これから、また築いていってもいいのだろうか。
彼女との、思い出を。
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