魔女と鏡
「鏡よ鏡、鏡さん。世界で一番美しいのはだあれ?」
女王が尋ねると、鏡は答えます。
「世界で一番美しいのは、女王様です」
女王は、鏡の答えを聞くと、満足して嬉しそうに高笑いしました。
そして、ある日のこと。
「鏡よ鏡、鏡さん。世界で一番美しいのはだあれ?」
女王が尋ねると、
「世界で一番美しいのは、白雪姫です」
鏡が返したのは、いつもとは違う答えでした。
ところが、女王はいつも通り、ひどく満足そうに高笑いしました。
女王は自身の美貌に誇りを持っていましたから、自分が一番でないことはひどく許しがたいはずですが……一体なぜ?
過去の実際のやりとりです。質問されたら参考に答えてください。
女王と白雪姫は知り合いですか?
関係ありません。
他に登場人物はいますか?
NO. ほかに登場人物はいません。
女王は、白雪姫と改名しましたか?
NO. 女王は白雪姫とは別の人物です。
一番美しいと、何か困ることがありますか?
NO. 一番美しくても、全然困りません。
女王は、白雪姫と全く同じ顔をしてますか?
関係ありません。
白雪姫は女王の娘であり,女王の若かりし頃とそっくりでしたか?
関係ありません。
お酒に酔ってテンションが上がったので高笑いしていますか?
NOw 飲んだくれません。
問題文に登場する鏡は、すべて同一の鏡ですか?
YES. 全く同じ、真実を教えてくれる魔法の鏡です。
「ある日」とそれ以前の日では女王に外見的な違いがありますか?
YESNO. 違っていても違っていなくても成立しますが、違っていたとしても一切不思議はありません。 ※ミスリード注意!
女王は満足していますか?
YES. 一段落目のやり取りでも、二段落目のやり取りでも同じように満足しています。
女王は喜びましたか?
YES. 一段落目のやり取りでも、二段落目のやり取りでも同じように喜んでいます。
鏡は本当に真実を教えてくれていますか?
YES. 鏡は本当に真実を教えてくれています。 ※ミスリード注意!
鏡の好みは重要ですか?
NO. 鏡の好みは関係ないと考えてください。
問題文後半は白雪姫が女王に即位した後の話ですか?
NO. 女王と白雪姫は別の人物です。
女王の年齢は重要ですか?
YES! 重要です。
問題文の設定や世界感以外に、非現実要素はありますか?
NO. 真実を教えてくれる魔法の鏡以外の非現実要素はありません。
女王は魔女であり,自らの容姿を日によって変えながら鏡にその質問をしていますか?
NO. 容姿は日替わりではありません。
心の美しさを映す鏡ですか?
関係ありません。それでも成立しなくないです。
やり取りが行われている場所は重要ですか?
NO. やり取りが行われている場所、環境は重要ではありません。
女王は何か悪だくみをしていますか?
NO. 悪だくみはしていません。
女王は何か悪だくみをしていますか?
NO. 悪だくみはしていません。
女王は、白雪姫が世界で一番美しいことに満足していますか?
NO! 白雪姫が世界で一番美しいことになんか満足するはずありません! そもそも……
白雪姫が美しい事に喜んだのですか?
NO! 白雪姫が世界で一番美しいことになんか喜ぶはずありません! そもそも……
「ある日」と「ある日以前」の間には長い時間経過がありますか?
YES! 長い時間が経過して、女王は……
「ある日」には女王は年老いていましたか?
YES! そのため……
女王が鏡にした質問は、問題文の通りで、過不足、言葉の違いはありませんか?
YES. 女王の質問も、鏡の返答も、問題文にあるものが全てです。過不足や言い間違いはありません。
年を取った自分ではなく白雪姫を一番にするのを聞いて、鏡はちゃんと真実を言い当てられるんだなと満足しましたか?
NO! 全然違います! ですが、ある重要なフレーズが出ています!
世界一美しい人物を殺せばまた自分が世界一になれる.そしてそのターゲットを鏡が教えてくれるから便利ですか?
NO. そこまで殺伐としていません。
女王は年老いてしまったが、若いときの女王は白雪姫よりも明らかに美しかったので、女王は鏡のジャッジに満足してますか?
NO.
年老いたため、さすがに自分が世界一のはずはないと分かっているので、これまでの鏡の答えが御世辞じゃなかったと確認できてうれしかったのですか?
