健康的だね!兎美ちゃん!
毎日朝早くに起き、健康的な食事をとり、仕事に向かう。
仕事の後は友人と過ごし、明日に備えて早くに寝る。
しかし、そんな生活は失われた。
彼女はお礼を言った。
そして顔を上げて泣いた。
状況を説明せよ。
過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。
「兎美ちゃん」の年齢は重要ですか?
No! ミスリード注意です。
「兎美ちゃん」の仕事は、現代日本で存在しますか?
Yes! 十分に存在しています!
寿退社しますか?
No!あいにく彼女は恋人もいません!
「兎美ちゃん」は先生をしていますか?
No!教師でも医者でも弁護士でも政治家でも芸術家でもありません。「先生」と呼ばれるような職種ではないです!
兎美ちゃんは、健康な人間ですか?
Yes!少なくとも、命に関わるような病気、怪我はない体です。
顔を伏せたまま泣いても成り立ちますか?
No!彼女は顔を上げたから泣きました!
お礼は特定の一人に言いましたか?
Yes!彼女は特定の一人にお礼をいいました!
泣いたのは嬉しかったからですか?
Yes!彼女は喜びで涙をこぼしました!
兎美ちゃんを目標にする「みんな」は、彼女の身近な人達ですか?
YesNo! 身近といえば身近ですが、あんまり近くないんじゃないかな?
『みんな』は画面の向こうにいますか?
No! ちゃんと触れられる距離に存在しています。
兎美ちゃんがお礼を言った人は彼女にとって近しい人ですか?
No! ほとんど接点のない相手でした!
兎美ちゃんは、入社○年目のニュースキャスター。昼〜夕方のバラエティ系中心担当だったけど、朝か夜担当の花形キャスターに昇進。プロデューサーにお礼を言いながら顔を上げると、これまで一緒だったスタッフから花束渡されて嬉し泣きしましたか?
No! でも最後の嬉し泣きの部分は正解です!
彼女は病気で毎日健康的な生活を送っていた。そしてついに病気が完治し退院。医者の方にお礼を言って顔を上げると看護師の方たちが以下略ですか?
No!彼女の体は健康だったのですよー。
兎美ちゃんの仕事に関することですか?
Yes!彼女の「仕事」が何かが重要になります!
一ヶ月間一万円生活をしていましたか?
No! それなら彼女もどれだけよかったか…
兎美ちゃんは実家暮らしから一人暮らしに変わりますか?
No!むしろ実家暮らしに戻る? ミスリード注意!
その仕事をしていなかったら、兎美ちゃんは泣いていなかった?
Yes!少なくとも、顔を上げて泣くことはなかったです。
彼女は軍人ですか?
No!しかしイメージは近いです!
兎美ちゃんはその仕事をやめましたか?
Yes!当初に決められた期間を終了しました。
彼女の周りで誰か死にましたか?
Yes!人がひとり死んでいます!
兎美ちゃんの家族全員、生きてますか?
Yes!彼女の家族はみんな健在です!
兎美ちゃんは殉職?した人の家族にお礼をしましたか?
No! ほらよ、お前の好きだった煙草だ…もう禁煙しなくていいよな…
兎美ちゃん自身は生きてますか?
Yes!超絶フレッシュにライブをトゥギャザーしてます。
その仕事はスパイですか?
No!かっこいいな兎美ちゃん!?固ゆでたまご!
兎美ちゃんは結婚しましたか?
No!この話の間では結婚しません!
20について 兎美の近親者が死にましたか?
No!それは資格なしだといろいろまずいと思います!
兎美は死んだ人にお礼を言いましたか?
No! お礼を言ったのは生きた相手です。話の筋としては、脇役に近いです。
仕事=職業ですか?
No! 兎美ちゃんはこの仕事をしている間、無職でした!
兎美は殺人犯で、囚人として働いていたので毎日健康的な生活をしていて、仕事のあとは友人と同じ部屋に監禁されていたが、刑期を終えて看守にお礼を言っており、刑務所生活が終わることが嬉しくて泣いていますか?
Yes!!ほぼ正解です!あとは泣いた理由と、彼女が目標にされていた理由をどうぞ!
みんなから目標にされる=模範囚ですか?
Yes!お見事です!
泣いた理由は兎美が模範囚であることと関係ありますか?
No!そこは関係ありません!
兎美ちゃんは殺人を犯しましたか?
Yes!ひとりの人間を殺し、殺人罪に問われました!
核心花束を差し出したのは兎美が犯した犯罪の被害者自身、または遺族でしたか?
No!そっちじゃありません!でもそれでもおかしくないから正解!
核心花束を差し出したのは兎美の家族、または親しい人物ですか?
Yes
答え
あの日、大切な人を守るためにストーカー女を殺してしまった私は、有罪判決を受けて壁の中の住人となりました。
定時の放送で起床し、質素な食事を頬張り。
ゆっくり味わう暇もなく、仕事の時間になり、工場で機械のように作業をこなす。
仕事を終えると僅かな自由時間。同房の友人との安らかな一時。しかしそれも就寝の合図ですぐ終わります。
最初は戸惑ったものの、今ではここでの暮らしも慣れました。
看守に逆らうことなく、相手を立てて自分を下げる。それが一番楽な方法で、そうするうちに私はいつしか模範囚となっていました。
私を見習え、目標にしろ、と看守はみんな言います…私も人殺しの囚人に過ぎないのに。なんだか滑稽です。
そして…また月日が流れて。
服役から5年後。私は出所しました。
前はなんとも思わなかった外の景色が眩しく見えます。
風に流れる髪はすっかり傷んでしまい、自分の失った時間の長さになんだか悲しい気持ちになってしまいます。
「もう来るなよ」
守衛のおじさんのドラマみたいな台詞。私もそれに倣って頭を下げます。
「ありがとうございました」
ご迷惑をおかけしました、とどちらがそれっぽいでしょうか。少し悩みましたが、私が口にしたのは感謝のことばでした。謝るのには、飽きていましたから。
刑務所を離れ、俯いたまま街を歩きます。
これからどうしましょう。
家には戻れません。私のせいで苦労をかけたでしょう。今更、人殺しの私が戻っても気まずくなるだけです。
周りの楽しげな声が辛い。
自分が場違いな存在だと認識させられます。
私はあの壁から出てくるべきじゃなかったと、みんなが責めている気がします。
そんなものは錯覚とわかっています。わかっていても、顔を上げられない。
生きていても、私に居場所はありません。それならいっそのこと死んだ方が…。
そんな思いに囚われた時、誰かにぶつかるのを感じました。
「ごめんなさ…」
顔を上げた私は言葉を失いました。
ぶつかった彼は、まるで何かのお祝いのように両手に花束を抱えて立っていました。
その姿は5年前より少しくたびれているけれど…すぐに分かります。間違えるはずがありません。
私が大好きだった人。
私が守りたかった人。
私が…幸せにしたかった人。
「…なにやってるんですか」
どうしてこんなところにいるんですか。
あなたが住んでるのはずっと遠い場所でしょう。
私のことなんてさっさと忘れて、最初からいなかったものと思って、幸せになれって言ったじゃないですか。
顔色だって悪くて、ろくに食べてないのは明らかなのに、そんな花束を用意して…なんでそんな、泣きそうな顔で笑っているのです!
私の思いも知らず、彼は言いました。
おかえり。一緒に帰ろう。
もう我慢することはできませんでした。
私は年甲斐もなく声をあげて泣きました。
生まれて初めての、喜びの涙。
ーーーただいま。
— 第二弾。問題にミスがあったので再投下です。
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