【ラテクエ・サンダーライガー】彼女に相応しくない

サ

ムライウーマンが殺された！

ニュースは世界中に流れた

サムライウーマンことアカリは背中をストーカーの持つ包丁で刺されたのだった

戦士(侍含む)にとって背中の傷は最大の恥である　それは【敵に背中を見せた=逃走した】証拠だからだ　世界の人々は「彼女に相応しくない」と落胆し　しばらくすると彼女の名は忘れられていった



数人の人々は知っていた　その日に何があったのかを・・・

その日、彼女はいつも通り託児所へ子供を迎えに行った　彼女はシングルマザーだった

子供と再会した瞬間　物陰から不審者が！彼女を付け回しているストーカだった

アザゼル『よくもボクを裏切ったなー！』

子供が居ることを知ったストーカーが、いきなり逆上し出刃包丁を抜いて突っ込んできたのだ(どうやら頭の中身がぶっ飛んでるようだ・・・)

あわてて男の目を自分に向ける為　子供から離れる彼女！しかし　その行動が裏目に出た　なんと子供が、離れていく母親に駆け寄ったのだ

アザゼル『この餓鬼！うざってーんだよ！』

男の包丁は母親とストーカーの間に入り込んだ子供に突き出された！彼女は瞬間的に思考する

(包丁を叩き落す？私なら90％成功する・・・90％・・・10％は・・・駄目！』

彼女の中の【母親】が身体を動かし我が子をしっかりと抱き締めた　その背中には深々と包丁が・・・

死に向かう激痛の中、彼女は我が子に最後の微笑みを浮かべていた　それは正に慈母の笑みだった

近づく男　今頃になって動き出す辺りの野次馬(最初から見ていたが彼女が負けるはずないと手出ししなかったのだ)しかし包丁の前に動けない

アザゼル『へっ！サムライウーマンの首を討ち取って英雄になってやる！』

≪パキン！≫　

近づく男の声を聞いた子供の中で何かが切れた

shu『ママを・・・お母さんを・・・いじめるなーー！』

それは野次馬の目を驚かす出来事だった　なんとその小さな子供はストーカ相手に母親を凌ぐ強さを見せたのだ　それは『母親に甘えていたい』と言う鎖から一気に解放され暴れる獅子のようだった

数分後　四肢の間接を再生不可能なまでに破壊されたストーカーの姿があった　子供は母親の胸で泣いている

shu『お母さん　なんでアイツを殺しちゃ駄目なの？・・・ヒック！』

子供が奪った包丁でストーカーを刺そうとしたのを母親が止めたのだ

アカリ『ダメ・・・人を憎しみで殺しちゃ・・・幸せに・・・なれない・・・母さんはアナタに・・・・・・幸せになって・・・欲しいの・・・わかったわね？』

そう言って微笑むと彼女はそのまま帰らぬ人となった



この事を聞いたマスコミは反省した　彼女の真価は『サムライ』などではなく『母親』だったのだ　子供の為なら巨悪にも挑むし自分の命さえ捨てる『聖母』だと　そして自分達マスコミが煽り立てたせいで聖母アカリは死んでしまった・・・

マスコミは子供のことに口を噤んだ　それが彼女に対する精一杯の誠意だと信じ・・・

焦ることは無い　数年もすれば　新たなるヒーロー【サムライボーイ・shu】の名が世界を騒がすだろう　その時【サムライマザー・アカリ】の名はまた世界に広がるのだ