いたいほどにあまい
それを片手に手紙を書いた。
さて、手紙を受け取った彼は、
甘い言葉が書き連ねられたその手紙を、
彼以外にも多くの人が受け取っていたことを知って激怒したのだが、
どうしてそんなに怒るのだろう?
過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。
バレンタインデーは関係ありますか?
No
自分の血を入れたホットチョコレートをインクにして手紙を書いていましたか?
No、なんだけど後半Yes!
彼女は彼をおいて死にましたか?
Yes!
手紙はラブレターですか?
重要ではありません!
手紙にはホットチョコレートが付着してましたか?
Yes! ミスリード注意
歯を磨いたら甘い物を食べないって約束したよね?(`・ω・´)
No
彼が彼女から手紙を直接手渡しで受け取ったとして、成立しますか?
No!!
手紙はチェーンメールですか?
No
彼女は彼を含めたたくさんの人に、同じ内容の手紙を送っていたということですか?
YesNo? まったく同じってことはないですが…ミスリード注意
手紙の内容は重要ですか?
Yesで。
ホットチョコレートは重要ですか?
Yes 重要
彼以外にもたくさんの人が手紙を受け取っていたということを、彼は彼女から教えられて知りましたか?
No! ありえない
この匂い・・・・アーモンド臭じゃなくて青酸カリ?!
No でも彼は臭いで気づきました。
彼が激怒したのは、彼女に対してですか?
Yes
彼女は既に死んでいますか?
Yes!
手紙は遺書ですか?
Yes!
ホットチョコレートでなくても成立しますか?
Yes…かなあ。
核心遭難して食料も尽き死にそうだというときに、貴重な食料であるチョコレートを食べずに遺書を書くために使った彼女に対して、彼女に生きていて欲しかった彼は激怒しましたか?
Yes
答え
一つの郵便が届いた。
なんとなく、嫌な予感がして、それは当たっていた。
中には世界最高峰のラテラル山に挑んでいた娘が死んだという知らせと、
彼と妻あての遺書が入っていた。
娘はほかにも親しい友人や恋人にも同様に遺書を書いたと知らせにあった。
自分にあてられていたものを開く。
「
大好きなお父さんへ
お父さんがこの手紙を読むとき、私はこの世にいないでしょう。
親不孝な娘をどうかお許しください。
馬鹿だって、笑いますか? いくら諫められたって治らなかった、私の冒険心を。
でもね、私はこれで幸せだったんです。
こんなに美しい大地にのまれて死ねるんですから。
冒険を愛する幸福な娘より
」
いつかはこうなると漠然と思っていた。
あの子にはなんにでも向かっていく強い意志が、
悪く言うなら無鉄砲なところがあったから。
ふと、彼の鼻腔に甘い香りが届いた。
それは、チョコレートの香りだった。
どこだろうと見まわす。彼も妻も甘いものは好まない。
好むのは娘で……。
手紙を見直して愕然とした。
その手紙は、チョコレートで書かれていた。
「ふざけるな!」
こんなものを何枚も書いたのか、娘は。
こんなものに生きる可能性を費やしたのか、あの子は。
こんなものを書くくらいなら、そのチョコレートを食べればよかった。
食べて、少しでも生き延びようとあがいてほしかった。
自分の死を、幸福だなんて言ってほしくなかった。
悲しみとないまぜの怒りが渦巻く中で彼は、随分冷めてしまった苦いコーヒーを飲み込んだ。
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