ウミガメのスープ

ある旅人の話

作者: 彩蓮燈

むかしむかしあるところに、ひとりの旅人がおりました。
彼は世界中を旅して回り、たくさんの冒険をして、行く先々の町や村でその話をしては、路銀を稼いでおりました。
彼の話は大層見事な語り口で、聞くもの皆を惹きつける魅力に溢れていました。
多くの人が彼を褒め称え、沢山のお金を渡しました。

男はある日、小さな村で冒険譚を語りました。
村人の全てが彼に銀貨を投げました。

翌日、旅人は新しい村で同じように冒険譚を語りました。
しかし村人は半分も彼に銀貨を投げませんでした。

さらに翌日、旅人はまた新しい村で同じように冒険譚を語りました。
しかし村人は誰も彼に銀貨を投げませんでした。

なぜ?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

男の語った冒険譚は金目のお話ですか?

関係ありません。

はい

男の冒険譚はすでに行く先の新しい村にまで広まってしまっていましたか?

Yes。村人はその話を知っていました。

いいえ

冒険譚の内容は重要ですか?

No。重要ではありません。

いいえ

銀貨ではなくて金貨を投げますか?

No。金貨も銅貨も投げません。

いいえ

「村人が銀貨を投げなくなること」を男は想定していましたか?

No。旅人はなぜ村人が話に惹かれないのか、理解できませんでした。

はい

もう話の内容を知っていたので、村人には面白くなかったのですか?

Yes。ではなぜ村人は話を知っていたのでしょう?

いいえ

「村人たち」と「男(旅人)」以外に重要な人物がいますか?

No。登場しません。

いいえ

手紙や電話で話が広まってしまいましたか?

No。そもそも電話はない設定です。

はい

村人達の冒険譚に対する満足度はだんだんと下がっていっているのですか?

Yes。下がっている、といっていいでしょう。

いいえ

村が合併したり、分離したりしていますか?

No。そんな事実はありません。

はい

「ある日」「翌日」「さらに翌日」の三回とも、同じ冒険譚を話しましたか?

Yes。同じ冒険譚でした。

はい

男の冒険譚は自らの経験に基づく話ですか?

Yes。ですが、あまり重要ではありません。

はい

旅人は直接それぞれの村に出向いて話をしましたか?

Yes。旅人はいずれも直接村を訪れました。

いいえ

2番めの村の住人の半分は もと1番目の村の住人  3番目の村はもと2番めの村が改名しましたか?

No。合併はありませんでした。

はい

村人がその冒険譚を知っていたのは、その旅人の話が何かを介して伝わってきたからですか?

Yes。何かを介して伝わったと言えるでしょう。ミスリード注意。

いいえ

旅人が、2番目の村及び3番目の村でその冒険譚をするのは初めてでしたか?

No。初めてではありませんでした!

「ある日」以降に「旅人」が訪れた三か所の村人は、土地を移動して住まう遊牧民のような存在でしたか?

全て同じ人物Yes!! しかし村人は遊牧民ではありません!

いいえ

村中の人に聞こえるくらいの声で話したため、隣村にも冒険譚が聞こえていたのですか?

No。そこまで声は大きくないです。

いいえ

[]

No。盲目ではありません。しかしそれでも成り立ちます。

いいえ

旅人は高齢だったため、2番目の村及び3番目の村でその冒険譚をしたことを忘れていましたか?

No。高齢ではありません。が…

いいえ

前にも同じ話をしたことがあったため、村の古参はその話を前に聞いており、内容を知っていたということですか?

No。古参でなくとも、村人全員が知っていました。

はい

15,16より 過去に同じ話をしたのを忘れて同じ話をしてしまいましたか?

Yes!しかし、同じ話をしたことを忘れたというより…

はい

冒険譚の話を村民はすでに一度聞いたことがあった?

Yes。聞いたことがあります。

いいえ

同じ村民が、村の名前や仕組みを変えたりなどして新しい村を作り直したのですか?

No。村の名前も仕組みも変わっていません!

いいえ

念のため、問題文で「新しい村」と表記しているということは、「村自体」は同じではなく「住民のみ」が同じという考え方でいいですか?

No!村自体、まったく同じものです!

いいえ

問題文の「新しい村」は、「旅人にとって新しい村」ではなく、「できてから日が経ってない村」という意味ですか?

No!旅人にとって新しい村、という意味です!

はい

そもそもそうなった原因は旅人自身にありますか?

