“ロスト”魔導師探偵Ｔ

遺

体の下には、血にかすれていたが悪魔召還の魔方陣があった。

私も魔導師の端くれ、見ればどんな悪魔が召還できるか位はわかる。

以下は私の推理だ。





－－－－－－－－－－－－－

召還した悪魔は、召還者が願う相手を重力の魔法で殺す。

代償は使用者の健全な魂の一部。

その悪魔は若干ひねくれものというか、面倒屋である。



彼は自分の邪魔になる人物を何人も暗殺してもらっていった。

依頼の度に少しずつ魂を奪われていった彼の精神は、次第に壊れていった。



そして最期に彼はこう願った。

全部消えてなくなればいい、と。



悪魔は言った。



「すべてが消えてほしいのだな？しかし、すべてを消すにはお前の魂が健全な状態で丸ごとひとつあったとしても足りぬ。もっと簡単な方法があるが、そちらでもいいか？」



「何でもいい、消してくれ！」



「承知」



簡単な方法、つまりこの世界が彼から見えなくなればいい。

ジョバンニのほうが死ねば、彼はこの世界にいなくなり、彼からはこの世界はなくなる。

悪魔はそう考えた。



そして、この異様な死体が出来上がった、というわけだ。



－－－－－－－－－－－－－－－－－－

これは私の推理だが、後日の聞き込みから、死ぬ間際のジョバンニは、常に何かにおびえていたらしいし、最近先刻の「連続死亡事件」の被害者たちの名前と一致するリストも発見されたから、ほぼ間違いないだろうな･･･。

人を呪わば穴二つ、くわばらくわばら、といったところか。

皆も気をつけるように。