奇跡の画家

あるところに盲目の画家がいた。

男は盲目ながらも、触覚や、絵具の色を匂いでかぎ分ける嗅覚などを生かし、

精彩で色鮮やかな絵を描き上げる、奇跡の画家と呼ばれていた。



ある日、奇跡の画家は自宅でＴＶの取材に答えていた。

その時急に火災警報器が鳴り響いた。

「ビー！ビー！台所で火事です！台所で火事です！」

警報を聞いた画家は猛ダッシュで、台所に向かって行った。



画家が台所につくと、本当は

使用人の男が料理を焦がしてしまってその煙に火災警報器が反応していただけだった。



猛ダッシュで台所に走っていくところを取材陣に見られた画家は、本当は目が見えているということがばれてしまった。



目が見えない奇跡の画家として持ち上げられていた男の地位は一瞬にして地に落ちてしまった。