【ラテクエ　サブロック】　陰謀の遊園地

オレはウミガメレッド！　（ババッ）　　「水平戦隊 ウミガメン」 のリーダーだ！　（ビシイッ）



５月１日…メーデーのこの日は、忌まわしい記憶が蘇る。仲間と生身の体を失った、あの緊急事態（メーデー）のことを。

しかし！めげてなどいられない！なぜなら、司令から任務をもらったからだ！



「あー、レッド。ここにチケットがある。ピンクと一緒に都市魔園に行ってこい」　都市魔園って…遊園地？いったいなぜ…

「休息するのも仕事のうちだからな」　「仕事なんですね！ わかりました！全力で遂行します！」　　「……。」



”キャーキャー！”　　「おのれ戦闘員！子供たちは渡さないぞ！」　　「ダメよ！それヒーローショーの役者さんだから！」

”うらめしや～～”　　「出たな怪人！倒してやる！」　　「ダメー！それお化け屋敷のセットだから！」

”ピキュンピキュン”　「ドッグファイトか！簡単にはやられないぜ！」　　（すごい…後ろの客の光線銃、全部よけてる…）

”ガガガ・ゴオー”　　「耐G訓練か…！　なかなか本格的だな」　　「キャーキャー♪」



「楽しかったー！ …あ、レッド！ あれに乗ろうよ！」　ピンクの指差したのは、巨大な観覧車。

「うわー、高い！ちょっと怖いかも…　レッド？」　（市民の、幸せそうな姿…これが、俺たちの守るべきものなんだ…）

「…レッド、ずっと真剣な顔してる。…あたしと一緒じゃ、つまらない？」　　「…えっ？ぴ、ピンク？！」



ピンクは、けだるそうに、レッドの肩にもたれかかった。　「できれば、このまま、ずっと…」　（…ピンク。オレは…）

「…できれば、このままずっと…　働きたくないにゃ～～」　　　「…はっ？」

「仕事きついし。報われないし。これから好きなように生きるの～」　　「どうしたんだ、ピンク！ …あ、もう下に着いた」



観覧車の外に出たレッドは絶句した。ジェットコースターを降りた客、お化け屋敷から出てくる客、メリーゴーランドから…

いや、すべてのアトラクションから出てくる人間が、みな無気力な顔をしていた。



「学校行きたくない～」　「働きたくないでござる、絶対に」　「働いたら負けかな…」　「初給料があれっぽっちなんて…」

”ピンポンパンポーン♪　三丁目よりお越しの田中様、お子様を預かっております。返してほしくば身代金のご準備を”



「こ、これは…！真・テラ帝国の仕業かっ！！」　　「ククク…よくぞ気づいた、ウミガメレッド」　　「貴様…やはり怪人！」

先ほどのヒーローショーで怪人役をやっていたハエ男が、ウミガメレッドの前に立ちはだかる。　（実は本物だったのだ）



「なぜだ！この前の幼稚園バスジャックといい、なぜ子供たちを狙う！」　　「いいだろう…冥土の土産に教えてやる」　

「子供たちは、その国の未来を担っている！つまり、子供を奪うことは、その国の未来を奪うことに他ならないのだ！」



「くっ…！恐ろしい計画だ…！」　「もう一つ教えてやる。この五月バエ様の”五月病催眠電波”は、人が緊張と弛緩を

繰り返す時に一番効果が現れる。アトラクションで緊張し、終わった後の緊張が切れた瞬間が、最も効きやすいのだ」



「貴様もこの電波の虜となるがいい！」　　「…生憎だがオレは今日一日、緊張しっ放しでね。そんなものは効かん！」

「なにィ！」　　「五月バエか…文字通り、五月蠅（うるさ）い奴だぜ！その触角が弱点だな！」　「な、なぜわかった！」



あからさまに怪しいアンテナ状の触角をへし折ると、会場内の電波がすべて消えた。　そんで、怪人は倒された。



「さすがレッド！…でも、私と一緒でも、一時も心安らげなかったのね…ちょっとさみしいな」　

「そりゃ…好きな女が肩にもたれかかってきたら、緊張もするさ（ボソッ）」　「え？今なんて？」　「な、なんでもない！」



５月１日は、メーデー。しかし、今年からは、ちょっと気が楽になりそうだ…。　司令、ありがとうございます！

そして、敵の本拠地を見抜き、俺たちを派遣して先手を取るなんて。　さすが司令！！



司令　「うーむ、レッドの気晴らしになればと思ったが、まさか、都市魔園が真・ラテ帝国のアジトだったとは…」（；´д｀）