Innamorati
誰からも疎まれた男を、唯一愛した女だった。
他人から蔑まれる様な仕事も、彼女の事を思い浮かべれば頑張れた。
それでも男は、女を殺し、家を出た。
それでも男は、彼女の面影ばかりが目に付くこの街を離れられない。
男が女を殺した理由をお考え下さい。
過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。
男は女を殺したくはありませんでしたか?
YES 衝動的な殺人です
男の職業は重要ですか?
NO でも男の境遇は核心に関わります
被害者は男の母親ですか?
YES
母親は有名人ですか?
YES? 解説文では『その街では有名』となっています。
親子で喧嘩をしましたか?
YES?
親子は貧しかったですか?
NOとしておきます 一般水準よりは低い所得だとは思いますが
男が母親を殺した理由に、父親は関係しますか?
NO
町には、有名人(町長とか?)である母のポスターが随所に貼ってあった?
NO でも母親の面影のある、という描写はヒントです
母親が殺してと頼みましたか?
NO 母親は男をかっとさせてしまいました
男は母親に恋愛感情を抱いていましたか?
NO でも相当なマザコンであり、男の価値観の中心に母親がいました
街の人は彼女の事を好意的に感じていましたか?
YESかな 彼女がこの街で暮らしていけたのは街の
男は障害を持っていますか?
NO 健康である必要もありませんがNOとした方が考え易いです
母親に裏切られましたか?
NO 母親の方はごく普通に生活してました
男が女を殺した事を、街の人は知っていますか?
YES 事件の後間もなくばれます
殺害現場には男と母親だけですか?
YES それでもすぐにばれたということは……
男は、家に閉じ込められていましたか?
NO
街を離れられない理由は、母親に対する思慕以外にもありますか?
YES!
男は街の人に脅されていましたか?
NO 男も、母親も、この街では異質な存在ではありませんでした
男・女は人間ですか?
YES そういえばこれも重要な前提でした
死体を見つからないよう処分した?
NO
裕福ならこんなことにはなりませんでしたか?
YESNOどちらとも言えません 裕福でもなり得る話ですが、もしそうならば男には他に何か違う道があったかもしれません
男は母親を殺してから自首しましたか?
NO 男が家を出たのには他に理由がありました
男は、留置場あるいは刑務所にいますか?
YES 解説文の後は多分そこに行き着きますが、そもそも男は街を出れるとは思いませんでした
この街に母親の血縁者が男以外にも居ますか?
NO
男には家から出なければならない理由がありましたか?
YES その用事がこの騒動のきっかけです
父親は、王族ですか?
NO この親子はその件に興味はない様です
男は自殺しようとしましたか?
NO どちらかと言えば逆のベクトルの行動です
男は母親から自立しようとしましたか?
YES! ただしそれには事情がありましたし、ただ自立するだけならこんな事にはなりませんでした
母親の元を離れて、母を養うために割のいい仕事に就こうとした、ですか?
NO この母親、ちゃんと自活できてます
母親は再婚しようとしていましたか?
NO 母親の身辺には変化がありません
母親は介護が必要ですか?
NO
男には恋人がいましたか?
NO ですが、男は結婚を考えていました
男は「孫の顔を見たい」という母の期待に応えるために、結婚を考えて自立しようとした。しかし、母親に「結婚なんてできるわけがない」と否定された。母のためにしようとしたことをその本人から否定されたことにかっとなって母親を殺してしまう。そして家を出るが、自分の最愛の人を殺してしまったことから精神に異常を来たし、街の人々が自分を追う母親に見えてしまい離れられない。……ですか?
NO 男から結婚の発想が出たのにはあまり美しくない事情があります
男は母親との結婚を考えていた?
う…NO 確かに男は母親以外に愛する女性はいませんでしたが性的嗜向は至って健全でした
母は、要介護者だった?
NO
男は、引きこもり?
NO 仕事以外でも出かけます
うば捨て山関係ありますか?
NO
男は結婚を考えたのは戸籍が関係しますか?
NO
結婚は金銭が目的でしたか?
NO 結婚してそれまでの状況から一変する様な相手ではありません。
母親は男の結婚理由についてケチをつけましたか?
NO ですが反対はしましたし、普通の親ならその結婚理由も難色を示す様なものです
その町の常識として男の結婚理由はおかしいものでしたか?
YESNOどちらとも言えません この街の中で結婚する人は少ないのですが、その状況でこの男から結婚の発想が出てくるのはある意味自然です。
その町では男女の数に明らかな差がありましたか?
定住している人という意味ではYES
この話にクローンなどの遺伝子技術は関係しますか?
NO こういった話はいつの時代のどこの国にもありえます
一夫多妻制は関係ありますか?
NO この街は未婚者が多いのです
この街では男性と女性の人権の扱いに違いがありますか?
NO 人権の差異はありませんが、この街で生まれた男性は女性より生きにくいです
母親はその街での権力者ですか?
NO 普通の住民です
この街は風俗街ですか?
YES!! つまり、母親が反対した理由は?
知らず知らずのうちに血縁者との近親婚になってましたか?
NO
結婚する相手がいなかった?
NO
核心男は娼婦と結婚しようとしましたか?
YES!! 相手が娼婦だから結婚に反対したのです。
母親も娼婦でしたか?