Yes。旅人に原因があります。

はい

旅人は話している相手が同じ人々であることに気づいていませんでしたか?

Yes!まったく気づいていません…というより…

はい

問題文は本来旅人の一人称的に 「違う村に来た」と言い張ってるだけですか?

Yes。といえるでしょう。

はい

旅人は記憶喪失や二重人格等の精神病をもっていますか?

Yes!彼は特定の記憶を保持できません!!

はい

25より、村自体はまったく同じだけれども、「新しい」という表現をしても矛盾しない何かしらの要素がありますか?

Yes。その通りです。

はい

旅人の心身に何か異常がありますか?

Yes。30の通り、彼は記憶野に障害があります。

いいえ

旅人はタイムスリップしてますか?

No。普通に歩いているだけです。

はい

核心つまり、旅人が新しいと思っているだけで、同じ村に延々と同じ話をしているため、報酬が下がっていっていますか?

Yes!!その通りです!

「旅人」は毎日、前日の記憶を失っていますか?

YesNo!前日だけではないのです。

いいえ

むら名は 「新しい」村ですか?

No。重要ではありません。

いいえ

旅人は ゲームキャラのような人生で、セーブ&ロードされる存在で、新しい村にループして来ていますか?(で、村人は普通に時を過ごしてる)

No。そういった存在とは異なるのですよ。

答え

むかしむかしあるところに、ひとりの旅人がおりました。
彼は世界中を旅して回り、たくさんの冒険をして、行く先々の町や村でその話をしては、路銀を稼いでおりました。
彼の話は大層見事な語り口で、聞くもの皆を惹きつける魅力に溢れていました。
多くの人が彼を褒め称え、沢山のお金を渡しました。

けれど彼には実は、ひとつの秘密があったのです。
彼は素晴らしい冒険を余すことな記憶し、それを歌うことはできました。
しかし、彼は冒険以外のことは何ひとつ記憶できなかったのです。
平和な故郷の暮らしも。
自分を褒め称える人々の顔も。
何ひとつ覚えることができなかったのです。

ある日旅人は、森を抜けた先の小さな村を訪れました。
彼はその村で一夜を過ごし、冒険譚を歌いました。たくさんの人たちが彼の話を楽しみ、銀貨を投げました。

翌日、旅人は村を離れる時、村人たちは言いました。
「ここを真っ直ぐ進めば分かれ道がある。右に行くと次の村に行けるよ。左は駄目だよ、ぐるっと回ってここに戻ってきちまうからな」
「これはこれは親切に。わかりました。右の道ですね」

旅人が道を歩いていくと、分かれ道に差し掛かりました。
しかしその頃には旅人は、村人たちの忠告も、そもそも出会ったことすら、すっかり忘れていました。
だからいつものようになんとなく、旅人は左の道を選びました。
そしてぐるりと森を回って、日が暮れる頃には元の村にたどり着きました。
しかし旅人にとっては記憶に新しい村です。彼は村人に言いました。

「旅の者です。一夜の宿を頂けませんか?お礼に異国の話をいたしましょう」
「おや、旅人さん。どうした、何か忘れ物かい?」
「はて、なんのことですか?」

そして旅人は、また小さな村で一夜を過ごし、お礼に異国の話をしました。
しかし昨日聞いたばかりの話に、村人たちは最初の半分も銀貨を投げませんでした。

次の日、旅人に村人たちは念入りに告げました。
「いいか、旅人さん。右の道だよ。左は間違いだ。右に行くんだ」
「これはこれは親切に。わかりました。右の道ですね」

旅人が道を歩いていくと、分かれ道に差し掛かりました。
旅人はまたなんとなく、左の道を選びました。
そしてまたぐるりと森を回って、日が暮れる頃には元の村にたどり着きました。

「旅の者です。一夜の宿を頂けませんか?お礼に異国の話をいたしましょう」
「旅人さん、またあんたか!どうして右に行かないんだ!」
「はて、なんのことですか?」

そして旅人は、また小さな村で一夜を過ごし、お礼に異国の話をしました。
しかし連日聞いたばかりの話に、村人たちは一人も銀貨を投げませんでした。

次の日、旅人が村を出る時に、村人たちはもう何も言いませんでした。
旅人が道を歩いていくと、分かれ道に差し掛かりました。
旅人は少し悩んで決めました。

「よし、左に行こう」

— 13作目です。自由気ままな旅ぐらしって憧れます。

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