ウミガメのスープ

【猛者のスープ】それは私と、羽根を隠した鳩が言う

作者: ポトフ

恋人から渡された花束を手に、私はとあるビルの屋上を訪れた。ビルの縁にそっと花束を置いた私は、ふと背後に気配を感じ、後ろを振り返った。

そこにいたのは恋人だった。

確かな足取りで向かってくる彼女の姿に私は心底驚いたが、やがて事態の真相を悟った。彼女はずっと、自分を殺すつもりだったのだ――と。
どういうことだろう?

出題者が、解き手の進み具合に応じて上から順に出すためのヒントです。

ヒントはまだありません。

過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。

いいえ

ビルから飛び降りた私以外の登場人物はいますか?

Noですが、良い質問ですね、ええ。

はい

彼女は生きていますか?

Yes 生きています、ええ。

いいえ

私は恋人が死んだと思っていましたか?

No 思っていませんね、ええ。

いいえ

恋人は心中するつもりでしたか?

No 違います、ええ。

いいえ

恋人は飛び降り自殺狂言をして花束を手向けに来た私をビルから突き落としましたか?

No 違います、ええ。

いいえ

私はプロポーズのために花束を持ってきましたか?

No 違います、ええ。

いいえ

恋人に渡された花束の花の種類は重要ですか?

No あまり重要ではありませんね、ええ。

△

ビルは病院ですか?

関係ありません。ええ。

いいえ

重要な登場人物は、私と恋人の二人ですか?

No もう一人いますね、ええ。

はい

恋人とは、「私」の恋人ですか?

Yes 私の恋人です、ええ。

いいえ

私は恋人が現れるまで恋人が死んだと思っていましたか?

No 思っていません、ええ。

いいえ

非現実要素はありますか?

No ありませんね、ええ。

はい

私は彼女に殺されますか?

Yes 殺されなくても成立はします、ええ。

はい

恋人は女性ですか?

Yes 女性ですね、ええ。

いいえ

「私」は死ぬつもりでビルの屋上に来ましたか?

No 死ぬつもりはありません、ええ。

?

殺気がありましたか?

殺気を感じる能力があれば、感じるでしょう、ええ。

いいえ

恋人はビルの屋上から飛び降り自殺したと見せかけるためにビルの屋上に脱いだ靴を置いておき、私はそれを見て恋人が飛び降り自殺したと勘違いして恋人を弔うために花束を置き、恋人はビルの屋上の端っこに私が立ったのをチャンスと思って私を突き落としましたか?

No 違います、ええ。

いいえ

"彼女はずっと、自分を殺すつもり"は、彼女が彼女自身(自分)を殺す、つまり自殺するつもりですか?

No 私を殺すつもりです、ええ。

はい

確かな足取りである事は重要ですか?

Yes 重要です、ええ。

いいえ

恋人は死んでいますか?

No 生きていますよ、ええ。

いいえ

私と恋人の間で何らかの認識の「すれ違い」といえるものはありましたか?

No すれ違い、とは違いますね、ええ。

いいえ

「私」は女性ですか?

No 男性です、ええ。

はい

私が見た「恋人」は実体のある人間ですか?

Yes 人間です、ええ。

△

屋上に、花束以外に何かがありますか?

関係ありません、ええ。

はい

私が「ビルの縁にそっと花束を置いた」のは、死者の弔いのための行為ですか?

Yes その通りですね、ええ。

はい

もう一人はすでに死んでいますか?

Yes 死んでします、ええ。

いいえ

9の人物は生きていますか?

No 死んでいます、ええ。

いいえ

登場人物は「私」、「恋人」そして「彼女」ですか?

No 彼女=恋人です、ええ。

いいえ

誤って恋人を突き落としてしまった私は怖くなり彼女の花束を屋上に持っていくことで彼女が飛び降りたかのように隠ぺいしようとしたら実は落ちていなかった彼女が福州市に来ましたか?

No 違います、ええ。

はい

文中の"恋人"と"彼女"は同一人物ですか?

Yes そうですね、ええ。

はい

恋人は付き合い始めてからずっと私を殺すつもりでしたか?

Yes そうですね、ええ。

いいえ

私はすでに死んだ幽霊ですか?

No 生きていますよ、ええ。

はい

私は「確かな足取りで向かってくる彼女の姿」の視覚情報から、事態の真相を悟りましたか?