おおYES だから母子家庭だったのです
答え
おいおい、そんな顔するなよ、人類最古の職業なんだぜ。
実際その街に暮らす女では珍しい職業ではなかった。
それでも彼女はとても綺麗で、そして気風のいい女だったから、その街の女の中ではちょっとした女王様だった。
そんな花の生涯なんて短いものだと相場は知れてる。
ルッフィアーナが身篭ったのさ。
父親が誰かなんて彼女には思い当たる訳はなかったが、孤独で悲惨な子供時代を送った果てにその街に来たルッフィアーナは、みすぼらしい産院でその子-インナモラートとしよう-を産んで、女手一つで育てることに決めたのさ。
彼女はちょっと浅はかだったかもしない。
ちょこっと気位の高かったルッフィアーナは売春稼業から足を洗った。
親子共々面倒見ようと持ちかける奇特な男達の申し出も全て丁重に辞退した。
けれど、『その世界』から完全に離れるのは無理なくらい有名過ぎたし、長く君臨し過ぎた。
その頃は大した貯えもない人間が移住先で仕事に就くなんて簡単な事ではなかった。
結局、そんな女が子連れで出来る仕事なんてたかが知れてる。
幸い彼女はかつては娼婦の流行の最先端を地で行く女だったし、少女時代の苦労の甲斐あって、手先だけは器用だった。
娼婦達の服を誂えたり、髪を結ったりして、手間賃を貰ってたのさ。
ルッフィアーナはそれはもう子煩悩だった。
昔は女王様だった彼女が、そんな彼女に全く及ばない娼婦から駄賃を頂戴するなんて、他人から見たら痛ましい限りだった。
でもルッフィアーナはへっちゃらだった。
だって家に帰れば、唯一の彼女の肉親が出迎えてくれるんだから。
そんな平凡だけどあって当たり前の幸せ、彼女には初めてだったんだ。
でも子供も成長するよね?
成長すれば仕事もする。
そして娼婦だったルッフィアーナの過去も消せない。
色街生まれの子供の運命は悲惨だ。
特に男の場合は異物でしかない。
最低レヴェルの仕事をやっともらって、娼婦からは馬鹿にされ、無関係な奴等からは『女を食い物にするろくでなし』扱いだ。
それでも、インナモラートは他人に口ごたえひとつせず、与えられた仕事を黙々と消化した。
その街では娼婦の私生児がそういう仕事にしかありつけないのは普通だったから、インナモラートは他人に過度な期待をすることなんて知らなかった。
しんどくはあったけど、仕事があるだけラッキーかな、くらいのものだった。
だって彼にはルッフィアーナがいるのだから。
少しでも彼女の負担を軽く出来ることが喜びだった。
インナモラートはルッフィアーナの事を思えば、屈辱に堪える事ができた。
ルッフィアーナの暮らすその街から出るつもりもなかった。
しかし、その街で繰り広げられるオペレッタの筋はだいたい決まっていた。
痴情のもつれとか娼婦の妊娠とか、そんなのばかりさ。
インナモラートが馴染みになっていた娼婦-インナモラータとする-が『あなたの子が出来たのよ』だとさ!
娼婦と言っても色々あるだろ?
インナモラータはかつてのルッフィアーナや、今のルッフィアーナの得意客の様な、所謂高級娼婦ではなかった。
だってインナモラートの相手をする女だ。
子供の父親がインナモラートとも限らない。
でもさ、インナモラートが父親である可能性も大いにあったんだから、認めるしかない。
インナモラータも娼婦の産んだ子だが、インナモラートとは違い自分の境遇も、母親の事も恨んでいた。
親子仲のいいインナモラートを馬鹿にしていた。
インナモラータも母親と同じ娼婦だから子供なんか産む気はなかったが、インナモラートの顔を見たら何故かあてつけに身篭った事を言ってやりたくなったのさ。
それを聞いたインナモラートにはインナモラータと夫婦になる、という考えしか出て来なかったんだけどね。
勿論、ルッフィアーナは反対したさ。
彼女、本当はインナモラートにはさっさと街を出てもらって、普通の娘と普通の結婚をしてもらいたかったのさ。
勿論、生まれてこの方色街の雑用しかやったことがなく、身分も低いインナモラートがその街を出て所帯を持つなんて、夢物語みたいな話なんだ。
なんとしてでもその街を出なかったのはルッフィアーナの最大の過ちだった。
だから、今までそんな事一言も言わずに、ただインナモラートの帰りを待ち、労をねぎらっていた。
でもインナモラートの思いは、ルッフィアーナが考えていたよりもずっと根深いものだった。
ルッフィアーナの最大の過ちは、結果的に、インナモラートのルッフィアーナへの愛情を深めていた。
インナモラートは、ルッフィアーナとの絆に依存して生きてきた。
だからこの街で酷い仕事もやってこれた。
自分との生活のためにしてきた母親の苦労を知っていたから、インナモラータをルッフィアーナとダブらせてたんだ。
そんな自分の気持ちをルッフィアーナは想像してもくれないのか?
この街と、ルッフィアーナと関わりのない場所で暮らせ?
これまでの母親との思い出と、惨めな自分の境遇、いままで抑え込んできた全てがどっと押し寄せてきて、タガが外れ……。
インナモラートはルッフィアーナの細い首を握り締めていた。
もう動かないルッフィアーナをベッドに横たえ、見るも無残なその形相を覆う様にオヤ(手編みレース)を彼女の細面に被せた。
そして、額と髪にひとつずつキスを落とした。
涙を孕んだ瞳を強く瞬かせ、インナモラートは家を出た。
勿論、インナモラータの商売する通りへ向かうために。
それからどうなったかって?
俺のひいじいさんの書いた売春街の事件簿にはすぐにインナモラータがタレこんだとしか書いてなかったよ。
でも、大昔の親殺しだからね。
大体分かるだろ?
— かなりベタかも
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