NO.
女王は認知症ですか?
NO. 認知症ではありません。ただし、加齢によって出てくる症状は重要です。
加齢によって出てくる症状というのは、外見に関する事ですか?
NO. 重要な加齢によって出てくる症状は、外見に関するものではありません。
「ある日」には女王は年老いていたため美貌が失われていくのは仕方のないことであり、鏡が白雪姫と答えたことで「鏡はちゃんと判断しているんだ」と思い、昔自分が一番美しいと言ってくれたことを改めて嬉しく思いましたか?
NO.
女王は歳を取って耳が聞こえにくくなっていることに悩んでおり,鏡の言ったことがちゃんと聞こえたことに安心しましたか?
YESNO! 「耳が聞こえにくくなっている」はYESですが、その他はNOです。
核心女王は耳が遠くなっていて、「白雪姫」という単語が聞こえなかったけれど、どうせいつもと同じ答えだったのだろうと思い込んで満足していますか?
YES! おおむね正解です(後で正解を付けます)。ただし、女王が「いつもと同じ答えだろう」と考えたことにはもう少し根拠があります。それはなんでしょう?
聴力や視力に関する事ですか?
YES. 女王は耳が聞こえにくくなっていました。
鏡の声は大気を振動させないので聴力が落ちても問題なく聞こえるので、話し相手がいることが嬉しいですか?
NO. 鏡の声も、普通に空気を振動させて出す音なので、女王にはあまり聞こえませんでした。
核心歳を取った女王はそもそも鏡の言うことが全く聞こえないけれど,「鏡が映した人物こそが世界一美しい」と思い込んでおり,相変わらず鏡に自分が映ったので自分が世界一美しいと思って満足しましたか?
YES! 正解です!
核心女王は鏡に「世界で一番美しい人」が映ると思い込んでいたが、実際はそういうことはなく、鏡は声だけで「白雪姫」と答えたが、女王にはその声は良く聞こえなかった。しかし鏡に自分の顔が映ったままだったので、答えは自分だと思いましたか?
YES! 正解です!
女王は視力も落ちていて、鏡に映る自分の姿がよく見えませんでしたか?
NO. 鏡に映る自分の姿はよく見えていました。
女王の症状は耳が聞こえにくくなっていることだけですか?
YES. 重要なのはそれだけです。
答え
それは、魔法の鏡の特性について。女王は、魔法の鏡は真実を【映し出し】【喋って】くれるものだと思っていましたが、実は魔法の鏡は真実を【喋る】だけのものだったのです。
でも、その勘違いが正されることはありませんでした。
なぜなら、女王様が魔法の鏡に尋ねたのは、ずうっと「世界で一番美しいのは誰か」という質問だけで、その答えもずうっと女王様だったからです。
幾星霜を経て、女王様も年を取り、年齢だけならおばあさんと呼んでも差し支えないほどになりました。必死のアンチエイジングの結果、顔はさほど衰えませんでしたが、他の場所はそうもいきません。老眼で近くのものもよく見えませんし、見た目だけは白くてピカピカの歯もリンゴをかじることさえできませんし、足はガクガク、腰もいつも痛いですし、耳も、近くから大声で言ってくれないと何も聞き取れないほどに遠くなってしまいました。
それでも、女王様は鏡に尋ねます。
「鏡よ鏡、鏡さん。世界で一番美しいのはだあれ?」
鏡は答えます。
「世界で一番美しいのは、白雪姫です」
でも、その答えは、女王様の耳には届きません。彼女に分かるのは、鏡に自分の姿が映っているということだけ。
でも、女王様にはそれで充分なのです。なぜなら、彼女にとって魔法の鏡は、実を【映し出し】【喋って】くれるものなのですから。
そうして、女王様は、世界で一番美しい者として映し出された自分の姿に満足し、いつものように高笑いをするのでした。
「まさに「聞く耳を持たない」って奴ですね。でもまあ、それもあの人にとっては幸せなのかも。毎日鏡見て笑ってるせいか、顔だけは未だにかなり若いし。……七十歳過ぎて、未だに世界で白雪姫の次に美しいとか、最早魔女でしょ。はあ。できたら話をきいてくれる新しい主が欲しいなー」
鏡の独り言は、誰に聞かれることもなく、女王の高笑いの中にかき消えてゆきました。
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