Yes そうですね、ええ。

?

花束がテディベアだったとしても成立しますか?

普通は花束ですね、ええ。

?

問題文の花束を札束に変えても成立しますか?

普通は花束ですね、ええ。

いいえ

恋人は私の友人と浮気をしており、私と別れたがっていて、私の友人と組んで私の友人がビルから飛び降りたように見せかけ、私は友人が死んだと思って友人に花束を手向けるためにビルの屋上に来たところを恋人が突き落とし、私を殺して私の友人と恋人としてやっていきましたか?

No 違います、ええ。

いいえ

私(女性)は恋人(愛人)とは不倫の関係で屋上で密会をしていたら本妻の彼女に全てバレていましたか?

No 違います、ええ。

いいえ

三角関係でしたか?

No 三角関係ではありませんね、ええ。

はい

恋人は高所恐怖症を偽っていましたか?

Yes! その通りですね、ええ。

はい

過去に彼女の恋人を殺してしまい、彼女から恨まれていましたか?

Yes その通りです、ええ。

いいえ

私は恋人が目が見えないと思っていたのに、実は目は普通に見えましたか?

No 違います、ええ。

いいえ

恋人は身体に障害がありましたか?

No ありませんよ、ええ。

△

「私」が持っている花束はプレゼントされてから12時間以内のものですか?

時間は関係ありません。

いいえ

彼女は車椅子や杖を使っていましたか?

No 違います、ええ。

いいえ

恋人は盲目ですか?

No 目は見えています、ええ。

はい

私がビルの縁に花束を置いたのは、誰かのご冥福をお祈りするためですか?

Yes その通りですね、ええ。

いいえ

19 私 は彼女が歩けないと思っていましたか?

No 歩けない、と思っているわけではありません、ええ。

はい

もう一人は殺されましたか?

Yes 殺されました。ええ。

?

私は恋人のことを病気か何かだと思っていましたか?

わかりました。ええ。

はい

恋人は私の恋人ですか?

Yes 私の恋人ですね、ええ。

はい

私がもう一人の重要人物を殺しましたか?

Yes 私が殺しました。ええ。

いいえ

私と彼女と、あと一人はどちらかの家族ですか?

No 彼女の過去の恋人です、ええ。

はい

もう一人の重要人物は彼女に関わりの深い人物ですか?

Yes 彼女の過去の恋人です、ええ。

いいえ

私は恋人がもう一人を殺したのだと悟り、そのために彼女に殺されますか?

No 違います、ええ。

いいえ

もう一人の重要人物が生きていたとしても、彼女は自分を殺そうとしますか?

No 思いませんね、ええ。

はい

9の人物は私によって殺され、その復讐を彼女は企てましたか?

Yes その通りですね、ええ。

いいえ

私は恋人に嘘をついていましたか?

No 嘘を点いていたわけではありませんね、ええ。

△

私は彼女が自分を殺すつもりだったことに驚いているようですが、私と彼女の間にはそれまで何の問題も起きていませんでしたか?

YesNo 表面的にはなにも起きていませんでしたが……

いいえ

私は彼女をビルの屋上から突き落とした気になっていたけど彼女に足があるのを見て殺害に失敗したことに気付き逆にこの計画がバレていたことを悟りましたか?

No 違います、ええ。

はい

彼女は復讐のために私と付き合っていましたか?

Yes その通りです、ええ。

はい

私は以前殺してしまった恋人の元恋人のために花束を供えましたか?

Yes そうです。ええ。

はい

彼女は9の人物の復讐を完遂させるため私と付き合い、ずっと高所恐怖症を装っていて、代わりに9の自殺現場に花束を手向けるように頼まれて、これからドンっ→ヒューですか?

Yes その通りです、ええ。

はい

私は過去に彼女の恋人を殺し、その後彼女と付き合うようになった。しばらくして彼女の恋人の命日が来て、花を手向けたいが高所恐怖症なので代わりに行ってと言われ向かった先がビルの屋上。そこに何故か彼女がいて、確かな足取りで歩いてきたので私は死を悟りましたか?

Yes その通りです、ええ。

はい

彼女は私を殺すために心理的な殺害不可能を演出するため高所恐怖症を装い私の油断と容疑者から外れますか?

Yes まとめてください。ええ。

はい

花束は恋人が、私の代わりにお供えしてきて、と手渡しましたか?

