こんな筈ではなかった。
少し時は遡る。
俺の前に、突然悪魔が現れた。
「お前の願いを一つ叶えてやろう。
その代償に『喜怒哀楽』の『喜』以外の感情を失わなければならない。
哀しい、楽だと考えることは可能だ。
だが、それを言葉や行動に表すことは出来ない。
条件を飲み願いを叶えるも叶えないも、お前の自由だ...」
俺は願った。
「『妹の彩と一緒に暮らしたい』」
そして願いは叶った。
しかし、何かが違う。
こんな筈ではなかった。
「カズ兄...ねえ、どうして...?」
彩は俺を見、涙を流し悲しんだ。
俺は笑った。只管笑い続けた。
彩は何故、悲しんでいるのだろうか?
【ウミガメ】【闇スープ】

重要人物は俺と彩の二人ですか?

はい。

妹は五体満足でしたか?

はい。

俺が感情を失った事の他に、彩が悲しむ理由がありますか?

はい。

俺は妹がつらい状況でも笑っていますか?

はい。 [良い質問]

俺が思った通りに願いが叶わなかった?

はい! [良い質問]

2人以外の人類は滅びましたか?

いいえ。無事です。

最後の俺は死にゆくところですか?

いいえ。ですが・・・

私の体は動きますか?

はいいいえ。いつも思うように動かせるわけではありません。 [良い質問]

潜水服は蝶の夢を見ますか?

いいえ。元ネタは特にありません。

願いを叶えてもらった結果、俺は人間ではなくなってしまいましたか?

いいえ!人間のままです! [良い質問]

俺は、願い事で死んだ妹を生き返らせましたか?

いいえ。妹は生きています。

笑顔以外の表情は出来ますか?

いいえ!! [良い質問]

感情を失う以外に、代償として俺が失ったものがありますか?

はいいいえ!12の通り・・・ [良い質問]

俺の願いによって妹自身にも何か異変が起こりましたか?

いいえ!変化が生じたのは俺に対してだけです! [良い質問]

どんなに悲しいことがあろうともずっと笑っているので、妹は俺がおかしくなったと悲しみますか?

はい!そのとおりです! [正解]

妹の哀しい、楽しいという想いに言葉や行動で共感を示すことができなくなったことが関与しますか? [編集済]

はい!16のとおりです! [良い質問]

最初は悲しんだ妹だったが、途中からは「悲しんでいても何もならない。辛い時こそ笑うのだ」と俺のメッセージを勝手に受け取りますか?

はい? 妹も下手をすると狂ってしまうでしょう。[編集済]
俺はただ、笑うことしかできなかった。
どんなに蔑まれても、俺はただ笑うだけだ。
親が死んだと言われても、俺はただ笑うだけだ。
何を面白おかしく話されても、俺はただ笑うだけだ。
俺は「障害者」になってしまった。
ただずっと笑うだけの、不思議な可笑しな人間になってしまった。
それでも彩は、諦めずに、毎日、俺に話し掛け続けていた。
「今日はね、お母さんがね...」
「ねえねえ!今日のご飯は鮭なんだ!とっても脂が乗っててね、とっても...」
「朝から雲ひとつない快晴だよ。ほら、窓の外...」
「カズ兄、今日は寒いよ。ほら、お布団、持ってきたから...」
「カズ兄...ねえ...どうして...?
どうして、笑ってるだけなの?
カズ兄...昔みたいに、元気になってよ...
一緒に、お外で遊ぼうよ...
カズ兄!......ねえ、ねえ...カズ兄...
元気になってよぉ...また、一緒に、お話しようよぉ...
ぐずっ...う...うわあああああ......!」
彩はただ、涙を流し続けた。
おかしい。
こんな筈ではなかった。
俺は、彩と一緒に暮らしたかっただけなのに。
どうしてだ?どうして、こんなことになってしまったのだ?
願いは叶った、なのに、なぜ、なぜ、コンナニモ、ウレシクナイノダ?
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
笑い続けた。何もかもがどうでも良かった。
ハハハ。ハハハハ。
アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。
アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッハハ
ハハハハハハハハハハハハ。