【ラテクエ２７リサイクル】天まで

私

は、コウチャという柴犬なのだ。

紅茶っぽい色だからと、ご主人様につけていただいたんだ。



ある日、ご主人様がしんでしまった、らしい。

犬だからしぬって何なのかよくわからないけど、どうやらもう会えないんだって･･･。

とーっても高いところにいってしまったんだって･･･。



大好きだったのに会えないのは悲しかった。



しばらくは我慢していたけど、もう限界だよ…!



だから、この町で一番高い場所、「見晴らしの丘」にいったんだ。

高いところに行っちゃったご主人様に聞こえるように、大きな声で空に向かって言ったんだ。



「ご主人様！私もそっちに連れて行ってください！」



思いの丈を何度も何度も、飛び跳ねながら叫んでいたら、丘の先（崖）から私は落ちてしまったんだ。



－－－－－－－－－－－－



気づいたら、私は白いベッドの上で眠っていた。

白い服を着た、ご主人様とよく来ていた病院のお医者さんが私をなでてくれていた。



そこにはやっぱり、ご主人様はいなかった。

私は急に悲しくなった。



そして私は、その病室の中で、何度も何度も泣きながら、何度も何度も鳴いた。

声を出す度に体の中がきしむ。

そのうち、痛みのあまり気を失ってしまった。



私を心配するかわいらしい女の犬（おんなのこ）がこの後やってくるわけだが、それはまた別のお話。