Yes 代わりに供えに行かせました。ええ。

はい

恋人は私がもう1人の人物を殺してしまったと思っていましたか?

Yes 知っていました。ええ。

△

私は過去にビルの屋上から彼女の恋人を突き落として殺したため彼女に恨まれていたが、彼女は素知らぬフリをして私と付き合い、高所恐怖症のフリをして高い建物には近づけないと偽り私を油断させ、私は彼女には見られていないと思ってビルの屋上に花を置いて自分が殺した相手を弔っていたら、彼女が背後から近づいて来て私を殺そうとしていることに気付きましたか?

YesNo 流れはあっていますが、油断させるのとは別に理由があります。ええ。

はい

恋人は復讐として、以前私が元彼氏を殺したのと同じ場所で私を殺そうとしましたか?

Yes その通りです、ええ。

いいえ

私は殺してしまった男を弔うため、殺してしまったビルの屋上に花束を置きに来た。しかしそこに彼女が来た。高所恐怖症と偽っていた為、私は激しく動揺していたがそれは彼女の前の彼氏を殺した犯人を暴く為であり、私が犯人だとわかったので確かな足取りで近づき、私を殺そうとしましたか?

No 少し違いますね、ええ。

いいえ

彼女は死んでいる人が見えていますか?

No 見えません。ええ。

?

核心63より、彼女が確かな足取りで近づいてきたことにより、彼女は私を殺すために高所恐怖症を騙って私と付き合っており、花を手向けにビルの屋上に来たところで殺すつもりであったと悟りましたか?

64と合わせて、正解といたします。お見事でした、ええ。

★
?

9の人物を殺した呵責で後追い自殺したように見せかけ私は殺された上に、彼女は高所恐怖症という事で万一の時も容疑圏外ですか?

自殺に偽装する意図はありませんが、後半はその通りです、ええ。

はい

核心私は過去に彼女の恋人を殺したため彼女に恨まれていたが、彼女は素知らぬフリをして私と付き合い、高所恐怖症のフリをして高い建物には近づけないと偽って私に花束を供えるようにお願いし、私は彼女の言葉に従ってビルの屋上に花を置いて自分が殺した相手を弔っていたら、彼女が背後から近づいて来て私を殺そうとしていることに気付きましたか?

Yes 女はまさにそのつもりでした、ええ。

★
?

元彼のことについて責任を取って自殺したように見せかけますか?

自殺に見せかける意図はありませんでした、ええ。

いいえ

彼女は私を殺した後、死ぬつもりでしたか?

No 死ぬつもりはありません。ええ。

いいえ

その花束はもしかして私を狙って高所から落とされた植木鉢に合ったものではないですか?

No 植木鉢に花束は植えませんね、ええ。

?

花束に指紋が残るので、私が死んだ後これを見た人は後追いの自殺と思いますか?

そういう意図は特にありませんでした、ええ。

はい

彼女は高所恐怖症を偽ることによって、私を殺した容疑者から外れようとしましたか?

Yes その通りです、ええ。

答え

ビルの屋上。恋人から渡された花束をそっと置き、手を合わせながら、私はあの日のことを思い出していた。あの日――私がこの場所から、一人の男を突き落として殺した日のことを。

このビルには、私の勤める会社のオフィスが入っている。彼は私の同僚で、そして――私の恋人の、当時の交際相手だった。
なぜ私が彼に呼び出されてこの場に来たのか、実のところよく覚えていない。貸した金を返せとか、そんな些細なトラブルだったはずだ。そんなきっかけから、いつのにか口論になり、口論はいつしかつかみ合いに発展していた。
……殺すつもりなどなかったのだ。つかみかかってくる彼を振り払い、突き飛ばした先に、屋上のコンクリートは続いていなかった。
彼は落ちていった――。

私は恐る恐る、屋上の縁から下を覗き込んだ。彼はビルの入り口の前で倒れていた。死んでいるのは明らかだった。
茫然と下の様子を見つめていた私は、誰かに見られている気がして慌てて顔を引っ込めた。そして急いで屋上から離れた。
そのあとのことはよく覚えていない。気がついたら自宅のベッドで寝ていた。 逃げ出したい気持ちを抑え、翌朝なんとか出社すると、当然大騒ぎになっていた。周囲の人間ともども私も何度か警察に事情を聞かれ、生きた心地もしなかったが、幸運にも私が逮捕されることはなかった。警察は自殺と結論付けたらしいと噂で聞いたが、本当のところは分からない。
彼への罪悪感はあったが、それよりも日常を取り戻せることへの安堵の方が大きかった。私は、あの時屋上で本当は何があったのか、その真実を己の胸にのみ仕舞い込むことに決めたのだ。


