ウミガメのスープ

アドニスの名に懸けて

作者: ツォン


こは<Bar LATEthink>(バー ラテシン)。
今宵もまた少し不思議なお話をしましょう。

ギリシャ神話にでてくる美青年から名付けられた、アドニスというカクテルがございます。

私の店に、以前はよくこのアドニスをご注文なさるお客様がいらっしゃいました。
週に何度もいらっしゃるのですが、どうしてか一杯だけ飲んでお帰りになります。
それも、カクテルグラス(一杯や80ml弱)とは言え、30度以上あるカクテルを、2~3口で、時間にして数十秒で飲み干して帰られます。
店に入ってから5分もたってないでしょうな。

ずっとなぜこんなに早く帰るのだろうか、と、不思議だったのですが、最近、ようやくその理由を知ることができました。

一体その理由はなんだと思われますか?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

性別は重要ですか?

イエス

亡き友を羨み捧げますか?

ノーです。

アドニス以外のカクテルでは成立しませんか?

ノーでしょうな

ギリシャ神話は関係ありますか?

イエスノー、美青年アドニス重要です。

男は手っ取り早く酔っ払いたかったのですか?

ノー、それならスピリタスを飲むでしょう

私は男ですか?

イエス、男性です

客の目的は酒を飲むことだけで入店しますか?

イエス!

客は今生きていますか?

イエス、いたって元気です

美少年に憧れてますがまだまだ程遠いですか?

ノー、男の私から見ても美青年ですよ。

だれかに対する合図だったのですか?

ノーです。

それを飲んで「美少年」になった気分になりますか?

イエスノー、相当好きで足しげく通っていただいたという程度です。

アドニスの材料は重要ですか?

ノー、専門知識問題になりますのでそれはございません

他の誰かは関係しますか?

まぁ

登場人物は語り手の男性と客以外に誰かいますか?

イエス。不特定多数存在しますよ。ただ、店内にはおりませんが。

下戸ですか?

ノー、美味しそうに二~三口で飲み干して、爽やかに帰られます。重要ではありません。

2杯以上飲んでも成立しますか?

イエス?あっという間に帰られることが重要です

客はお酒に強いですか??

イエス、重要ではありません

「美青年が飲むカクテル アドニス」という宣伝ですか?

ノー、うわ、凄く惜しいのに全く違います。アドニスは、カクテルであると共にもうひとつ意味がございます

いつも同じ時間に来ていましたか?

ノー、多少ずれてます。重要ではありません

男は何か勘違いをしていますか?

ノーです

酒場にいる誰かに対するデモンストレーション?

ノーです。

バーテンダーの女性に興味があるが中々声をかけられず目が合っただけで気絶しそうになりますか?

ノー、私(男)一人の店です

元担ぎですか?

イエス!このカクテルにあやかって…重要です!

ミュージカルの「アドニス」は関係しますか?

ノー、ミュージカル自体は無関係です。ただし全くの無関係…ではありませんね。

男はお気に入りの女の子とのデート前に、元担ぎに美青年の名のカクテルを飲んでいますか?

ノー、それでは不特定多数のモブの存在がなくてもよくなってしまいますな。

日本酒の美少年でも成立しますか?

イエス!日本酒でも成立します。

ギリシャ神話のアドニスは重要ですか?

アドニスが美少年だということが重要です。逸話自体は無関係です

男は役者ですか?

イエス!最重要です!

酔っ払いの役をするために酒を飲んでましたか?

ノー、役作りではございません

大根役者だったためアドニスを飲んでアドニスになりきろうとしますか?

イエスノー、自信がなかったから、とだけ

役者としてのヒットを望んでの元担ぎですか?

イエスかな?

アドニスを飲むと自信が出ますか?

イエス

仕事前に一杯飲んでいきますか?

さすがにそれはノーですね

「赤ら顔の 美青年」みたいなキャッチコピーで売り出してますか?

ノー、「現代のアドニス」と、呼ばれています

酔ったまま寝て、いい夢を見るため?

ノーです

誰かと会う約束をしているから急いで帰るのですか?

ノー

核心ファンやマスコミに見つかるのが嫌ですぐ帰りますか?

そのとーり!

答え


は「現代のアドニス」と呼ばれた、若手俳優です。

いつも何かに追われるようにしてアドニスを飲み干していました。
嵐のように去っていく彼にやっとなれた頃、珍しく彼は私に注文以外の声をかけてき来ました。

「いやぁ、いつも慌ただしくてすみません!」
「いえいえ、いつもありがとうございます。アドニス、でよろしいですか?」
「もちろん!この店のアドニス、とても美味しいですから。」
「ありがとうございます。お待ちくださいませ。」
「最初は何となくだったんですよ。この店に来たの。でも、ほら、僕アドニスなんて呼ばれちゃってるでしょ?好きじゃなかったんです。」
「お待たせいたしました。」
「あ、ありがとうございます!ゴクリ(*´ω`*)うまい…」
「ありがとうございます」
「このカクテルのお陰です。今の僕があるのは。」
「そんな、大袈裟でございますよ」
「いえ、本当なんです。このカクテル味わってから、こんな深い味のカクテル、ただの美青年には出せません。こんなカクテルみたいな味わい深い役者になりたい。そう思ったらなんだか妙に忙しくなっちゃって。まぁ、それでもこの店のアドニスを越えるアドニスはないですから、時間見つけて来てました(*´ω`*)」
「左様でございましたか」
「ただ、ここは僕だけの秘密にしたかったから、ファンまくのにあんなあわただしくなっちゃいましたけどねー」
「そういえば、先日テレビで当店をご紹介いただきましたよね?名前こそ秘密にされてましたけど。」
「ええ。僕の大切な店だから、お願いだからここだけはそっとしていて!っていっちゃいましたw」
「ふふふ…貸しきっていただく事もできますよ?」
「あははwそのうち…将来の嫁さんと来ます!」
「ぜひとも…おや、また二口で…。今日はゆっくり出来るのでしょう?もっとゆっくりお飲みください」
「おっと、それもそうでした。癖って恐いなぁ」


おまけレシピ

カシスリキュール1dash(4~5滴、1ml位)
ブランデー45ml
ドライヴェルモット15ml

ちなみにヴェルモットとはスパイスやハーブで風味付けしたワインのことです。
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