しかし、話はそれで終わらなかった。

彼の葬儀の日、私は彼の恋人だという女性と出会った。話を聞くと、なんと彼女はあの日、彼を迎えにビルの前まで来ていたらしい。そして――彼が落ちてくるその瞬間を目撃してしまったそうだ。

あれ以来、高いところが怖いんです。彼のようになってしまうんじゃないかという気がして……
彼の死を目撃したショックで、高所恐怖症を発症してしまったらしい。日常生活にも支障を来すようになり、住んでいたマンションも引っ越してしまった――彼女はそう語った。
私は思った、残された彼女を支えていくことが、彼へのせめてもの罪滅ぼしになるのではないか、と。

彼女のことを気にかけ、何かと世話をするうち、私は彼女と交際するようになっていた。もっとも、私の彼女への思いが恋愛感情なのか、それともある種の義務感なのか、今となってはもう分からない。
彼女の、高いところへの恐怖は相当だった。私の住居はアパートの2階にあったが、たったそれだけの高さでも彼女は怖がるので、彼女が来ているときはずっとベランダのカーテンを閉めておかなければならなかった。ショッピングモールへ行ったとき、何気なく乗ったエレベーターがガラス張りで、降りる暇もなく扉が閉まってしまったのたが、エレベーターが上昇している間中ずっと、彼女はうずくまって子どものように泣きわめいていた。


今年も彼の命日がやってきた。でも、そんな彼女だから、あの屋上へ弔いの花を供えにいくことは不可能だった。だから、彼女に乞われて、私が代わりにその役目を果たす。


――ビルの屋上。
手を合わせ、そっと目を閉じていた私は、背後に気配を感じ、思わず振り返った。

そこにいたのは恋人だった。

確かな足取りで向かってくる彼女の姿に、私は心底驚いた。高所恐怖所の彼女が、こんなところへ来れるはずがない――。
だが、まっすぐに歩く彼女の足取りは、どうみても高所恐怖症を患う者のそれではなかった。
混乱する頭が、ひとつの結論を導き出した。

――彼女は、高所恐怖症などではなかったのだ。

あの晩、私が彼を突き落してしまった晩、彼女はきっと見たのだ。屋上から彼の死体を見下ろす、私の顔を。私が感じた視線、あれは彼女のものだったのだ。

気付いていたのだ、私が彼を殺したのだと。

そして彼女は、彼が味わった恐怖を私に味わわせるために、その復讐を誰にも疑われることなく果たすために、ずっと準備をしてきたのに違いない。このあと私の死体が見つかったとして、誰が彼女を疑うだろう? 高所恐怖症で高いところに来れるはずのない、彼女を。
誰にも疑われぬよう、何年も高所恐怖症を演じ続け、そして今日、彼女は私をこのビルから落として殺すため、花束を渡してここへおびき出し、先回りして私を待ち構えていたのだ。


見たこともない冷たい目をした彼女が、私のもとへ迫ってくる。手を伸ばせば、私の身体に届くだろう。たったの一押しで、私の身体は奈落の底へと落ちていくだろう――


【簡易解説】
かつて私はこのビルから男を突き落として殺した。私の恋人は当時その男の恋人であり、私が男を殺したのだと察していた。
彼女は私に復讐するため、私に近づいた。
それとともに彼女は始めた。長きにわたる、高所恐怖症の演技を。

男の追悼のため、花束を現場の屋上に置いてほしい。
その願いを受け入れて屋上に行った私が見たものは、高所恐怖症の人間には近づけないはずのそこに現れ、確かな足取りで私に近づいて来る彼女だった。
私は悟った。彼女はすべて知っていた。彼女の高所恐怖症は誰にも疑われずに私を殺すための演技だった。そして今その仮面は取り払われ、復讐の時がやってきたのだと。





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Who'll be chief mourner?
I, said the Dove,
I mourn for my love,
I'll be chief mourner.

誰が喪主になるのだい?
それは私と、鳩が言う。
愛する者を悼むため、
私が喪主に、なりましょう。


マザー・グース ――Who killed Cock Robin ?――

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